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図14 地元で漁獲されたアカアシエビの天丼
(2013年12月14日) |
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図15 朝食サービスの利用の有無(N=60) |
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図16 朝食サービスの利用回数(N=27) |
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図17 質問紙調査結果を用いたうすき海鮮朝
市の改善のための協議の様子。漁協、
臼杵市役所も同席し意見を交わした。 |
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図18 食堂のメニューを見るお客様 |
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図19 「かぼすブリ」の海鮮丼 |
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図20 食堂に掲示した「かぼすブリ」の
パンフレット |
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図21 臼杵名物「黄飯」にカマガリ炙り刺し
をのせたカマガリ炙り丼 |
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(3) 朝食サービスについて
朝食サービスは、市場に揚がったばかりの新鮮な魚介類を海鮮丼として、500円で提供するサービスであり、毎週およそ20食程度提供されている(図14)。
この朝食サービスについて、その利用の有無について図15、利用回数について図16に示す。回答者の45%が利用したことがあること、利用者の67%が2回以上利用しているリピーターであることが明らかになった。
また、朝食で提供される海鮮丼について、「美味しさ」「値段」「量」「新鮮さ」について評価を調査したが、特に「新鮮さ」において「とても新鮮である」との回答が25人(93%)から寄せられるなど、特に新鮮さの評価が高い結果となった。評価理由(自由記述)からは「漁協のお母さんたちのがんばりに感謝します。」という好意的な意見がみられたが、「臼杵魚市場の料理というものを提供してほしいです。もう少し高くてもよいので、トッピングを増やしたらどうでしょうか。」、「おおむねGood! さかなの種類を解説して! 赤足は旨い! たれを置いたのはよい!」など、臼杵魚市場らしい海鮮丼の提供の要望や海鮮丼で提供する魚の説明を要望する意見もみられた。
次に、意見(自由記述)としては評価理由と同様に「食堂の方もとても親切でよいと思います。」や「皆さんがとても親切で居心地がとても良い」という好意的な意見がみられたが、「メニュー表示を入り口前に貼った方がよいと思う。外から見て、何を食べられるのか解らない。」、「食卓に『ふきん』を用意してほしい。自分でふくので!」などの意見がみられた。
(4) 調査結果の普及と改善
これらの調査結果などについてとりまとめ、さばきサービス・朝食サービスを実際に行っている漁協女性グループに紹介を行い、今後の改善点について協議を行った(図17)。協議で挙げられた改善点は下記の通りである。
① さばきサービスについて
できるだけスピーディな対応を心がけること。
② 朝食サービス
食堂の入り口へのメニューの掲示、臼杵魚市場らしい海鮮丼の提供、海鮮丼で提供する魚の説明を行うこと、ふきんの用意などお客様を意識した食堂づくり。
これらの改善点を受け、次の朝市から様々な改善を行っており、調査結果を即時に現場に活かす取り組みを行った。
さばきサービスについては、本調査結果を基に漁協女性グループがお客様を待たせている自覚を持ってもらうことで、できるだけスピーディな対応を行うよう意識付けを行った。現在では待つ順番を記載した整理券の配布を徹底するなど、努力を重ねている。
朝食サービスについては、協議後の朝市において、食堂の入り口にメニューを掲示した(図18)。この日の営業では初めて海鮮丼を食べるお客様も多かったとのことで、初めての方がより入りやすい環境整備を行うことが出来た。
また、その際に提供されたメニューは大分県のブランド魚「かぼすブリ」の海鮮丼(図19)であったので、かぼすブリの説明のパンフレットを食堂に掲示し、漁協女性の説明とともにお客様が魚のことをより知って頂けるような工夫を行った(図20)。
最後に臼杵魚市場らしい海鮮丼の提供については、漁協女性グループと協議を重ね、臼杵名物である「黄飯」を海鮮丼のご飯とすることとなり、2014年4月より提供を開始することが出来た(図21)。現在では、カマガリ(標準和名クログチ)やレースケ(標準和名クロアナゴ)などの臼杵の特産魚や漁協女性グループが自信を持って薦める獲れたての新鮮な臼杵の魚と併せることで、臼杵らしく、臼杵でしか食べることのできない海鮮丼を提供している。
まとめであるが、本研究は質問紙調査の結果から、うすき海鮮朝市の現状把握を行い、今後さらなる発展のために調査結果の普及、それに基づいた改善を行った。これらの改善を行うにあたり、質問紙調査の結果を根拠とするのは、関係者の皆が受け入れやすく、皆で結果に対して考えていくことで、この朝市をより良くしていこうという連帯感が生まれた。
今後さらに、うすき海鮮朝市を活性化させ、地域の水産業の発展、ひいては地域活性化に繋げていきたいと考えている。
4. 謝 辞
質問紙調査に回答いただいた回答者の皆様、配布にご協力いただいた津久見高校海洋科学校の皆様、大分県漁業協同組合臼杵支店の皆様、臼杵市役所産業観光課の皆様に深くお礼申し上げます。
5. 参考文献
① 田中克哲:JF最前線 われら元気組! -朝市で漁村活性化-、漁協、No.26(2)、pp22-25、2009
② 森本剣太郎・鈴木武:朝市の現状基礎分析―沿岸域の地域活性化に向けて―、国土技術政策総合研究所資料、No.559、pp1-48、2010
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