【自主レポート】 |
第35回佐賀自治研集会 第5分科会 発信しよう! 地域の農(林水産)業 つながろう! 生産者(地)と消費者(地) |
水産業は魚食文化のある日本人にとって身近な産業として発展してきました。しかし、漁獲量の減少や魚価の低迷に加え消費者の魚離れが進み、深刻な状況に追い込まれています。水産業の振興を図るためには、漁村が重要な役割を担っています。漁村は漁業生産活動の根拠地として、また、漁業者や地域住民の生活の場としての機能を果たしています。本レポートでは、水産業の活性化につながる漁村の取り組みについて提言します。 |
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1. はじめに 漁村は漁業者をはじめとする住民の生活の場であるとともに、魚介類や海藻等の生産の場となり、消費者に水産物を供給するという重要な機能を果たしています。しかし、漁村人口の減少・高齢化が進行し、漁村の活力が低下しています。 2. 未利用魚の活用 漁協女性部では未利用魚を活用した商品開発・販売を行いました。未利用魚とは魚体のサイズが不揃いであったり、漁獲量が少なくロットがまとまらない等の理由から、非食用に回されたり、低い価格でしか評価されない魚のことです。
3. 未利用海藻の活用 漁協女性部ではアカモクという未利用海藻の商品化も行いました。アカモクは全国各地の岩場に生息する大型海藻です。これまでアカモクは食用として利用されず、漁船のスクリューに絡みつき、除去に時間がかかることから「ジャマモク」とも呼ばれ邪魔者扱いされてきました。しかし、近年の研究でカリウムやマグネシウムの栄養素や、抗がん作用があるとされているフコイダンなどを豊富に含んでいることが分かりました。漁協女性部はこのアカモクに着目して商品開発に乗り出し、半年間試行錯誤を重ねた結果、水揚げしたアカモクをすぐに熱湯に通し、冷水ですすいだ後、冷凍保存する加工法で商品化しました。
4. 行政の支援 漁村での活動組織は少人数で構成されているうえに、高齢化が進んでいるため、商品開発や販売意欲があっても、行政の支援がなければ商品化や量産化ができない場合があります。漁協女性部では、六次産業化に取り組む事業者として国の認定を受け、商品開発やネーミング、パッケージデザインについて、国から派遣されるアドバイザーの指導のもと商品化を進めました。また、県や市の補助金を活用して必要な機器を導入し、一定量が生産できる体制を整えました。 5. まとめ 水産業の活性化を図るには、漁村が大きな役割を担っています。活力ある漁村をつくるためには、自治体やNPO、地域住民が連携し、地域資源を生かした商品づくりを行うことがひとつの方策と考えます。水産業を取り巻く状況は年々厳しくなっていますが、漁村における地域に根ざした起業活動や六次産業化の取り組みが重要であると考えています。 |