2. 職員の異動で変わる姿
A児童館の利用人数 月~金 (人) |
西暦 |
年号 |
幼児 |
小学生 |
中学生 |
高校生 |
大人 |
計 |
2004 |
H16 |
4,029 |
33,879 |
1,523 |
847 |
6,488 |
46,766 |
2005 |
H17 |
3,598 |
32,369 |
1.522 |
633 |
7,137 |
45,259 |
2006 |
H18 |
3,422 |
28,620 |
3,162 |
335 |
6,505 |
42,044 |
2007 |
H19 |
3,553 |
25,801 |
4,533 |
116 |
8,310 |
42,313 |
2008 |
H20 |
3,298 |
29,842 |
2,900 |
158 |
8,316 |
44,514 |
2009 |
H21 |
3,521 |
26,360 |
1,718 |
483 |
8,155 |
40,237 |
2010 |
H22 |
3,412 |
23,069 |
1,072 |
189 |
7,456 |
35,198 |
2011 |
H23 |
3,605 |
23,915 |
849 |
83 |
7,530 |
35,982 |
2012 |
H24 |
2,625 |
23,532 |
1,010 |
141 |
5,508 |
32,816 |
2013 |
H25 |
3,662 |
26,345 |
1,997 |
38 |
4,285 |
36,327 |
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A児童館では、館長を中心に指導員の協力の基で、地域住民との関係を築き上げて良好な運営を行っていました。
その当時は、館長と地域担当職員を中心に、催しごとに応援職員数を入れ替えながら年2~3回程度の地域との連携事業に取り組んでいました。夜間の打合せも館長や地域担当+1人程度で対応を行い、できる限り多くの職員の顔を覚えてもらうと同時に、職員側も地域の方を知ることに励んでいました。
2009年4月に館長が異動で変わり数年が過ぎたところで、住民との関係がぎこちない状況に陥ってしまいました。この変化は異動をした職員の耳にも届けられるようになるという状況になりました。(偶然に役所内で出会った時などの立ち話。)
この状況を生み出した原因と思われるのが、児童館事業の他に地域の催し等で協力を行うために夜間の打合せや土日の事業の参加など、職員の負担が増大してきたのを懸念して、館長が業務整理を行ったことが要因と考えられます。(2009年4月~2013年3月)
職員の負担を減らすために、協力事業に関しては館長がほとんど参加をして、夜の打合せ等も必要最小程度に館長のみが参加していたということでした。
それまで、様々な交流ができていた住民にとっては、館長との交流が主になり他の職員と接する機会が減っただけでなく、催しを行う時には、館長に頼む仕事も選ばなければならなくなってしまいました。その結果、住民の不満の声が大きくなり主管課にも届き、前の館長にも相談が寄せられるようになりました。
主管課は、他の児童館で地域との連携に熱心に取り組んだ館長と地域と良好な関係時にいた職員(以後B職員と呼ぶ)をセットにして異動をさせて立て直しを計りました。
立て直しの取り組みは、異動してすぐに行われ前年度中に立てられていた当年度計画の見直しと事業担当替えでした。
地域が絡む事業等には、B職員を中心に組み換え、夜の打合せが必要な催しには館長またはB職員が出席して、必要に応じて他の職員も出て取り組むようにしました。
また、B職員は、以前良好な関係性を保っていた住民と積極的に声掛けしながら、館長のもとに連れて行くようにしていました。足が遠のいていた住民もB職員の声掛けに応えながら、再度館内に足を運びこむようになり、他の職員との交流も復活してきました。
地域への働き掛けは、B職員が中心的に行い、日常会話から催しに関して提案し合ったりしてから打ち合せに望み、お互いの意見の統合を図るようにしました。
ここで気を付けていたのが、検討や決定はできるだけ多くの人が集まった場所で行うということです。ある程度の筋道を立てながら、残りの部分は柔軟な対応で変えられるようにしておくことです。
打合せの場は、多くの方が参加している意識を持つこと(もたせること)が大切だと思います。報告する場ではなく、話し合いを行う場として意識しながら進めていくことが参加意識を高めていきます。
しかし、住民との関係が良くなりかけているのに対して、職員の不満の声が聞かれるようになってきたのも事実です。
通常の児童館業務に加えて、積極的に地域との関係に取り組めば、土日勤務や夜間の超過勤務が増えてきます。今までは、館長が行っていたことを割振られて、指導員の負担が大きくなってきました。
年度末を迎えた3月、B職員のもとにC職員が相談に来ました。館長のやり方と地域との関わり方に疑問を抱いているということでした。
具体的には、「地域との関係は大切だとは思うけど、なんでも地域、地域と言うのはどうなのか。」「地域に振り回されて、館の運営が疎かになっているのではないか。」「地域の下請けになっているような気がする。」という内容でした。
B職員は、「確かに前に比べてしまうと指導員の負担は増えているとは思うけど、それ以上に館長は様々な場面で対応をしている。少しでも指導員が負担して協力し合うのもいいと思う。それが、指導員と地域との関わりを広げることにつながるのではないか」「地域を知ることで、逆に地域を活用する場面も思いつくと思う。」「地域の方とは上下関係があるわけではないのだから、ちゃんと思ったことは伝えていいと思う。」「自分達から壁を作ったり、離れて様子をみたりしたら、地域の人たちは敏感に気がついてしまう。」「行事や催しだけの関係ではなく、日頃からつながっていると思うことが大切。」「ギブアンドテイクの関係がいいと思う。」などと話し合いました。
言葉は悪いかも知れませんが、「利用されたら利用することも考えてみる。」「賃借的な考えでもいいのかも知れない。」「矛盾を感じることがあり、想いがあるならば隠すことなく伝えあう。」お互いに遠慮をしていては、良い関係は築いてはいけないと思います。
3~5年で異動してしまう職場で個人が地域との良い関係を維持していくのは難しいと考えられます。いかに継承していくことを考えながら、前向きにみんなと歩む気持ちがあれば、協働・連携は絆となり育つと信じています。
地域主体の催し、児童館主体の催し、行政や他団体の催しなど参加方法や関わり方など様々だと思います。それに見合った立ち位置や役割分担、意見の出し方などは様々です。お互いの立場を尊重し合い、素直な言葉で接することが関係性を強めると思います。 |