【自主レポート】 |
第35回佐賀自治研集会 第8分科会 男女がともにつくる、私たちのまち |
男女共同参画担当8年目に突入し、これまで取り組んできたことの紹介と、2008年(平成20年)10月に内閣府が示した「地域における男女共同参画推進の今後のあり方(第2ステージ)」に対応すべく、実施中の施策について紹介し、「男女共同参画宣言都市」らしい今後の展開についてレポートしたい。 |
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はじめに 男女共同参画担当8年目に突入し、これまで取り組んできたことの紹介と、2008年(平成20年)10月に内閣府が示した「地域における男女共同参画推進の今後のあり方(第2ステージ)」に対応すべく、実施中の施策について紹介し、「男女共同参画宣言都市」らしい今後の展開についてレポートしたい。
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1. 私が取り組んだ「男女共同参画」 豊後大野市では、合併した2005年(平成17年)に「豊後大野市男女共同参画社会推進条例」を施行し、市長及び市民からなる啓発推進部隊の「男女共同参画推進協議会」、基本計画等を審議する「男女共同参画審議会」も組織されスタートした。思うに「男女共同参画行政」は、合併したからこそ、本格的に推進できるようになった。(合併した7町で条例があったのは2つのみだった)私が担当者になった2006年(平成18年)は、男女共同参画市民意識調査をし、翌年2月に男女共同参画基本計画の策定を終えた。意識調査結果で、男女の平等感の問い(社会全体)には、「男性が優遇」もしくは「どちらかと言えば、男性が優遇」と回答した方が、68%であった。(国75.6% 県70.1%)「男女は平等である」と回答する市民を増やすための施策を様々な方向から取り組む必要性をまじまじと感じた瞬間であった。そして、2回目の意識調査を2010年(平成22年)に実施したところ、男性優遇と回答した人は64%となり、若干の啓発の成果ではないかと安堵したところである。 |
さて、男女共同参画の担当部署だが、合併当初は、人権推進同和対策課の中の男女共同参画係であった。担当になって強く「男女共同参画は、人権だけの問題ではない」と感じていた。女性議員の議会質問がきっかけで、2010年(平成22年)の機構改革で、男女共同参画室として独立し、2012年度(平成24年度)より、まちづくり推進課の課内室として位置づけられ現在に至っている。人権推進同和対策課では一人担当で、「男女共同参画室」では、室長との2人体制。ただ後任者の育成ができないことが悩みである。行革の進む中、職員数が減ってくる現状において、今の体制を維持することが市にとって、プラスかマイナスか考えるべき時かもしれないが、誰もが、平等感をもち、性別でいやな思いをすることなく、家事が家族の一人に偏ることもなく、みんなが幸せな時間を共有できる社会は、いろいろな問題の解決につながっていくのではないかと思う。
2006年度(平成18年度):意識調査なしでは、市の現状がわからないということで1,000人を対象に意識調査を実施。基本計画策定、第1回男女共同参画市民のつどいを6月に開催し、講演と市民のみなさんによる啓発劇も実施。わかりやすい啓発にするため「ありがとう運動」を提唱し、現在も継続。 |
2007年度(平成19年度):市として独自の啓発講座をスタート。
2008年度(平成20年度):前年度の反省から、地域や対象者等を考慮した講座を開催。 |
2009年度(平成21年度):2008年度(平成20年度)に、国が示した「地域課題解決の実践」をテーマに講座を企画。地域応援セミナーは、日赤から講師を招き、避難所での助け合い等のポイントや日赤奉仕団の協力で非常食体験を市内3か所で実施。審議会等の女性の登用目標50%を掲げ、その対策の一環で女性人材リストを作成し、女性の活躍を推進。独身男女の出逢い応援事業にも取り組む。
2010年度(平成22年度):男女共同参画室として独立し、5年目という節目であることから、男女共同参画都市宣言をし、記念式典を内閣府とともに開催。女性市政講座のスタート。 |
2011年度(平成23年度):つどいを9月に変更。6月の男女共同参画週間のキャンペーンについて、市内一円に拡大しました。「ぶんごおおの生き活きプラン」基本計画の改定実施。数値目標を31。国の計画にならって、「女性の活躍」「男性にとっての男女共同参画」「子どもにとっての男女共同参画」「地域における身近な男女共同参画」の4つをあらためて強調。
2012年度(平成24年度):「男女共同参画の視点で地域の課題解決を」をテーマに「地域づくり講座」を開催。市民レベルでの情報交換の場づくりが求められている。いい夫婦の日癒しのコンサートについては、市民からなる実行委員会で実施、男女共同参画についての啓発の幅を広げることができた。 |
2. 地域における男女共同参画推進の今後のあり方について(第2ステージ) 2008年(平成20年)に、内閣府が専門調査会を組織し発表した資料をもとに、地域における男女共同参画推進の今後のあり方について提案する。 (1) 「地域」は重要な鍵 (2) 地域における現状と課題
(3) 今後の地域における基本的な方向性 エンパワーメントとはもともともっている力のこと。 ・ 課題解決型の実践的な活動に関わることにより、女性が身につけた能力を実践的に活用し、伸ばすことができる。 ・ 多様な主体とともに、実践的な活動を展開すること自体が女性のエンパワーメントとなる。 (事例:2年前介護のために福岡から夫婦で帰ってきたのですが、農業に取り組むのに、実践大学で学ぶことから始め、自家野菜を販売することに。この農業との出会いについて市女性団体連絡協議会主催の女性大会で発表したことがきっかけで家の光の体験発表の大分県代表となり全国大会まで出場) ③ 意識の改革 ・ 身近な課題解決のための実践的な活動に実際に関わり、課題解決やエンパワーメント等のメリットを人々が実感することにより、男女共同参画についての人々の意識を変えていくことができる。 何かをするときに、男女で協力することにより今まで気が付かなかったことを発見し、実践解決ができたときに「共同」のよいところが理解できるようになる。昨年実施した「パパの読み聞かせ講座」。パパならではの絵本の選び方や読み聞かせ方法を学び、最後のワークで、お互いに感謝の言葉を伝え合う。 |
おわりに 自治体職員として、与えられた部署で、精一杯努力することが職務と考える。2006年(平成18年)からもらった仕事が、たまたま「男女共同参画」であったが、さまざまな方々との出会いは私の宝となり、私の人生において感動したこと、うれしいこと、楽しいこと、はたまた、かなしいこと、苦しいことありと、両面合せてかなりプラスの日々を送らせていただいている。今日も、市民の方から「がんばって!」のエールをいただいた。 |