【レポート】

第39回静岡自治研集会
第1分科会 自治研入門 来たれ、地域の新たな主役

 コロナ禍において"持続的に自治労ができること"を追求し、地域を応援する取り組みを進めてきました。"街の賑わいを守りたい""地域のために何かしたい"という組合員の想いが様々な取り組みに繋がり、この3年間実施することができました。市労連としてイチ市民として、これまでの取り組みを自治研活動に対する意識の向上や今後の取り組みへとつなげていけるよう本レポートを作成し報告します。



コロナと共に、継続的な地域の応援について
―― 小さなことからコツコツと ――

北海道本部/自治労富良野市労働組合連合会・自治研推進委員会

1. はじめに

 新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)発生以降、自治労富良野市労働組合連合会(以下、市労連)では、感染拡大防止のために厳しい状況にある飲食店に対し、「まちの将来がなければ私たちの公務職場は無い」「少しでもまちを元気にしたい」という思いから、第1弾「富良野市労連まちなか経済活性化助成金」、第2弾「ドライブスルー弁当・ふらの」を実施しました。そして、第3弾「ふらのテイクアウト図鑑」について取り組んでいます。
 本レポートは、この三つの取り組みの経過についてまとめ、その中で得られた効果や見えてきた課題について思考し、自治研活動に対する意識の向上や認識を深め、今後の取り組みへとつなげるために報告します。

2. 具体的な取り組みについて

(1) まちなか経済活性化助成金
① きっかけは
 新型コロナが拡大したことで、「市役所の人が飲みに来てくれないと厳しい」「いつもは宴会でいっぱいなのに予約が入らない」など、市内飲食店の切実な声がきっかけでした。確かに感染拡大防止のため公務を担っている私たちが大人数で飲食をすることは難しい状況でしたが、「何かできないか」という思いから、それぞれが少しでも市内事業店舗を利用することを目的に、飲食代やアウトドア体験等の費用の半分を補助することで地域に貢献するための取り組みを行ってきました。
② 実施にあたり
 「対象事業者」「助成金額」「期間設定」などを検討し、分会長会議で事業の実施について組合員から意見をもらいました。これまで計6回行っていますが、どのような事業者を対象にするのかなどについては、協議を重ねながら実施しています。
③ 実施と結果
 まちなか経済活性化助成金については、計6回行い延べ人数で700人以上、利用額800万円以上の組合員の利用があり、組合員における市内飲食店の利用促進と飲食店等からの評価の声を頂いたところです。
 しかし、経済活性化のための助成金として取り組んでいますが、組合員の生活支援のような利用も見受けられ、事業の目的を丁寧に伝えていく必要性を感じました。
 市内事業所からは、「最近、市役所の人がテイクアウトで頼まれるけど何かやっているの」「市役所の人がいっぱい利用してくれてありがたい」などの声がありました。

(2) ドライブスルーふらの
① きっかけは
 新型コロナ発生から1年たっても沈静化しない状況を踏まえ、影響の大きな飲食店への更なる支援に加え、医療従事者に対する支援も必要ではないかとの議論がありました。また、とある組合員から「ドライブスルー形式での弁当販売はできないか」とのアイディアが出され、2021年1月から新たな取り組みがスタートしました。

② 実施にあたり
 料飲店組合長に今回の企画の趣旨を説明し協力が得られたことから、料飲店組合加盟店舗に対して、参加店舗の募集を行いました。
 2月10日に開催した参加店会議には11組の参加がありました。会議では、お弁当の販売にあたって、アレルギー表示や周知集約方法、仕入れのロスの課題や食品衛生法の規制があったことから事前注文としました。また、地域の方が安全に参加してもらうために、屋外の一つの会場にてドライブスルー方式で販売をすることとしました。さらに、お弁当の値段や内容は、毎回変更するなど店舗ごとの設定を自由にすることで、出店者も購入者も楽しめる企画となりました。
 そして、医療従事者への支援はお弁当の代金から100円を寄付する内容を確認しました。

③ 実施と結果
 利用者がスタッフと接触する機会は、金銭授受と商品受け渡しの2回のみであり、利用者は車から降りることがないので、利用者同士が接触する機会がない、「ドライブスルー方式」は、多少車が並んだとしても3密回避に大きく貢献したと捉えています(下写真)
 また、今回の周知方法はホームページやLINE公式アカウントを利用したデジタルと、出店者のお店にチラシ等を置いて配るアナログによる周知を行い、幅広い世代に対応しました。
 運営面では、必要最小限のスタッフで行いましたが、全組合員にも声をかけ、採用年度や年齢、職場を超えた組合員が参加し、久しぶりのイベントで交流を図ることができました。
 今後は、気温もあがり食品管理上、安全性を保つのが厳しいと判断し、ドライブスルー弁当の企画は一区切りをしますが、参加店舗からは「また一緒になにかしたい」など、今後に期待する声も多いことから、コロナ禍において「労働組合として何ができるのか」を考えて、取り組みを展開したいと改めて感じたところです。
 2021年3月から5月にかけて、計3回「ドライブスルー弁当・ふらの」と冠した地域貢献活動を富良野市料飲店組合(以下、料飲店組合)と連携しながら実施しました。申込件数延べ233件、注文個数延べ803個が販売され、医療従事者への寄付は85,000円でした。
 この取り組みによって、弁当を購入した方からは「いろんなお店の弁当が一か所でテイクアウトできるので、それぞれのお店の味を楽しむことができた」「いままで知らなかったお店のお弁当を食べて、(コロナが落ち着いたら)お店に行ってみたいと思った」などの感想が寄せられました。
 また、参加店からは「観光客などが激減し厳しい経営状況のなかで、この企画を考えてくれて非常にありがたい」といった感謝の思いが伝えられた一方で、「緊急事態宣言発令により5月中旬からお店を休まざるを得ない」といった声も届きました。

(3) ふらのテイクアウト図鑑
① きっかけは
 これまで実施してきたことから、市内でテイクアウトやデリバリーをしている、または始めたお店が少なからずあることがわかりました。市労連で取り組んできたことを形として残すために、テイクアウトやデリバリーをしている事業者をまとめることを自治研で検討することとしました。
 また、募集を始めたころに市広報(3月号)において、新型コロナが市内事業者に与えた影響について掲載されました。これにより、宿泊・飲食業への影響が長引いていることを再認識させられたことで継続的な支援が大事であることも強く感じました。

② 実施に当たり
 委員については横断的で普段の交流がまだあまりない組合員を入れながら、20代30代の職員7人に委嘱しました。
 2022年4月に第1回を開催し、改めてテーマを共有し、事業者をまとめたものを「リスト化」・「マップ化」することとしました。また、委員から「利用される方の中にはネット環境のない人もいる」「紙面上で一覧できたほうが手軽感がある」「更新のことを考えたらウェブ上が便利」「HPがあるならリンクも張れる」などの意見があり、マップについては"紙"と"ウェブ"での作成を進めることとしました。
 その後回を重ね、対象事業者は料飲店組合と商工会議所の加盟店舗から始めること、テイクアウト商品の範囲をお弁当やオードブルから始めること、掲載するお店はできるだけ足を運ぶ、掲載商品はできるだけ食べることを決めました。また、企画書のタイトルを「ふらのテイクアウト図鑑」としました。
 料飲店組合と商工会議所に企画を持参し、趣旨を説明したところ協力を得られ、対象となる店舗に対して案内をかけました。6月20日の期限で募集したところ19店舗から応募がありました。
③ 実施と結果
 レポート作成中である現在も応募のあった店舗に足を運び、委員同士そして事業者との交流を図りながら進めているところです。また、紙とウェブの作成については、班分けして検討している状況です。
 料飲店組合や会議所に企画を持っていった際には、「連休が明けると客足が遠のいて、まだまだ大変」「こういった企画を立ち上げてくれて有り難い」との声を頂きました。

3. まとめ

 新型コロナ発生以降は、行動が制限された中での活動について思考錯誤しながら進めてきました。そんな中、様々な人が関わりながら活動できているのは「地域のために何かをしたい」という思いと、何ができるか、どうすればできるかをみんなで考えられた結果です。
 オンラインで会議、打合せやセミナー、果ては飲み会ができるようになり便利さは増しました。しかし、今回の活動で地域の活性化は人と人が直接会って生まれるものが大きいと感じています。
 ふらのテイクアウト図鑑については現在進行中ですが、今後も新型コロナに負けずに継続的に地域に貢献できる方法と地域の方と組合員が共に助けながら実施する活動、そして組合員同士の交流について熟慮し、心の通った取り組みを実行していくことが大事なことであると、この活動を通して学びました。