【自主レポート】 |
第35回佐賀自治研集会 第10分科会 貧困・格差社会の是正とセーフティネットの再構築 |
少子高齢化や若年者のものづくり離れが進むなか、公共能力開発施設でも定員割れや入校生の質の低下を招いている。これらのことを改善するために、大分高等技術専門校の職業能力開発評議会に籍を置く、45歳以下の職業訓練指導員で自治研究会を設立し、問題点や改善点を協議した。 |
|
1. はじめに 大分高等技術専門校は、県立の公共能力開発施設である。メカトロニクス科、電気設備科、自動車整備科、空調配管システム科、木造建築科の5科が設置されており、メカトロニクス科2年、その他1年間の職業訓練を実施する。ご多分に漏れず、少子高齢化や若年者のものづくり離れが進み、無料で技能や関連知識が学べ、高い就職率を維持しているが、応募者の減少に歯止めがかからず、その結果、定員割れや入校生の質の低下を招いている。これらのことを改善するために、大分高等技術専門校の職業能力開発評議会に籍を置く、45歳以下の職業訓練指導員で自治研究会を設立し、問題点や改善点を協議した。 |
2. メカトロニクス科の場合(ものづくり立県の基盤整備のために) メカトロニクス科は、大きく分けて機械、電気・電子制御、情報と3分野に分けられる。 |
3. 電気設備科の場合(安定的なエネルギー供給を支えるために) 電気設備科の場合においても、近年、早期選考での応募者が少なくなっており、高校新規学卒者の入校者が減少している。過去に応募者が多かった学校でも、数年間合格者が少ない状況が続くと、合格の難しい学校だと思われて、応募が減少している。また、本校は離転職者が再就職するための学校だというイメージがあり、高校生の進学先として認知されていない。教職員も同じイメージを持っていることを、高校訪問時に感じた。そのため、就職ができない者を本校に受験させる傾向がある。その結果、学力不足の者が多く、中学レベルの数学も理解していない者が入校している。その結果、統一選考で入校した者との学力に大きな差があり、授業や資格試験対策などで個別指導を行わなければならず、苦慮している。 |
4. 自動車整備科の場合(安心・安全の車社会を支えるために) 自動車整備科は例年、早期募集と統一募集で入校率は100%を満たしているが、近年応募者が減少しており、その結果学力低下を始め、心身に問題が疑われる訓練生が入校している現状もみられる。 |
5. 空調配管システム科の場合(便利で快適そして衛生的な生活のために) 空調配管システム科は、主として低圧電気工事関係、シーケンス制御、冷凍空調機器など設備工事関係、水道、ガスなどの配管工事関係の分野があり、学習分野が多岐に渡っている。また、第二種電気工事士資格、冷凍機械責任者や建築配管の技能士など1年間を通して常に国家資格試験を受験しなくてはならず、訓練生の学習量は多いと言わざるを得ない。 |
6. 木造建築科の場合(全国2位の森林資源を活かすために) 木造建築科では、以前中卒以上の者を入校対象者としていたが2007年度に普通課程に移行し、入校生の年齢条件を18歳以上に変更しカリキュラムの見直しを行った。 |
7. 他県の例 2012年度に学院長の公募や大幅な訓練課程の再編を行った佐賀県立産業技術学院に訪問を行い、学院長やスタッフの方々に直接はなしを伺う機会を得た。 |
8. まとめ、結語にかえて 大分県では2016年度策定に向けた第10次大分県職業能力開発計画を今後とりまとめることになる。 本校並びに関係各所と連携し、ともにこれらの課題を一つでも多く改善することが大分県の発展に寄与することを確信している。
|