(1) グループ型移動支援事業「かけはし」号
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地域には、障がいがあることによって、社会参加が極端に制限されている方が多く存在し、特に移動に困難があることがそのことを助長しています。そして、そのような方々の多くが余暇活動として、仲間達みんなで遠くに出かけたい、買い物に行きたい、という様なニーズがあることが地域生活支援部会で行ったアンケート調査を通じてわかりました。
地域にそのようなニーズがあることから、地域生活支援部会にて2007年、2008年と長い時間をかけて協議を進め、解決方法を協議していく中で、余暇活動に利用する車を購入することが決定しました。
宝くじの売上金を財源とした「共生のまちづくり助成事業」を利用し2台のリフト付きワゴン車を購入し、県内初のグループ型移動支援事業である「かけはし号」が誕生しました。
「かけはし号」での移動には運転者と介護者共にボランティアの方にお願いしているため、「かけはし号」の運行は宇佐市社会福祉協議会に委託しています。
利用の申請があった際には、宇佐市社会福祉協議会が運転・介助のボランティアの方に連絡し、ボランティアの確保ができたら運行というシステムで行われています。このように、「かけはし号」の運行のためには、市民の方々の協力が必要不可欠であるため、ボランティアを随時募集し、定期的にボランティア講習会も行っています。当初は、ボランティア登録者も少なく、急な申請に対応できず申請者の方に諦めてもらうことや、日程を調整してもらうことも少なからずありました。また、その後の地域生活支援部会において、当日のボランティア確保のため、申請締め切りを運行日の3週間前と定めているため、咄嗟に利用することができず利用しづらいというような厳しい意見が挙がることもありました。現在は、申請締め切りを運航日の10日前に改善しており、また、申請者の方々自身でボランティアの方の確保が可能な場合には、直前の申請でも可能になりました。その他にも、「かけはし号」に関する様々な事柄について地域生活支援ネット部会において、活発に議論されています。例えば、障がいのある方が外に遊びに行きたくなるような、色々な企画を考えて欲しいというような意見もありました。
そういった意見に応え現在では2か月に一度、利用者やボランティア、社協、市福祉課で「かけはし号」の企画会議を行っており、その中で考案された潮干狩りや、花見等の企画が実現してきました。
「かけはし号」は運行開始からまだ3年程しかたっていませんが、これからも自立支援協議会から上がってきた要望や意見を生かして発展していけばと思います。
(2) 地域共生社会をめざす宇佐市市民集会
地域共生社会をめざす宇佐市市民集会は、障がいのある方やその家族の方々が、地域で当たり前の暮らしを実践し、併せて市民誰もが安心して暮らせる地域づくりをめざし2007年より開催されています。
障がいのある方が、これまでの生活の中で体験してきた出来事を体験報告として語って頂くことや、講師の方を招き講演を行うことで、地域の方々に障がいのある方の思いや困ったこと等を理解してもらい、障がいのある方もそうでない方も、安心して暮らせる地域に近づけていきたいと考え、毎年開催しています。
自立支援協議会の活動の中でも市民の方々と市や福祉事業所の職員が協働して開催すること、また、自立支援協議会の年間活動の集大成として、重要な意味を持った催しとなっています。
(3) ピアサポートフェスティバル
「将棋教室」、「音楽教室」、「絵手紙教室」、「料理教室」等、現在市内で行われている、障がいのある方の余暇活動であるピアサポート活動の集大成として、隔年で開催しているお祭りです。
各福祉事業所の方々や、障がいのある方が力を合わせて各教室内容に基づいたイベントや焼きそば、餃子などの食べ物や、各事業所で生産した農作物や雑貨などの販売等を行っています。収益の全ては、今後の宇佐市のピアサポート活動の充実のために利用する予定です。
(4) 事業所見学会
障がいのある方や家族の方から例年多くの声が上がってくるのが、ケアホームやグループホーム、福祉事業所や支援学校等、今後子どもたちが生活する場や就労する場になると思われる場が、どのような場所であるのか、その場所でうまくやっていけるのであろうかという様な不安の声です。
そのような心配を少しでも緩和するため、上記のような事業所の見学会を各部会で行っています。
障がいのある方のご両親は特にそのような心配をされている方が多く、生活、就労、療育の場を直接見学できるこの事業所見学は、多くの好評の意見を頂いています。
(5) 要援護者支援活動
障がいのある方が地域で生活する上で必ず不安要素として挙がってくるのが緊急時の避難活動に関してです。以前から問題視され続けてきた内容ですが、特に近年、東日本大震災や豪雨による災害を目の当たりにし、一層不安の声が多くなっています。
地域生活支援部会の活動として、いざ震災があったとき、市が、事業所が、家族がどのような意識でどのような行動をとるべきなのかを学ぶため、防災アドバイザーの方を招いての講演会の開催や、地域の方々に自分の身近に、もしもの時に誰かの力が必要な方が生活していることを知って頂き、協力体制を作るため、障がいのある方が生活する地域全体での避難訓練を行いました。
(6) 5歳児健やか健診
療育・教育支援ネット部会でお母さん達から「関係機関の連携がとれていなくて、行く先々で子ども達のことを聞かれ嫌になる。特に小学校入学時は保育園、幼稚園と学校の連携が全くなく振り回されてしまう」と発言がありました。
部会終了後に保健所の保健師、子育て支援課の保健師、障害者福祉係の療育担当者がなんとかしようと話し合い、お母さん達や保健所、幼稚園、教育委員会も参加した協議会を立ち上げ、就学一年前に保育園、幼稚園に通所している全員を対象とした「5歳児すこやか発達相談会」を実践継続しています。
この成果は全員を対象としたことで「子どもが年齢にあった成果をしているのか分からず、ついつい子どもを叱ってしまう」というお母さん達の不安を解消する場となっていること、保育園、幼稚園だけでは解決できない、集団行動が上手くできない子ども達と家族を支援する輪が拡がっています。
療育コーディネーターの保育園、幼稚園家族への訪問相談やとぎれない支援のためのツールとして「あしあとファイル」が作成されました。
お母さん達から「一番怖いのは孤独だと感じること、支えてくれる人がいるということは本当に助かる」という発言につながっています。
(7) 夏休み日中一時支援事業「すきっぷ」
療育・教育支援ネットで、障がい児のお母さんたちからの要望で事業化しました。
夏休みの長期休暇の間、子どもの居場所がない。いろんな大人に接して欲しい。いろんな人に障がいのある児童のことを理解して欲しいという切実な願いからでした。
事業自体は、大分県福祉事業団に委託していますが、子どもとマンツーマンで接するのは、多くの市民のボランティアや職員で対応しています。
(8) バリアフリー検討対策委員会
地域生活支援ネットの会議の中で、当事者の方より「宇佐市の駅にはエレベーターが無いのでエレベーターがあったらいいな」というような意見がありました。
しかし個人が要望をしても実現するのは難しいのではという考えがあったため、駅に限らず公共機関などを調査し、要望を送るのを目的に、バリアフリー対策検討委員会を発足しました。
これまでの取り組みとして、JR九州に対して、宇佐市柳ヶ浦駅へのエレベーター設置の要望書の提出を行いました。また、各公共機関や避難所などの調査を行いました。
今後は調査内容を精査し、各機関への要望書の提出や、バリアフリーマップの作成を行いたいと考えています。
これらの取り組みは全て、自立支援協議会の活動からニーズを見つけ実現していった内容であり、障がいのある方を支援していく上で、如何に自立支援協議会が大きな役割を担っているのかがわかって頂けるかと思います。 |