【自主レポート】 |
第35回佐賀自治研集会 第1分科会 住民との協働でつくる地域社会 |
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1. はじめに 近年の行政現場において、「協働」という言葉が使われることが多くなってきている。これは、従来地方自治は行政職員が主体的に取り組むものであったが、それが職員と住民が同じ目的を共有し、一体となってつくりあげるものへと変化してきていることを示している。なぜこのような変化が起きたのだろうか。それは地域住民の高齢化や都市部への若年層の流出などによって、地域コミュニティの活力が失われつつあり、行政・地域ともに互いの力を借りなくては解決できない問題が出始めたからである。災害時に地域のつながりが最も重要であることは言うまでもないが、特色ある地域として存在感を発揮していくためには地域コミュニティの再生・活性化が必要不可欠である。 2. 松江市内の現状について 松江市内の各地域では、毎年運動会や清掃活動などのような行事が活発に開催されており、地域住民間の交流は十分に図られているといえるだろう。しかしそれらの活動を見てみると、若者の参加者が比較的少ないことに気付く。現在松江市は高齢化率が25%超という全国的にみても非常に高い状態にあり、今後より一層高齢化が進むことが想定される。
これは行政職員と市民との距離をより縮め、ともに松江市を発展させていくことを目的としたものである。行政職員が地域活動に積極的に参加することによって、市民に行政を身近に感じてもらうことができ、また市民の行政参加や市民目線の行政サービスを推し進めることができる。共通する課題を互いに協力して解決することもできるだろう。このように松江市では、行政職員が積極的に地域活動に参加することを推進しており、地域活動参加については人事評価対象の一つになっている。 |
3. 若手行政職員の活動実態・意識について これらのことを踏まえて、30歳以下の職員で構成される松江市職員ユニオンユース部では、本庁勤務の部員を対象としたアンケート調査を行い、58人から回答を得た。アンケートの趣旨は、地域との関わりについて問うものであり、普段ユース部員がどのような意識をもっているのかを調査したものである。 (1) 地域活動について
具体的な活動に限定しない形で、地域活動への参加の有無について問いかけたところ、回答者の約3割が何らかの活動に参加しているとの回答があった。アンケートのパーソナルデータと本問の回答内容を比較すると、実家暮らしとそれ以外の回答者では、後者の方が「はい」と回答した割合が高かった。 (2) 自治会について
自治会加入の有無について問いかけたところ、回答者の6割が自治会に加入しているとの回答があった。また併せて実家暮らしか否かによる調査も行った。 |
(3) 地域コミュニティへの意識について
地域コミュニティをどのようなときに意識するか問いかけたところ、何らかの形で意識するという回答が57%あり、一方で意識することがないといった回答も半数近くに及んだ。また自身が参加していなくても、地域活動を見かけた際などに意識するといった回答も見受けられた。 (4) 地域活性化に必要なものについて
地域活性化に必要なものについて問いかけたところ、上図の回答が得られた。活性化に必要なものとして多く挙げられたものに、「イベントなどの行事等」と「若者の力」が見られる。行事等への積極的な参加が地域を盛り上げることに繋がっていくと感じているようである。またその中でも若年層の力が地域活性化に必要な要素だと意識している部員が多いようである。 |
(5) 行政職員としての意識について
行政職員として取り組んでいることについて問いかけたところ、取り組みを行っている部員は47%となった一方で、未回答も53%に及んだ。ユース部員の意識はまだ低く、また行政職員としての自覚も不十分なようである。 (6) ワークショップにおいて 4. おわりに 地域が特色あるものとして輝いていくためには、様々な年代の住民が相互に支え合うことが求められる。行政職員は地域を支える存在であり、また地域があるからこそ成り立つ存在である。私たちはその両者の役目を背負っていることを自覚し、地域コミュニティ活性化のために何が必要なのかを常に考え、働きかけなければならない。 |