1. 導入に至った経緯と目的
大分市議会では、市政執行に対する評価・監視機能の強化の一環として、毎年、決算審査の充実に努めています。
2010年から決算審査特別委員会において議長・副議長・監査委員を除く全議員が参加できる分科会方式を導入しました。予算等を審査した常任委員会に準じて行うことで、より迅速で効果的な審査を行うことができます。このことにより予算と決算の審査に一貫性を持たせ、専門的で効果的な決算審査となりました。
2012年からは、これまでの取り組みを踏まえ、試行的に決算審査の一環として事務事業評価を導入しました。これは、市が行う事務事業を必要性、妥当性、達成度、費用対効果などの観点で評価し、「拡充」「継続」「終期設定し終了」「休止・廃止」の4つの評価区分と意見を付すことで、今後の事務事業の点検、改善につなげ、翌年度の予算編成に反映させることを目的としています。制度を導入したことで、議会の権能強化につながりました。
2. 導入までの経過
① 2005年まで
決算審査は、議員の中から選任された10人ほどの委員が9月議会閉会後から審査を行い、12月議会の開会日に審査報告を行い、議決していました。
② 2006年
早期議決を行うことを目的に、10月中旬に臨時会を開催し、決算審査報告を行い、議決することとしました。
③ 2010年9月定例会
決算審査特別委員会にほぼ全議員(正副議長・議員選出による監査委員を除く。)が参加できるよう、分科会方式を導入しました。
④ 2011年6月
議会活性化推進会議において、事務事業評価導入に向けた本格的な議論が始まりました。
⑤ 2011年9月定例会
翌年からの事務事業評価の導入を視野に、重点事業の成果について、総合計画上の位置付けを明確にして審査を行いました。
⑥ 2011年10月3日~4日
【先進地視察】
視察事項 議会が行う事務事業評価
視察都市 東京都多摩市、神奈川県茅ケ崎市
⑦ 2011年12月5日
先進地の取り組み状況等を紹介し、共通認識を図るため、全議員を対象とした説明会を開催しました。
⑧ 2012年3月26日
事務事業評価に関する議会活性化推進会議での協議結果について、共通認識を持って、実際の事務事業評価に臨むため、全議員を対象とした説明会を開催しました。
⑨ 2012年9月定例会
決算審査の一環で、議会として初めて事務事業評価を実施しました。
3. 評価対象事業数と選定基準
① 評価対象事務事業数(実際に決算審査特別委員会の各分科会で評価を行う事務事業の数)
1常任委員会(分科会)あたり3事業以内(特別会計は除く)とする。
② 評価対象事務事業の選定基準
継続事業、市民生活に直結している事業、市が補助金を出している事業、市単独の事業
③ 対象事務事業数(評価を行う事務事業を選定するために各会派等から出される事務事業の数)
会派名 |
会派人数 |
対象事務事業数 |
5常任委員会 |
自由民主党 |
14人 |
5事業以内 |
25事業以内 |
社会民主クラブ |
8人 |
4事業以内 |
20事業以内 |
公明党 |
6人 |
3事業以内 |
15事業以内 |
新市民クラブ |
6人 |
3事業以内 |
15事業以内 |
おおいた民主クラブ |
4人 |
3事業以内 |
15事業以内 |
日本共産党 |
3人 |
2事業以内 |
10事業以内 |
新政クラブ |
2人 |
2事業以内 |
10事業以内 |
無所属議員 |
1人 |
1事業以内 |
5事業以内 |
4. 事務事業評価のフロー
(1) 評価対象事務事業選定の流れ
日 程 |
会議名 |
内 容 |
2014年
4月8(火) |
|
事務事業選定調整会議
(*) |
事務事業選定にあたり、評価対象事務事業の数及び選定基準、対象事務事業数、会派などからの対象事務事業の事務局への提出日、各常任委員会での評価対象事務事業の選定日について協議、決定する。 |
17(木) |
|
議会運営委員会 |
議長が上記決定事項を報告する。 |
…… |
…… |
会派などにおいて対象事務事業を選定。 |
5月16(金) |
|
|
会派などから対象事務事業を事務局へ提出する。 |
~23(金) |
|
|
事務局は、対象事務事業一覧表(常任委員会ごと)を作成する。 |
…… |
…… |
…… |
6月2(月) |
|
事務事業選定調整会議 |
議長が対象事務事業一覧表を提示し、選定依頼を行う。 |
9(月) |
開 会 |
第2回定例会 |
|
…… |
…… |
…… |
18(水) |
委員会① |
常任委員会 |
評価対象事務事業の選定を行う。
選定後、常任委員長は議長に選定結果を報告する。 |
19(木) |
委員会② |
常任委員会 |
20(金) |
委員会③ |
常任委員会 |
21(土) |
(休日休会) |
|
|
22(日) |
(休日休会) |
|
|
23(月) |
閉 会 |
議会運営委員会
(本会議閉会後) |
議長が常任委員会での選定結果を報告する。
報告後、市長へ通知する。 |
|
(*)事務事業選定調整会議…議長が非公式に正副委員長を招集し調整する機関。 |
(2) 執行部への通知
6月の第2回定例会後に議長から市長へ通知し、評価シートの作成を依頼する。
(3) 事前調査研究
9月議会において評価ができるよう7月から8月の間、各常任委員会において評価対象事務事業について調査研究や市民との意見交換会等を行い準備を進めて行く。
(4) 決算分科会での事務事業評価の流れ
① 9月第3回定例会の開会日に決算特別委員会を設置し、執行部からの事務事業評価シートを配布する。
② 議会が作成した評価シートと執行部が作成した評価シートを基に評価を行う。
③ 評価は分科会の日程で行う。
④ 分科会の評価結果を作成する。
合意形成の方法
議会として、ひとつの結論を出していくことは難しいが、各分科会での評価の過程を重視するなか、議会としての評価の合意形成(方向性)を図る。その合意形成を図る場については、正副委員長・正副分科会長会議を経て、全体会で決定する。また、分科会の中で意見が分かれた場合は、多数決で決した意見を分科会での評価とする。なお、その他の少数の意見を付帯意見とすることについては、分科会で決定する。
① 決算全体会評価
正副委員長・正副分科会長会議で集約したものを報告し、決算審査特別委員会としての評価結果とする。
② 決算委員長報告
9月定例会最終日の決算審査特別委員長の報告の中に事務事業評価結果を含めて報告する。
(5) 評価結果後の流れ
① 評価結果の送付
評価結果は後日、決算審査報告と評価結果及び要望事項を合わせ文書で執行部へ送付する。
② 改善等の議会への報告
翌年3月の第1回定例会の常任委員会において、予算議案の審査の中、事務事業評価結果に対する執行部の対応状況の報告を受ける。
③ 事務事業評価の検証と反映
事務事業評価に対する課題について検証し、翌年の事務事業評価に反映する。
事務事業評価結果 |
2012年度(2011年度決算) |
|
事務事業名 |
評価区分 |
総 務 |
1 |
大分市職員互助会運営費補助金 |
継続 |
2 |
ご近所の底力再生事業 |
継続 |
3 |
地域まちづくり活性化事業 |
継続 |
厚 生 |
1 |
高齢者ワンコインバス事業 |
継続 |
2 |
地域子育て参加促進事業 |
継続 |
3 |
幼児2人同乗用自転車購入費補助事業 |
終期設定し終了 |
文 教 |
1 |
学校図書館活性化事業 |
拡充 |
2 |
大分市小中一貫教育推進事業 |
継続 |
3 |
総合型地域スポーツクラブ事業 |
継続 |
建 設 |
1 |
道路維持費 |
拡充 |
2 |
大分都心南北軸整備事業 |
継続 |
3 |
ふるさと団地の元気創造推進事業 |
継続 |
経 済 |
1 |
企業立地推進事業 |
継続 |
2 |
商都復活支援事業 |
継続 |
3 |
着地型観光を活用した商品開発事業 |
拡充 |
|
2013年度(2012年度決算) |
|
事務事業名 |
評価区分 |
総 務 |
1 |
地域まちづくり活性化事業 |
継続 |
2 |
広聴広報費(広報事業) |
拡充 |
3 |
公民館類似施設建設費補助事業 |
拡充 |
厚 生 |
1 |
敬老事業費(長寿祝福事業) |
継続 |
2 |
保育所地域子育て支援センター事業 |
継続 |
3 |
地球温暖化対策推進事業 |
継続 |
文 教 |
1 |
教育指導費(子ども教育相談センター管理運営事業) |
拡充 |
2 |
私立幼稚園就園奨励費補助金 |
継続 |
3 |
あいさつOITA+1運動推進事業 |
継続 |
建 設 |
1 |
大分市中心市街地活性化事業(都心活性化推進事業) |
継続 |
2 |
大分都心南北軸トータルデザイン設計事業 |
継続 |
3 |
浜町・芦崎・新川地区住環境整備事業 |
拡充 |
経 済 |
1 |
地産地消推進事業 |
継続 |
2 |
有害鳥獣対策事業 |
拡充 |
3 |
東アジア観光客誘致促進事業 |
終期設定し終了 |
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【総務】公民館類似施設建設費補助事業 |
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|
【経済】東アジア観光客誘致促進事業 |
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