1. はじめに
(1) 県内各自治体における臨時・非常勤職員の職域・人数等の実態(自治労2012年実態調査より)
① 総体として
職種として10区分、臨時・非常勤職員の総数は14,504人となっています。
【A.保育士 B.学童指導員 C.学校給食関係職員 D.学校用務員 E.図書館職員 F.看護師・准看護士 G.消費生活相談員 H.ケースワーカー I.一般事務 J.その他】
② 主要自治体での人数について
新潟市3,787人、上越市1,665人、新潟県1,655人の3自治体で7,107人(49.0%)となっています。
③ 職種的な人数について
保育士4,294人(29.6%)、一般事務3,471人(23.9%)、その他職種4,239人(29.2%)と3職種で82.7%を占めています。
(2) 県内各自治体における臨時・非常勤職員の構成比率(自治労2012年実態調査より)
各項目について、全体数や職種についての新潟県内上位3自治体をグラフ化し視覚化しました。
① 各自治体での臨時・非常勤職員の構成比
構成比の多い順……新発田市50.1%、燕市49.5%、聖籠町49.0%が約半数近い水準となっています。
② 保育士職場での臨時・非常勤職員の構成比
構成比の多い順……糸魚川市76.6%、新潟市71.9%、村上市69.3%で高い水準です。
③ 一般行政職場での臨時・非常勤職員の構成比
構成比の多い順……新発田市36.9%、柏崎市34.5%、十日町市33.7%が高い自治体です。
④ その他、構成比の高い職種
学童指導員・消費生活相談員がほぼ100%に近い水準です。
これら県内自治体の数値の状況からしても、一口に臨時・非常勤職員といっても自治体の規模・組織体的事情や職種によって大きな差があり、正規の公務員と比較して非常に労働条件が厳しいにも関わらず、問題が顕在化しにくい、また組合のような組織化がほとんどされていないこともあり、働く者としての声を上げにくい現況が容易に理解できることと思われます。
2. 臨時・非常勤職員の推移
(1) 自治労調査結果の推移
① 自治労調査
自治労調査では臨時・非常勤職員の数値を調査しており、2008年と2012年に実施しています。一部調査対象職種が異なっていることや回答がなかった自治体がありますが、概ねの実数を把握することができます。
② 4カ年の変化・推移
2008年では総数7,738人(うち保育士1,591人)であり、2012年では総数9,062人(うち保育士2,526人)です。4カ年変化では総数として1,324人(うち保育士935人)増加しており、率にして17%(うち保育士58%)増加しています。一部自治体回答がないものもあるため、単純ではありませんが、4年間で増加していることがわかります。特に保育士では伸びが顕著になっています。
3. 保育園における臨時・非常勤職員について
(1) 自治労組織実態調査における保育士部門の結果
① 任用(採用)の法的根拠は、地公法第22条根拠が8自治体、同法第17条根拠が12自治体、同法第17条根拠と思われる自治体が2自治体、不明と回答した自治体は2自治体となっています。
② 週あたり勤務時間は、第22条根拠自治体では「正規と同じ」が最も多く6自治体、「正規の3/4以上」と「正規の1/2」と回答した自治体がそれぞれ1自治体となっています。逆に第17条根拠の自治体(17条根拠と思われるも含め)では、「正規の3/4以上」と回答した自治体が最も多く10自治体、次いで「正規と同じ」が3自治体、「正規の1/2」が1自治体となっています。
③ 賃金の形態は、法的根拠による違いはみられませんでした。時給制が11自治体、日給制が9自治体、月給制が5自治体となっています。
④ 昇給制度の有無についても法的根拠による違いはみられませんでした。昇給制度が有りは6自治体、無しは18自治体となっています。
⑤ 契約上の雇用期間は、第22条根拠の自治体では「6ヶ月未満」が4自治体、「6ヶ月」が3自治体、「1年」が1自治体となっています。逆に第17条根拠自治体(17条根拠と思われるも含め)では「1年」が9自治体で最も多く、次いで「6ヶ月」と「6ヶ月未満」がそれぞれ2自治体、「6ヶ月以上1年未満」が1自治体となっています。
⑥ 雇用年数の限度は、第22条根拠自治体で「上限なし」が7自治体、「1年」が1自治体となっています。第17条根拠の自治体(17条根拠と思われるも含め)では、「上限なし」が5自治体、「5年」が5自治体、次いで「1年」が2自治体となっており、「5年を超える」と「3年」と回答した自治体がそれぞれ1自治体となっています。
⑦ 一時金(期末手当等)支給の有無については、第22条根拠の自治体で有りが5自治体、無しが3自治体となっており、第17条根拠自治体(17条根拠と思われるも含め)で有りが5自治体、無しが9自治体となっています。この結果、第22条と第17条の条例により自治体の対応は大きく分かれており、第22条根拠の優位性が現れています。それ以外の手当の支給については、法的根拠による違いは見られませんでした。
⑧ 休暇制度については、休暇日数等が不明なため一概に比較はできませんが、私傷病休暇と育児休暇においては第17条根拠自治体(17条根拠と思われるも含め)のほうが付与されている自治体が多いようです。
(2) 正規職員との関連
① 保育園職場における正規職員数を基本とし、臨時・非常勤職員数が正規職員数を下回る自治体は、加茂市・阿賀町・南魚沼市・湯沢町・三条市の5自治体となっています。
② 臨時・非常勤職員数が正規職員数を上回る自治体は17自治体となっています。その中で正規職員数の2倍以上の自治体は、妙高市・糸魚川市・見附市・村上市・長岡市・新潟市・聖籠町の7自治体となっています。
③ 特に新潟市では88保育園666人の正規職員に対し1,999人の臨時・非常勤職員配置で、正規職員の3倍超。また聖籠町では規模は小さく1保育園4人の正規職員ですが、14人の臨時・非常勤職員配置で、正規職員の3.5倍超の実態となっています。
4. 一般行政職場(本庁・支所等での一般事務)における臨時・非常勤職員について
(1) 自治労組織実態調査結果
① 臨時・非常勤職員としては採用における適用法律としては、地公法第22条根拠の自治体は9自治体、第17条根拠が14自治体、第3条3項根拠が1自治体となっています。 |