1. はじめに
みやき町は、佐賀市から東に約20km、福岡市から南に約30kmに位置し、北部には筑紫山地があり、南部には筑後川が流れている。北部と南部は福岡県境に接しており、特に南部では筑後川を挟んで県境が複雑に入り組んでおり人口は約2万5千人の町です。地形は、北部が山地となっていますが、それ以外の地域は筑紫平野の一角をなす平地で面積は51.89平方キロメートルです。
本町は、平成の大合併の折り2005年3月1日に中原町、北茂安町、三根町の3町が合併し、みやき町が発足しました。町名は佐賀県で最初のひらがな名の市町名です。
引用:「みやき町」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2014年6月13日(金)10:49
町内には17世紀はじめに、龍造寺隆信の家臣で、隆信の死後鍋島勝茂に仕えた成富兵庫茂安(北茂安村、南茂安村の名の由来となった)が行った治水・利水工事の跡が現在も千栗土居、中原水道として残っており、旧中原町内にはかつての長崎街道の一部(中原宿)が当時の姿を留めており、又特産品としては、綾部のぼたもち、トマト、アスパラガス、イチゴ等があります。
さて、労働組合につきましては、2005年に3町合併でみやき町職労が誕生して以来、組合員の組織率は100%であり、2014年6月現在の組合員数は180人で、執行部をはじめ、組合員一丸となって、日々いろいろな課題に取り組んでいます。特に合併後7年間新規採用がなく職員の年齢別構成の適正化を図る観点から人員確保問題で当局と交渉を行い、2012年度には13人、2013年度には5人、2014年度には8人の新規採用職員を確保することができました。また、表題の再任用制度も日ごろより取り組んでいる課題のひとつです。
2. 地方公務員の再任用制度
公的年金の支給開始年齢が、平成25年度以降段階的に60歳から65歳へと引き上げられます。それに伴い、現行の60歳定年制度のままでは無収入となる期間が発生することから、雇用と年金の接続が官民共通の課題となっています。
一般の地方公務員の退職共済年金の支給開始年齢は、生年月日に応じて、次の(参考資料-1)の通りとなっています。
(参考資料-1)退職共済年金の支給開始年齢表 |
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一 般 |
退職年度 |
生年月日 |
定額部分支給開始年齢 |
報酬比例部分支給開始年齢 |
- |
昭和12.4.2~昭和16.4.1 |
60 |
60 |
平成13年度 |
昭和16.4.2~昭和17.4.1 |
61 |
〃 |
平成14年度 |
昭和17.4.2~昭和18.4.1 |
〃 |
〃 |
平成15年度 |
昭和18.4.2~昭和19.4.1 |
62 |
〃 |
平成16年度 |
昭和19.4.2~昭和20.4.1 |
〃 |
〃 |
平成17年度 |
昭和20.4.2~昭和21.4.1 |
63 |
〃 |
平成18年度 |
昭和21.4.2~昭和22.4.1 |
〃 |
〃 |
平成19年度 |
昭和22.4.2~昭和23.4.1 |
64 |
〃 |
平成20年度 |
昭和23.4.2~昭和24.4.1 |
〃 |
〃 |
平成21年度 |
昭和24.4.2~昭和25.4.1 |
65 |
〃 |
平成22年度 |
昭和25.4.2~昭和26.4.1 |
〃 |
〃 |
平成23年度 |
昭和26.4.2~昭和27.4.1 |
〃 |
〃 |
平成24年度 |
昭和27.4.2~昭和28.4.1 |
〃 |
〃 |
平成25年度 |
昭和28.4.2~昭和29.4.1 |
〃 |
61 |
平成26年度 |
昭和29.4.2~昭和30.4.1 |
〃 |
〃 |
平成27年度 |
昭和30.4.2~昭和31.4.1 |
〃 |
62 |
平成28年度 |
昭和31.4.2~昭和32.4.1 |
〃 |
〃 |
平成29年度 |
昭和32.4.2~昭和33.4.1 |
〃 |
63 |
平成30年度 |
昭和33.4.2~昭和34.4.1 |
〃 |
〃 |
平成31年度 |
昭和34.4.2~昭和35.4.1 |
〃 |
64 |
平成32年度 |
昭和35.4.2~昭和36.4.1 |
〃 |
〃 |
平成33年度 |
昭和36.4.2~昭和37.4.1 |
〃 |
65 |
平成34年度 |
昭和37.4.2~昭和38.4.1 |
〃 |
〃 |
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① 対象者
定年退職及び定年退職日以前に退職した後、定年退職年齢に達した者であって、25年以上勤務した後定年前に退職した者で、退職後5年以内の者。
② 任 用
任 期 1年を超えない範囲で定める。
任用期限 退職共済年金の満額年金の支給開始年齢の引き上げスケジュールに合わせ、61歳から段階的に引き上げ上限は65歳とする。
任用形態 フルタイム 週38時間45分。
短 時 間 週16時間~32時間の範囲内。
任用手続 再任用対象となる者に再任用の意向調査を行い、従前の勤務実績等に基づく選考採用。
③ 給 与
給 料 職務の級ごとの単一の額が設定されており、再任用後の職務に応じて決定された級に応じた額が支給されます。また、短時間勤務職員の俸給月額は、勤務時間に比例して算出することとなります。なお、昇給制度はありません。
(参考資料-2)フルタイム勤務職員の俸給月額(2014年4月現在) |
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諸手当 再任用職員に支給される手当は、通勤手当、地域手当(特例的に支給されるものを除く。)、超過勤務手当、休日給、夜勤手当、宿日直手当、特殊勤務手当、俸給の調整額、期末・勤勉手当等で、扶養手当、住居手当、単身赴任手当、寒冷地手当、特地勤務手当などの長期継続雇用を前提にライフステージに応じた生計費の増加等に対処する目的で支給される生活関連手当や主として人材確保を目的とする手当は支給されません。
(参考資料-3)期末・勤勉手当(2014年4月現在) |
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④ 休暇制度
年次休暇 定年前の職員と同様。ただし、短時間勤務職員の年次休暇については、勤務時間等を考慮し、20日を超えない範囲で、そのものの勤務形態に応じて計算した日数とする。再任用された際の年次休暇は新規採用者として新たに付与されますので、例えば定年退職日の翌日に再任用されたとしても、定年前との通算はありません。なお、任期更新の場合については、任期満了前の年次休暇が通算されます。
特別休暇 定年前職員と同様とする。
介護休暇 定年前職員と同様とする。
その他休暇 育児休暇は適用外、部分休業(有給)については適用する。
⑤ その他
分限・懲戒、災害補償制度は定年前と同様とする。
フルタイム勤務職員については現行の定員管理の対象、短時間勤務職員については別途管理で、短時間勤務職員の導入により軽減された常勤職員の業務量に見合う定数を削減する方向で対処。
再任用後の退職については退職手当を支給しない。共済組合についてはフルタイム勤務職員のみ加入(短時間勤務職員は厚生年金保険、健康保険等の加入基準による)。
3. 再任用制度の状況
2011年9月30日に人事院は「公的年金の支給開始年齢の引上げに合わせて、2013年度から2025年度に向けて、60歳を超える職員の給与の抑制や多様な働き方を可能とする措置等を講じながら、定年を段階的に65歳に引き上げることが適当である」とする意見の申出を行っていました。定年退職日は定年に達した日以降の3月31日に統一され、給与水準は民間企業の高齢層の年間所得を踏まえ、60歳前の職員給与の7割という設定でした。しかし、定年を延長している民間企業は少なく、大半は継続雇用制度を利用している現状でした。そのため、人事院勧告の意見の申出は見送られ、国も地方も定年延長ではなく、再任用制度の義務化になっていきました。
(1) 佐賀県内の再任用制度の運用状況
2014年2月13日現在、県内の自治労加入している全19市町において再任用制度に関する条例が制定済みです。しかし、このうち現在まで再任用制度の運用実績がない団体が11団体と全体の半数を超えています。(参考資料-4)再任用状況調査(佐賀県)を参照下さい。
このように、県内団体においては、再任用制度が十分に普及しているとはいい難く、再任用制度の運用に向けて力を入れていく必要があります。
(参考資料-4)再任用状況調査(佐賀県) 2014 2014.2.13現在 |
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1.協議状況 |
2.希望者 |
3.勤務形態 |
4.給与水準 |
5.任期 |
6.その他 |
佐賀県職員連合労働組合 |
協議済(確認書なし) |
確保されない(任用による) |
短時間が基本 |
3級or5級 |
65歳の年度末
1年更新 |
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佐賀市職員労働組合 |
協議済(確認書なし) |
確保される |
併用 |
3級 |
65歳に達する日以降における最初の3月31日まで |
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自治労唐津市職員労働組合 |
協議済
(確認書も取る予定) |
原則確保される |
フルタイムが基本
(2年目以降は短時間も) |
3級 |
無年金期間終了時の年度末 |
再任用者は定数としてカウント |
鳥栖市職員労働組合 |
協議中 |
確保される |
短時間が基本
(週4日勤務) |
4級 |
61歳に達する年度末 |
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多久市職員労働組合 |
協議済 |
確保される |
短時間が基本 |
3級 |
1年目については2年間
2年目以降は無年金期間のみ |
|
伊万里市職員労働組合 |
協議済(確認書有り)
※基本的事項のみ |
確保されない(業務不適格者) |
短時間が基本 |
2級~4級 |
年金支給開始日の年度末
1年更新 最長3年間 |
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武雄市職員労働組合 |
協議中 |
確保される |
短時間が基本 |
3級 |
無年金期間終了時の年度末(1年更新) |
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鹿島市職員労働組合 |
協議済(確認書無し) |
確保される |
短時間が基本 |
3級 |
無年金期間終了時の年度末 |
再任容赦は定数としカウントされない |
嬉野市職員労働組合 |
協議済(確認書無し) |
確保される |
併用 |
3級or4級 |
65歳の年度末
1年更新 |
|
小城市職員労働組合 |
協議済 |
選考 |
フルタイムが基本 |
3級 |
無年金期間終了時の年度末 |
再任用者は定数としてカウント |
神埼市職員組合 |
未実施 |
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|
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有田市職員労働組合 |
協議中 |
確保されない |
状況に応じて |
職歴、仕事内容に応じて |
状況に応じて |
詳細はこれから協議 |
太良町職員組合 |
協議中 |
確保される |
フルタイムが基本 |
4級 |
65歳の年度末 |
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大町町職員組合 |
未実施 |
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希望者の再任用は確認
運用については今後協議 |
江北町職員組合 |
未実施 |
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白石町職員労働組合 |
協議中 |
確保される |
短時間が基本 |
2級~4級 |
65歳の年度末 |
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吉野ヶ里町職員組合 |
協議中 |
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詳細はまだ未定 |
みやき町職員労働組合 |
3.26春闘交渉時 |
確保されない(当面は臨時対応) |
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・再任用職員は定数カウント(削減目標人員に影響する為、任用すれば新採削減など世紀職員数の削減が考えられるとの回答)
・定数にカウントしない短時間勤務については対応できる職域職務を今後検討
・今後も協議継続予定 |
上峰町職員労働組合 |
未実施
※以下当局回答 |
確保されない(選考方法は未定) |
フルタイム基本の併用 |
3級 |
未定 |
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基山町職員労働組合 |
協議済(確認書なし) |
原則確保される |
短時間が基本 |
2級~4級 |
65歳の年度末
1年更新 |
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資料:自治労佐賀県本部 |
(2) みやき町の現状と課題
本町においては、先に触れたとおり現在再任用制度の運用はなく、定年退職する職員が再雇用を希望する場合は臨時職員として雇用されているのが現状です。
尚、50歳以上の組合員を対象に再任用制度について聞き取り調査を行ったところ、関心がある職員は全体の約半数にのぼり、かつ将来再任用制度を希望すると回答した職員が約2割いました。
町の条例には下記の(参考資料-5)みやき町職員の再任用制度に関する条例の通り制定されていますが実際の運用面において、具体的に何ら整備されておらず、上記の聞き取り調査どおりに将来的に希望する職員もでてくるため、再任用制度の早急な運用開始に向けて、現在の組合の喫緊の課題です。
(参考資料-5) |
○みやき町職員の再任用に関する条例
(趣旨)
第1条 この条例は、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第28条の4第1項並びに同条第2項及び第3項(これらの規定を法第28条の5第2項及び第28条の6第3項において準用する場合を含む。)並びに地方公務員法等の一部を改正する法律(平成11年法律第107号)附則第6条の規定に基づき、職員の再任用(法第28条の4第1項、第28条の5第1項又は第28条の6第1項若しくは第2項の規定により採用することをいう。以下同じ。)に関し必要な事項を定めるものとする。
(定年退職者に準ずる者)
第2条 法第28条の4第1項に規定する定年退職日以前に退職した者のうち勤続期間等を考慮して法第28条の2第1項の規定により退職した者又は法第28条の3の規定により勤務した後退職した者に準じて再任用を行うことができるものは、次に掲げる者とする。
(1) 25年以上勤続して退職した者であって当該退職の日の翌日から起算して5年を経過する日までの間にあるもの
(2) 前号に該当する者として再任用をされたことがある者(同号に掲げる者を除く。)
(任期の更新)
第3条 再任用の任期の更新は、職員の当該更新直前の任期における勤務実績が良好である場合に行うことができるものとする。
2 任命権者は、再任用の任期の更新を行う場合には、あらかじめ職員の同意を得なければならない。
(任期の末日)
第4条 再任用を行う場合及び再任用の任期の更新を行う場合の任期の末日は、その者が年齢65年に達する日以後における最初の3月31日以前でなければならない。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年3月1日から施行する。
(任期の末日に関する特例)
2 次の表の左欄に掲げる期間における第4条の規定の適用については、同条中「65年」とあるのは、同表の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる字句とする。
平成17年3月1日から平成19年3月31日まで62年
平成19年4月1日から平成22年3月31日まで63年
平成22年4月1日から平成25年3月31日まで64年 |
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資料:みやき町例規集(平成26年4月1日) |
4. みやき町で再任用制度が運用された場合の課題と問題
再任用制度の影響で、定年制にかかわれない非正規雇用の問題、再任用制度の義務化によって確実に減少する新卒者の採用問題などいろいろな問題が発生します。以下再任用制度を本町において運用した場合に想定される懸念事項を考えます。
① 元管理職員
管理職としての再任用がされない場合は、担当職員として職務を分担してもらうことになり、再任用の日を境に、上司だった職員が部下や同僚となるため、接し方にお互い気を使うと思われます。お互いの意識の切り替えが必要だと思います。 |