【自主レポート】 |
第35回佐賀自治研集会 第1分科会 住民との協働でつくる地域社会 |
本稿は、行財政改革による基礎自治体の現場力や組織力の低下が指摘されて久しい中、改めて基礎自治体職員の役割や働き方を問う材料として出先機関に着目し、その機能・役割を再評価することを目的とする。その具体例として、高知市の現状等を踏まえ、福祉部門に求められる役割や職員の働き方を考えながら、それを体現する出先機関の再構築試案として、地域の総合支援拠点を提示する。 |
|
1. 基礎自治体職員の働き方を問い、出先機関を再評価する 4月、人事異動。本庁から出先機関に異動となった職員がいる。「ゆっくりできる」と安堵する者あれば、「飛ばされた?」と怪訝な面持ちの者あり。事務系の行政職にとって出先機関のステレオタイプなイメージは「中枢ではなく末端、定型的業務、のんびりした職場」であろうか。 |
2. 高知市における出先機関の状況から見る組織運営の方向性 (1) 出先機関の状況と市当局の姿勢 (2) 基礎自治体職員は現場主義的であるべきではないか |
3. 福祉部門において求められる基礎自治体職員の働き方 (1) 制度横断的な包括的支援と地域連携に対する公的責務 (2) 地域により身近な場での実践が必要ではないか |
4. 福祉部門における出先機関の再構築試案 (1) 地域の総合支援拠点を構築 |
② 配置する職種とその役割・働き方
上記を踏まえ、試案の全体をまとめると、イメージとしては別図のとおりとなる。 (2) 事業効果は各職種の働き方と連携で決まる |
② 職種間連携を軸にした働き方がポイント 5. 出先機関は組織の末端ではない 基礎自治体は、地域課題や市民ニーズを把握する市民対応などの現場から、それを政策に反映していく機能までを一体的に有する行政組織であるからこそ、権限移譲など地方分権が進んできたと言える。また、人口減少局面における持続可能な市政運営として、地域・市民との協働や地域実情に応じた公助・共助のベストミックスを追求・構築していく必要もある。こうしたことを考慮すると、地域・市民に身近な場での現場実践とそこからのボトムアップが一層重要になると考えられる。そのためには、人材育成として、地域と関わるスキルやコミュニケーション能力を行政内部でしっかりと培っていく必要がある。こうした観点から基礎自治体は、その責任や職員の働き方を(労使間を含めて)真摯に議論していく中から、対地域・市民の最前線である出先機関(現業職場や直営施設含む)を組織の末端として扱うのではなく、その機能と役割を組織全体の中で位置付けていくべきではないだろうか。 |
※ 参考資料:自治労通信連載記事「福祉・医療分野の『公共性』とは何か」(淑徳大学教授・結城康博氏) |