【自主レポート】

第35回佐賀自治研集会
第7分科会 ワークショップ「自治研」 楽しく学ぶ自治研活動

 自治研は、職場の仲間や市民といっしょに僕たちの思いを込めた政策を実現させていくことを目的とした組織です。人口減少時代に突入した今、自治体を取り巻く状況は、極めて厳しくなっています。そうした時代だからこそ、自治研が担う役割は大きくなっているのだと思います。このレポートでは、自治研からトレイルランニングレースを企画する過程で感じた自治研の強みを提言します。



自治研発 田舎でトレランレースをつくろう


三重県本部/自治労熊野市職員労働組合・自治研部 山門 祐三

序 章

 熊野市は人口2万人弱の小さな市です。三重県の県庁所在地津市から車で2時間離れた田舎の市です。その熊野市の中心市街地からさらに車で約40分離れた市の周辺部にある熊野市役所紀和庁舎にある地域振興課で僕は4年前から働いています。
 紀和庁舎がある紀和町板屋(きわちょういたや)はとてものんびりとした集落です。過疎高齢化が進んでいますが、住民は優しくとても居心地がいい集落です。ただ、通勤距離が往復42kmあり、ガソリン代が馬鹿にならないのが悩みですが。
 さて、合併特例法の改正を契機に1999年から2006年までの8年間で、市町村の数が3,234から1,821に減少しました。つまり、1,413の市役所や町村役場がなくなり、1,413の中心市街地が周辺部になったことを意味します。紀和町板屋もその1つです。
 2005年11月1日、紀和町は旧熊野市と合併して新熊野市の一部となりました。合併までは、紀和庁舎は紀和町役場でした。その役場で50人の職員が働き、道向かいには、商工会や森林組合の事務所もありました。そこで働く者たちで板屋の商店街はそれなりの賑わいをみせていたそうです。
 しかし、今は商工会も森林組合も縮小又は移転して、紀和庁舎には14人の職員が勤務するだけになりました。そうして、賑わいのなくなった商店街から商店が1軒1軒なくなっていったそうです。
 平成の大合併は、多くの周辺部を作り出し、そこから賑わいを奪っていきました。周辺部は、このまま忘れ去られるのではないか。紀和町はこのままでいいのか。
 紀和町を元気にしたい。この思いが熊野市職労自治研部の活動の動機づけになりました。
 僕たち自治研部は、2012年度にトレイルランニングレースを熊野市へ企画提案しました。そして2013年度事業として採用されました。自治研だからこそ成し遂げられた企画だと自負しています。
 このレポートで、トレイルランニングレースを企画する過程で感じた自治研の強みについて提言したいと思います。

スタートランナーで賑わう商店街 ランナーと応援するおばあちゃん エイドスタッフの地域住民

1. 田舎で成功するイベント

(1) イベントとは
 「イベントとは」ネットでググってみます。イベントとは、行事や催し物のこと。そして、その分類として次のものが挙げられています。
  ①「展示会系(見本市・モーターショーなど)」
  ②「博覧会系(博覧会など)」
  ③「スポーツ大会系(マラソン・野球大会など)」
  ④「芸能・音楽系(コンサート・お笑いライブなど)」
  ⑤「市場系(骨董市・フリーマーケットなど)」
  ⑥「コンベンション系(アニメコンベンションなど)」
  ⑦「祭り系(花火大会・盆踊りなど)」
  ⑧「グルメ系(B-1グランプリなど)」
  ⑨「交流系(街コンなど)」

(2) 何のためにイベントをするのか
 では、何を目的にイベントを行うのでしょうか。地方の場合、その多くは地域振興のために行われています。では、地域振興とは何でしょうか。僕は次のように考えます。
 1つは、地域"経済"を振るい興すこと。地域の経済に賑わいをもたらすためです。
 もう1つは、地域"住民"を振るい興すこと。地域の住民の心に賑わいをもたらすためです。
 イベントとは地域の経済若しくは住民の心又はその両方に賑わいをもたらすものでなければならないと考えます。

(3) 遠隔地のハンディキャップ
 熊野市で、それも紀和町でイベントを行う場合、大きな障害があります。距離の壁です。東京から500km超、名古屋や大阪からも遠く離れた熊野市のさらに山奥に位置する紀和町でイベントをしても参加者がそれを選択肢に入れない恐れがあります。
 他の地域よりも大きなハンディキャップを紀和町は持っています。

(4) 他都市との競争
 距離だけが問題なのでしょうか。
 例えば、熊野市と三重県の県庁所在地津市で同じ日にB級グルメイベントをしたとします。出店業者はどちらを選ぶでしょうか。
 津市は熊野市の人口の14倍以上、予算規模も8倍以上あります。
 多くの出店業者は津市を選択するでしょう。人口規模が大きく集客が見込めますし、宣伝広告も津市の方が上回るでしょう。しかも、多くの出店業者の場合津市の方が移動に係る時間・費用が少なく済むはずです。
 つまり、他都市と真正面から競争しても熊野市は敵わないと考えます。

(5) イベントの成功事例
 しかし、熊野市でイベントをしても無駄だと言うわけではありません。成功事例もあります。それが「熊野大花火大会」と「ソフトボールキャンプ」です。
 「熊野大花火大会」は、毎年15万人以上の集客があるイベントです。関西や東海地方の方はご存じの方も多いと思います。花火大会は全国各地で行われていますが、お客さんは遠隔地から熊野市に来てくれます。
 また、「ソフトボールキャンプ」は、全国からソフトボール選手が熊野市に集まります。「ソフトボールキャンプ」とは、プロ野球チームが2月や10月に沖縄県などで宿営しながら練習するように、小学生から実業団までのソフトボール選手が毎年1月に熊野で宿営しながら練習をしています。このことは、みなさん知らなかったと思います。「私は知っていたよ。」と言う方は、学生時代にソフトボールをしていましたか?選手の間では、熊野市はよく知られているようですから。

熊野大花火大会 ソフトボールキャンプ

(6) 特別とニッチ
 なぜこれらのイベントは、距離の壁と他都市との競争を乗り越えたのでしょうか。
 それは、「特別」と「ニッチ」と言う言葉で説明できます。
 「熊野大花火大会」は「特別」です。フィナーレ「鬼ヶ城大仕掛け」は、鬼ヶ城という岩場を利用して仕掛花火を行います。花火玉を岩場に置いてそのまま爆発させる大迫力の仕掛け花火です。花火玉自爆音や爆風が観客の体に震動として伝わります。
 「熊野大花火大会」は「目」と「耳」そして「体震」で感じる花火大会です。熊野市より数多くの花火を打ち上げる大会は無数にありますが、体震で感じる大会は僕が知る限り唯一です。だから「熊野大花火大会」は「特別」なものとなっています。そして、「特別」だからこそ、観客を引きつけます。
 「ソフトボールキャンプ」は、「ニッチ」です。ニッチとは「隙間」です。つまり、他都市が目を付けない分野です。熊野市はそのニッチな分野のわがままな要求を満たすよう努力します。資金力が限られる分は、人的資源でカバーします。つまり「おもてなし」です。この努力を20年以上続けています。それがニッチな世界の中で口コミとなり、参加選手が増えています。
 今ではこの期間は、市内の宿泊が満室になる程の活況をみせています。
 「ソフトボールキャンプ」はニッチだからこそ、他都市との競争することなく資金と人的資源を投入できました。このことで「ソフトボール」というニッチな世界で熊野市は有名になり、選手が集まるようになりました。
 成功するイベントの鍵は「特別」と「ニッチ」この2つだと考えています。


2. 趣味が仕事に

(1) 趣 味
 僕の趣味は、トレイルランニングです。トレイルランニングとは、舗装されていない道(トレイル)を走るスポーツです。略称はトレランです。山という非日常を走ります。登りは弾ませた息で森の空気を吸いこみ、下りでは森の中を駆け下る爽快感を感じられます。そして、山頂からの絶景に心が癒されます。
 僕がトレランにハマったのは、欧州の名峰モンブランをぐるりと一周166kmを走るレースで活躍するトレイルランナー鏑木毅(かぶらきつよし)さんのドキュメンタリー番組を観たからです。壮絶な距離、壮大な絶景そしてその中を走る超人的なトレイルランナー。そのすべてに心を奪われたのです。
 それから当時三重県ではなかったので、他県まで遠征してトレイルランニングレースに出場するようになりました。

(2) 仲間からの気づき
 トレランの話をすると変態だと言われます。平坦な道を走ることもしんどい(疲れる)のに、山を走るなんて考えられない。山を走る楽しさを説明しても伝わりません。片田舎(紀和町)から別の片田舎へ走りに行くなんて信じられないと。僕は片田舎でもトレランレースには、何百人もの参加者が来るのですよ、人気があるのですよと応じます。伝わりません。ただ1回だけ「片田舎で、できるものなら、紀和町でもできるのではないか?」。自治研部の仲間の言葉でした。その言葉が、僕の趣味が特別でニッチなものだと気づかせてくれました。
 2012年4月当時、三重県では開催されていないニッチなもので、紀和町の強みが活かせる特別なもの。その2つをトレランは持っていました。

(3) トレランの可能性
 トレランの人気が出だしたのはここ5年です。火付役は、あのドキュメンタリー番組の鏑木毅さんです。彼に憧れてトレランをはじめるランナーが急増しました。人気大会は募集すると同時に定員に達する盛り上がりをみせています。ランニング人口は1,000万人を超えています。この市場がある限り、トレラン人口は今後も拡大していくに違いありません。

(4) 紀和町とトレラン
 紀和町はトレランのフィールドとして適しています。町内には登山道が敷かれている山が多く、また林業が盛んな地域なので山道もたくさんあります。
 そして何より、熊野古道があります。「熊野古道でトレランをする!!」全国のトレイルランナーが心躍らすレースができる。これ以上ない特別な強みを紀和町は持っています。

熊野古道を走るランナー

3. 自治体の弱みと自治研の強み

(1) 自治体の予算の硬直性
 市職員としてトレランレースを企画するとき、予算制度の壁に阻まれました。僕たちがトレランレースを発案したのが2012年4月です。開催年は2013年秋と設定。しかし予算がないので2013年3月までは活動費は0円です。それまでの1年間は、活動できません。
 自治体の予算制度は硬直的です。自治体の予算制度は、アイデアをすぐに実行できない弱みがあります。

(2) 自治研の予算の柔軟性
 自治研の強みは、その柔軟な体制にあります。僕たちの自治研部には、少ないながらもその裁量の範囲で使える予算があります。そして、この予算から市の事業に反映させてきた伝統があります。この自治研部の予算を活用して2013年3月まで2つのレースを視察するなどの活動をすることができました。
 自治研はアイデアをすぐに実行できる強みを持っています。

(3) 自治体の硬直化する組織体制
 山や山道のことは林業担当課に手伝ってほしい。スポーツイベントに強いスポーツ担当課にも手伝ってほしい。
 しかし、勝手にはじめた非公認企画を他の部署は協力してくれるでしょうか。
 熊野市役所は職員全員が知り合いで、コミュニケーションがとれることから、セクショナリズム、つまり部署間の非協力的態度は極めて少ない組織です。
 ただ、近年市職員数は減少しています。そして職員一人あたりの仕事量は年々増えています。そのことで他課に仕事を依頼することを難しくする雰囲気があることも事実です。まだ、構想段階のこの企画を、他課に協力依頼できませんでした。 
 自治体の組織は職員の仕事量が過多になり硬直化しつつあると感じます。

(4) 自治研の柔軟な組織体制
 自治研はネットワーク組織の性質を持っています。それは自治研が、職場の仲間や市民といっしょに僕たちの思いを込めた政策を実現させていくことを目的にしているからです。
 自由な意思で僕たちの企画に共感してくれた林業担当課やスポーツ担当課所属の組合員、さらにはIT、マーケティングなどの分野に精通した組合員又はそれ以外の方にも協力してもらえました。高いモチベーションと能力を兼ね備えたトレランプロジェクトチーム。自治研は最強のチームを作ることができました。
 自治研の強みは、自発的な企画を予算や部署にとらわれず、その能力を十分に発揮しながら実行することができることです。


4. トレランレースを設計

(1) トレランの情報を収集する
 僕たち自治研部は、トレラン大会の運営に係る情報・知識を収集することからはじめました。たくさんのトレランレースに参加しました。
 そうして、大会会場に必要な機能は何か、どんなコースが好まれるのかなど情報と知識を収集できました。特に長野県での大会は、その壮大な景色に興奮しました。紀和町でもこんな大会を作りたい!! という気持ちが大きくなりました。
 また、自治研部の仲間と一緒に視察を行ったことで、みんながトレランの魅力に触れる機会になり、僕だけの企画から自治研部の企画になったと感じました。

(2) 情報を分析する
① 既存レースを分析
  どのような人たちがトレランをしているのだろうか。また、どんなコース設定が好まれるのだろうか。既存の大会がインターネットで公開しているデータから分析しました。
 ア 県外と県内の割合
   熊野市と地理的に近い和歌山県田辺市で開催されているトレランレース(2012年大会)を分析しました。
   この大会は種目は2つあり1つは距離が33km。もう1つは距離が17kmです。この大会は累積標高(登りの高さの和)が大きく難易度が高い大会です。
   参加者の割合については、33kmは県内の参加者が16.2%。17kmは43.3%と距離が長い方が県外からの参加者が多い傾向にあるようです。
   この要因は、1つは距離が短い(難易度が低い)方が、初心者が参加しやすいことで県内の初心者が多く参加したことと、もう1つは、「旅ラン」。旅感覚で遠方のレースに参加する人たちが存在して、彼らは長距離を好む傾向があるからです。
   全体では県内の参加者が28.0%、県外が72.0%となっています。
   他の大会でも県内参加者は2、3割に止まり、7割以上は県外からの参加者が占めていました。
   結果、トレラン大会は宿泊を伴う参加者が多く見込め、地域への経済効果も大きいイベントであること。紀和町でも十分開催できることを確信できました。

都道府県別統計

全体

 

都道府県

人数

割合

大阪府

66

31.9%

和歌山県

58

28.0%

兵庫県

21

10.1%

愛知県

13

6.3%

奈良県

7

3.4%

京都府

5

2.4%

東京都

5

2.4%

滋賀県

5

2.4%

 

その他

27

13.1%

 

合計

207

100.0%

33km

 

都道府県

人数

割合

大阪府

39

33.3%

和歌山県

19

16.2%

兵庫県

11

9.4%

愛知県

11

9.4%

奈良県

6

5.1%

京都府

5

4.3%

神奈川県

4

3.4%

東京都

4

3.4%

 

その他

18

15.5%

 

合計

117

100.0%

17km

 

都道府県

人数

割合

和歌山県

39

43.3%

大阪府

27

30.0%

兵庫県

10

11.1%

千葉県

2

2.2%

三重県

2

2.2%

岡山県

2

2.2%

奈良県

2

2.2%

東京都

1

1.1%

 

その他

5

5.7%

 

合計

90

100.0%

 イ 年代別の割合
   参加者を年代別に分析すると、30代と40代で全体の69.6%を占めています。他の大会にも同じ傾向があり、この世代に支持されることが必要になります。

年代別統計

全体

 

年代

人数

割合

20代

17

12.6%

30代

40

29.6%

40代

54

40.0%

50代

20

14.8%

60代

4

3.0%

 

合計

135

100.0%

33km

 

年代

人数

割合

20代

11

13.9%

30代

29

36.7%

40代

30

38.0%

50代

8

10.1%

60代

1

1.3%

 

合計

79

100.0%

17km

 

年代

人数

割合

20代

6

10.7%

30代

11

19.6%

40代

24

42.9%

50代

12

21.4%

60代

3

5.4%

 

合計

56

100.0%

 ウ 女性の割合
   33kmは17.1%、17kmは28.9%と11.8ポイントの差がありました。これは、女性が難易度の低いものを好む傾向があることが考えられます。
   その他の大会も同じ傾向があり、難易度が高い大会は女性率が低く、難易度が低い大会は女性率が高い傾向があります。
   また、景色がいい、エイドで地元名物がある、人気ランナーが参加、地元の人と交流などの大会に女性率が高い傾向があります。
   女性率は初心者の参加率の指標として活用できると考えます。
   女性率が高い大会は、初心者が安心して参加でき楽しめる大会だといえます。 
   大会成功のためには、トレラン人口の大半を占める初心者層を引きつける必要があります。

男女別統計

全体

 

性別

人数

割合

男性

161

77.8%

女性

46

22.2%

 

合計

207

100.0%

33km

 

性別

人数

割合

男性

97

82.9%

女性

20

17.1%

 

合計

117

100.0%

17km

 

性別

人数

割合

男性

64

71.1%

女性

26

28.9%

 

合計

90

100.0%


(3) トレランレースを設計する
 情報を収集・分析した結果、作りたい大会の設計ができました。
 まず、ランナーが走りたい大会。つぎに、地域経済を振るい興す大会。最後に、地域住民を振るい興す大会。
 この3つを兼ね備えた大会が、作りたい大会です。
① ランナーが走りたい大会
  30代から40代までの初心者ランナーをターゲット層と設定しました。最も大きいセグメント(顧客集団)だからです。そして、その市場にアプローチするため、次のことを行いました。
 ア 走りやすいコース設計(累積標高を低く抑える。急勾配の斜面を避けるなど。)
 イ 絶景ポイントを数多く配置(熊野古道・丸山千枚田・瀞峡など)
 ウ エイドで地元住民が作る名物の「茶がゆ」や「みかん」を提供
 エ 人気ランナー鏑木毅さんがゲストとして大会に参加
 オ ランナーと地元住民が交流できるよう住民がスタッフや応援として大会に参加
 400人と予想していた参加者は、それを大きく上回り616人ありました。うち30代・40代の割合は66.9%。女性率は24.2%でした。このことから、30代・40代の初心者層から多くの参加があったと考えます。

KUMANO OLD TRAILS 2013 男女別統計

全体

 

性別

人数

割合

男性

467

75.8%

女性

149

24.2%

 

合計

616

100.0%


KUMANO OLD TRAILS 2013 年代別統計

全体

 

年代

人数

割合

10代

1

0.3%

20代

89

14.4%

30代

203

33.0%

40代

209

33.9%

50代

94

15.2%

60代

16

2.6%

70代

4

0.6%

 

合計

616

100.0%

② 地域経済を振るい興す大会
  地域への経済効果を大きくするために次のことを行いました。
 ア インターネット媒体を通して、全国のトレイルランナーにPR
   全国からランナーを集めて宿泊客の増加をめざす。
 イ 積極的に地元の観光名所・特産物をPR
   物産等の購買の増加をめざす。
  県外参加者が79.4%を占めました。市内宿泊施設は満室になり、飲食店もランナーたちで賑わいました。
  また、予想外の効果としてエイドで提供したみかんが美味しいと評判になり、どこで購入できるのかと多く問い合わせを受けました。地元の特産物をエイドで提供することが、特産物の販売促進に効果があったのだと考えます。

KUMANO OLD TRAILS 2013 都道府県別統計

全体

 

都道府県

人数

割合

三重県

127

20.6%

愛知県

103

16.7%

大阪府

91

14.8%

東京都

67

10.9%

兵庫県

58

9.4%

奈良県

26

4.2%

岐阜県

21

3.4%

京都府

21

3.4%

 

その他

102

19.0%

 

合計

616

100.0%

③ 地域住民を振るい興す大会
  地域の人たちにこの大会が自分たちの大会であると思ってもらえるよう、またこの大会に誇りを持ってもらえるよう次のことを行いました。
 ア 実行委員会に地域まちづくり協議会会長に参加してもらう。
 イ エイドの運営を地域住民に任せるなど、主体的に大会に関わってもらう。
 ウ ボランティアスタッフや応援者として大会に積極的に関わってもらう。
  大会当日、多くの住民がスタッフや応援者として大会に参加しました。エイドでは、住民たちで考えたエイド食を振る舞ったり、多くのランナーと交流を持ちました。
  都会から来たランナーが笑顔で自分たちの地域を走っている姿から、自分たちの地域の魅力を再発見する機会になったと考えます。
  この大会が2回、3回と続き、ランナーと地域住民が毎年交流することで、地域住民が自分たちの地域に誇りを持つことができると確信しています。

結 論 自治研の可能性とその役割

 自治研は、大きな可能性を持っています。それは自治研が、職場の仲間や市民と一緒に僕たちの思いを込めた政策を実現させていくことを目的としている組織だからです。
 2013年12月1日、「KUMANO OLD TRAILS」の第1回大会が開催されました。熊野古道を笑顔で駆け抜けるランナーたち。それを笑顔で応援する住民たち。紀和町中に笑顔が溢れました。
 自治研はネットワーク組織です。共感でつながった人と人とのネットワークが共通の目的に向かって大きな力を発揮します。僕たち自治研部は、たくさんの人と繋がりながらトレランイベントを成功させました。
 人口減少時代に突入した今、自治体を取り巻く状況は極めて厳しくなっています。
 自治体組織がその仕事量の過多から硬直化しつつあり、自由な発想とその柔軟な組織体制を持った自治研が果たす役割は、ますます大きくなると確信しています。

【参考資料】 熊野古道中辺路マウンテンランレースHP掲載大会記録