【自主レポート】 |
第35回佐賀自治研集会 第2分科会 地方税財政と公共サービス |
行政改革が推し進められ、公務の業者委託や指定管理など様々な手法で「民間でできるものは民間へ」と経営形態が変化している職種が多くなりました。子どもたちの給食も、かつての単独調理から共同調理へ、そして公設から業者委託、PFIへと進んできています。地方の財源問題が、安全・安心で子どもたちの食育を司る給食現場に、暗い影を落としている状況がないのか、大仙市の給食センター問題から提起します。 |
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1. はじめに (1) 市町村合併と賃金カット (2) 当時の財政状況
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(3) 公立保育・幼稚園の法人化
2006年4月には公立保育・幼稚園、特養・老健などの施設の法人化推進チームが庁内に設置され、法人化の検討が始まりました。しかし、最初から旧大曲市の手法を倣った新設社会福祉法人への経営移行を前提としたもので、「民間でできるものは民間へ」の行革の流れそのものでした。 当局説明では「持続可能な経営形態」、「非正規臨時職員の正規職員化」などの大義名分を口にし、職員には10年間の移行期間中に身分移行を促すものでした。 法人化にあたって、①10年以内は派遣で公務員の身分のまま勤められる、②5年以内に移れば整理退職扱い、③希望により一般職への職種替え、など、少しでも条件を良くしようという当局の姿勢はありましたが、当初は賃金水準が明らかにされないまま、法人化説明会や職員の意向調査が行われ、職員は「法人化ありき」の流れの中に取り込まれていきました。 「保育士になったのはその仕事が好きだからでしょう」、「今はいいが、高齢になったら子どもを追って走れますか」、「事務職に入るより自分のしたい仕事をした方がいいじゃないですか」など、職員に対する個人面談では配慮を欠く発言も多々あったようです。 市職員組合は、県本部と共に職員への学習会や施設を超えた交流を行い、法人化に対し抵抗しました。しかし、議会特別委員会で法人化計画にGOサインが出され、「これまでと保育は何も変わりません」という説明に、保護者からも反対意見がなく、計画は着々と進められています。 2. 認定こども園への給食提供
そして、2013年4月から、仙北地区の認定こども園 みどり幼稚園への給食が、市の方針により、仙北学校給食センターから提供されることになり、現場が大混乱しました。 |
(1) 混乱した現場 (2) 複雑な委託形態の給食センター このうち、「所長」は常駐しておらず、市の中心にある総合給食センター所長が兼務しています。 (3) 問題の認知と取り組み
3. まとめ 大仙市の給食業務の委託化は行革手法の一つであり、民間企業ではなく、市が関与した法人を活用する手法は、市長が時々口にする「身分が不安定で手当も無い臨時職員などの非正規職員を正規職員化したい」という考えを、具体化しているといえます。確かに民間企業への委託や指定管理より、身分の安定化が図れる場合もありますが、賃金は二段構造であり、同一価値労働同一賃金の理想には届きません。 |