【自主レポート】 |
第35回佐賀自治研集会 第7分科会 ワークショップ「自治研」 楽しく学ぶ自治研活動 |
越前市には変わった課があります。それは『越前建設ナノブロック課』。『課長』は現在34歳、課員は若手のみで8人。業務内容は『ふるさと越前市・福井県の魅力を世界にPRすること』『子どもたちに作る(創る)喜びを伝えること』。勤務時間は平日夜と土日祝日。ただし、給与や手当は一切支払われません。まさか今問題となっているブラック企業? いえいえ、当課はブロック企業です。いったいどんな職場なのでしょうか? |
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1. はじめに (1) 2つの肩書 (2) ナノブロックとは 2. 活動のはじまり (1) 33歳で課長就任 そこで私は考えた。「思いっきりローカルなブログにしよう。作品のモチーフは越前市や福井県にゆかりのあるものを中心に。もしかするとそこから越前市のPRに繋がるかもしれない。」 そしてブログのタイトルは『越前建設ナノブロック課』に決定。ブログ内で私は『課長』を名乗ることにした。越前建設という架空の会社があって、私はナノブロック課という部署の課長という設定である。 2013年6月1日、越前建設ナノブロック課のブログが始まり、私は33歳で課長に就任した。 (2) 『きくりん』のブロック化
(3) 若手職員からのアイデア 3. ネット上から現実の世界へ (1) ブロックきくりん組立説明書の作成
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(2) ブロックきくりん製作教室 そして始まったブロックきくりん製作教室。全てがぶっつけ本番で、正直不安もあった。だが……結論から言うと大成功だった。最初のうちこそつまづきはあったものの、子どもたちの創造力は想像以上。あっという間にコツをつかんで、皆スイスイと組み立てていく。早く出来上がった子は遅れている子に教えてあげるという光景も見られた。取材に来たCATVのカメラの前で自分が作ったきくりんを誇らしげに見せる男の子。皆、凄く楽しそうにしている。 全員がほぼ完成させた頃合いを見計らって、課長からのとっておきのサプライズプレゼント。入口から何か黄色く丸っこいものが入ってくる。「……あっ! きくりんだー!」笑顔で駆け寄る子どもたち。そう、事前に観光課にきくりん派遣を申請していたのだ。 最後にきくりんと参加者全員で記念撮影をしてブロックきくりん製作教室は終了。皆、ブロック遊びときくりんのことを大好きになってくれたと思う。 |
4. ブロック教室のその後 (1) 教室開催の反響 (2) 課員の増加 (3) メーカーとの協議 5. 広がる世界 (1) 季節のきくりんシリーズ (2) 公式コンテスト入賞 2014年3月末、朗報が届いた。私の作品がナノブロックの公式世界大会で優秀賞を受賞したというのだ。さらに受賞特典として、私が大会にエントリーした全作品が東京スカイツリーで開催されるナノブロックのイベントにおいて展示されることも決まった。 エントリー作品には『きくりん』や『福井鉄道』も含まれていた。きくりんはブロック教室のトラブルもあり、本当に展示されるのか不安もあったが、2014年5月9日から11日まで、実際に展示していただくことができた。 (3) 新聞記事に 公式大会での受賞は私の活動にさらに弾みを付けた。受賞の事実を投げ込みしたところ、新聞等のマスコミが私を取り上げてくれたのだ。(ここでも活躍してくれたのが広報課の彼。人の繋がりの大切さを実感した。) 取材を受けたのは4社で、うち3社が全国紙。掲載は福井版のみという社がほとんどであったが、今はインターネット全盛の時代である。記事は紙面だけでなく、Web上でも公開されるため、あっという間にSNS上のナノブロックファンの間に広がっていった。これまでブログ上で『課長』とだけ表示されていた人間の正体が知れ渡った瞬間である。正直、気恥ずかしさもあるが、「市役所職員が時間外にここまでやるんだ!?」という(良い意味での)驚きもあったようで、越前市だけでなく市職員(公務員)のイメージアップにも繋がったのではないかと思う。 |
6. まとめ 2013年6月1日にブログを開始してから1年、当初10/日前後だったアクセス数は50/日前後まで増えており、多いときには100/日を超えることもある。現在はブログだけでなく、ツイッターやフェイスブック等のSNSツールと連携しており、新作をアップすると直ちに情報が拡散、その反応が嬉しくて新作づくりの意欲となり……と良い循環を生み出している。『越前建設ナノブロック課』=『きくりん』=『越前市』という認知も広まり、市のPRにもある程度貢献できているのではないかと自負している。 私には今、目標・夢がある。それは『きくりん』がナノブロックの公式キット化されて『たけふ菊人形』会場で限定販売されることだ。たかだか人口83,000人の地方都市のイベントで実現できるはずがないと笑われるかもしれない。だが、大人だってたまには馬鹿な夢を見てもいいじゃないか。ただのブロック遊び上等。私は今晩も新たな『きくりん』のアイデアを形にするため、ナノブロックを手に頭を悩ませる。 |