【自主レポート】 |
第35回佐賀自治研集会 第1分科会 住民との協働でつくる地域社会 |
自治体に対する申請等の文書作成は、煩雑で添付文書も多い等地域住民にとって親しみのある行政事務が必要であるといわれて久しい状況にあります。その中で、多くの補助等の申請に必要な所得証明書や納税証明書の添付の簡素化の取り組みを通して、ワンストップサービスからワンプロージャー・カバー・サービス(1手続きにより網羅するサービス)についての実践を報告します。 |
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1. はじめに 課税を担当する部署に異動になり、数年が経ちました。自治体に入職して30数年ですが、初めての経験で、課税の重要性と徴収の大変さを身をもって経験しています。その中で事業に関する補助金や住宅の入居に係る住宅料の決定等で、課税証明や所得証明そして納税証明等の添付が必要な申請が多くあることが判りました。公平で公正なサービスを提供するうえで重要ではあるのですが、申請する住民が自ら多くの窓口を回り添付書類を用意することが、果たして住民サービスの観点から望ましいのかを考え、住民の立場で考えるならば検討することが必要と実感しました。 |
2. 小さな自治体だから出来ること 津別町は、北海道の東部に位置し、オホーツク総合振興局管内南端にあり、阿寒国立公園に接する人口約5,500人、面積716.60km2の町です。東京23区よりも広大な面積を有しますが、その86%は森林が占めており、その森林面積のうち8割が国有林と道有林が占めています。耕地面積は約5,500haで、畑が扇状に広がる中山間地であり、農林業、木材製造業が基幹産業であります。往時は営林署があるので、全林野組合員が400人を超える組織を有し、地区労の中心として活動され、我々自治労組合員も労働運動の進め方を学んできました。 |
3. 職場内での議論から 小さな職場だから、大きな政策も小さな改善も議論することができます。何気ない「気づき」を疑問の起点として、職場内で議論をし、住民主義の庁舎内連携をもとに行政事務のあり方を考える契機として以下の事例を基に報告します。
この、事例を基にさらに事務改善が出来る事項があるのではないかと検討するなかで、他にも課税証明等の添付を改善することが、住民の負担軽減を図れる事項があるか検討する必要性を感じました。 |
4. 全体的な調査を実施して 自治体として住民サービスについて職場内での議論を基に、管理職が庁内会議を経て簡素化について調査を実施することとしました。現場からの提案を管理職を通じて理事者の理解を得て、実施に向けて調査検討することとなりました。
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5. 各担当課との調整を実施 庁内の各所管部署で担当している事務から、課税状況等の確認が必要な事務が30数件あることが明らかになりました。多くは受給要件に所得要件があるもので、その根拠とするものは条例や規則、要綱に定められている状況にありました。条例によっては、課税状況の確認を担当部署が確認することに同意することを書式として定めているものの、理解が不足しているために証明書の添付を求めたりするなど、住民に余分な負担をかけているものもありました。条例に記載されている内容の多くは課税証明書の添付というよりも、課税を証明する書類の添付であるなど、担当段階で住民負担の軽減の観点から検討すれば改善できたのではないかと考えるものもありました。でも、慣れない部署に異動になり、種々の事務の全てに精通することは時間的にも無理な部分もあるのかと考えるところです。 |
6. 自治体労働者の自己改革を住民サービスの向上 自治体を取り巻く情勢は、めまぐるしく変化しています。すべての書類を手書きしていた時代から、ワープロそしてパソコンによる電算化処理に変遷しました。時代の流れに必死について行こうと、自治体労働者の取り組みは全国各地で実践されています。小さな自治体だから住民一人ひとりの顔が浮かぶかでしょうか。タテ割り行政といわれていますが、自治体労働者として、その垣根を越えて連携することで、住民サービスの更なる向上がはかれるのではと思います。 |
7. ワンストップサービスからワンプロージャー・カバー・サービスへ 自治体労働者として、日々の業務においてワンストップサービスの理念が言われています。システムの構築や連携の具体例も種々提言されていますが、一つの窓口での手続きで、運団的に網羅できるサービスを提供できるのではと思います。申請書の欄に調査承諾欄を設けるだけで、これだけの住民サービスの向上が図られるのですから、各自治体の職場では、もっと多様な業務改善もあるのではと思います。小さな自治体の小さな改善ですが、このことを通して、より一層サービスの向上と福祉の増進をと思って今後も活動したいと思います。 |