【レポート】

第39回静岡自治研集会
第1分科会 自治研入門 来たれ、地域の新たな主役

 2021年4月14日、相模原市職員労働組合「現業評議会・学校技能員部会」の全体集会が開催され、2人の新採用者が紹介されました。新規採用は実に19年ぶりのことです。この間、学校技能員の状況は、自身が採用された1998年、23年前とはかなり変化しています。そこで本レポートでは、これまでの学校技能員をめぐる動きと、今後における学校技能員のあり方・果たす役割について、述べていきたいと思います。



進化する学校技能員
―― 存在価値を発揮し、求め続けられるために ――

神奈川県本部/相模原市職員労働組合・副中央執行委員長 松橋 導明

1. はじめに

 私が児童・生徒として市内の小・中学校に通っていた時代は、学校作業員の家が学校校地内にあり、住み込みで勤めており、中には夫婦で働いていた方もいたため、当時は旧相模原市にも女性の学校作業員が存在していました。私が採用された時も、まだ1人住み込みで勤めていた先輩がいました。学校校地内に家があるという事はある意味24時間勤務のようなもので、夜に先生や児童・生徒が忘れ物を取りに来たりするので大変だったそうです。セキュリティ設備が整ったおかげで警備会社が夜間管理してくれているので、20年位前からは住み込みでの勤務体制は無くなりました。
 学校の主役は児童・生徒であり、準主役は先生です。私たちは黒子として児童・生徒が安心・安全に学校で過ごせるよう環境整備を中心に日々仕事を行っています。その仕事内容は多岐に及び、割れたガラスの交換、ドアや鍵、天井ボードや床タイル等施設修繕、ライフライン電気・水道・ガス・冷暖房施設の管理、また蛍光灯器具とスイッチ類電気器具等、蛇口等給水装置とトイレ便器や排水管の詰まり等修理、各種備品等の修理や作成、一般ごみとその他産業廃棄物の管理処分、学校校地内外の清掃、除草、落ち葉掃き、樹木の剪定と刈り込みと、書き出したらキリがありません。業務にあたる作業員・技能員の立場も時代とともに変化してきました。
 以下、学校技能員をめぐる動きと主な取り組みについて記述したいと思います。

2. 学校技能員をめぐる動きと主な取り組み

(1) 単純労務扱いの労務職員から技術を要する技能職員に

1998年度
職種名 技能職員
(甲)
技能職員
(乙)
労務職員
(甲)
労務職員
(乙)
職名 自動車運転手
自動車整備士
環境整備員
電話交換手
印刷作業員
施設補修員
ホームヘルパー
庁務作業員
学校作業員
道路作業員
保育調理員
公園作業員
文書送達員
介助員
給食調理員
↓(中略)
2021年度
職種名 技能職員
(1)
技能職員
(2)
技能職員
(3)
技能職員
(4)
職名 自動車運転手
自動車整備士
環境整備員
学校技能員
道路技能員
電話交換手
印刷技能員
施設補修員
ホームヘルパー
庁務作業員
保育調理員
公園技能員
文書送達員
介助員
給食調理員
 市役所の行政職は2種類あります。行政職(1)は市役所の中心的役割で一般的な行政事務作業を行う職員です。私たち学校技能員は行政職(2)であり、市役所の政策を現場で実行する現業職員です。仲間にはごみを収集する環境整備員や学校給食を作る給食調理員等がいます。現業職員で結成されているのが現業評議会です。
 現業職場は戦後、戦地から帰ってきて仕事の無い人やご主人を戦争で亡くした母子家庭の雇用対策のための臨時的任用の現業職員でしたが、現業評議会を中心とした労働運動により正規職員となることができました。しかし、残念ながら給料は行政職(1)より低く設定されています。
 また、行政職(2)の中でも表1のように職種が4つに分かれています。私が採用された時の学校作業員の職種は、仕事内容が単純作業とされ単純労務扱い、労務職員(甲)でした。2009年度に時代の変化と共に多くの複雑な技術を必要とすることが認められ、労務職員(甲)から技能職員(3)に職種名が変更されました。現業評議会の各部会と一緒に取り組んできたことから、同様の理由で労務職員(乙)も技能職員(4)に変更されました。更に2021年度には学校技能員は、1人複数校管理による班体制での技能補助員への技術指導やグループによる共同作業等、専門的な知識や技術が必要とされることが認められ、昨年度からは普通自動車運転免許が採用条件に加わり技能職員(1)になることができました。技能職員(1)~(4)では初任給の位置付けが違い、昇格にも影響があるため、学校技能員の採用再開に間に合いとても良かったと思います。また、現業評議会で長年取り組んでいた案件だったことから、同時に一昨年度前から新採用が再開した道路技能員も技能職員(1)になることができました。

(2) 構造改革がもたらした影響
① 「官から民へ」
 私が採用された時は市町村合併前で、基本的に全て男性の正規職員の学校作業員が1校1人配置されており、80校を83人で管理していました(大規模2校は複数配置)。勤務時間は7時40分から17時30分までで開門から施錠まで行っていました(朝50分、夕方30分時間外勤務で対応)。
 2002年度、小泉元総理大臣の「官から民へ」「民間でできるものは民間へ」の民間委託方針のもと、当時は全国でも珍しかった新設校2校を皮切りに民間委託が始まりました。また、既存の2校も定年退職を迎えたOBがそのまま残り再雇用職場にされてしまいました。そして、この年に採用された3人が最後の後輩になりました。翌2003年度も新設校1校が民間委託され、既存校10校が再雇用職場となりました。
 2006年度は、津久井町と相模湖町との市町村合併があり、19校の小中学校が増えました。それに伴い旧2町の女性の正規職員の学校作業員3人が仲間に加わりましたが、残りの16校は非常勤職員の学校作業員での対応となりました。またこの年、小学校最大14校の学校管理業務を民間委託する方針が示されました。翌2007年度は藤野町と城山町と市町村合併があり、旧藤野町の女性の正規職員の学校作業員2人も仲間に加わりましたが、城山町の女性の正規職員の学校作業員は旧相模原市の男性の学校作業員と同様の仕事は出来ないという理由で、保育調理員への職種変更となり、やはり旧2町の残りの学校は非常勤職員の学校作業員での対応となりました。
 2010年度には政令指定都市に移行し、小・中学校は109校、正規職員の学校作業員は39人(女性3人)になりました。その他はOB再任用職員と非常勤職員での対応が6校、OB再雇用職員と非常勤職員での対応12校、非常勤職員2人での対応39校、民間委託校は13校まで進みました。
② 偽装請負・違法行為問題
 そんな状況下の2012年8月に奈良市の民間委託の学校用務員が偽装請負だと報道がされました。民間委託の場合、学校現場で働く用務員に直接業務内容を指示できるのは、委託会社の上司だけです。委託会社の上司は校長先生や教頭先生と打ち合わせし、学校現場の用務員に指示しなくてはなりません。しかし、学校現場ではこのやり方ではとても難しく、やはり校長先生や教頭先生、一般の教員は直接用務員に仕事を依頼してしまいます。児童・生徒も「木に引っかかったボールを取って」「これ壊れちゃった。直して」と直接言ってくるのです。知らず知らずのうちに教職員と児童・生徒にも違法行為をさせ、また用務員としては違法行為だからといって教職員や児童・生徒のお願いを聞かないわけにはいきません。本市においても学校管理業務の民間委託導入前に、組合交渉で学校作業員部会から散々指摘してきたことでした。
③ 直営体制に移行するも維持管理業務に格差
 奈良市の民間委託学校用務員の偽装請負問題は、相模原市議会でも議員から指摘され、相模原市教育委員会は民間委託から再任用職員と非常勤職員を活用した直営体制移行の方針に変更しました。契約期間が終了した学校から直営体制に戻し、3年後の2015年度に移行は完了しました。
 民間委託13校を直営体制に戻すにあたり、多くの再任用職員と非常勤職員が学校現場に採用されました。再任用職員も学校技能員OBではなく、元消防職員や元行政職(1)の一般事務職員が増えはじめ、年配の非常勤職員も多くなり、草刈りに刈り払い機を使用の際の事故が増えました。正規職員の学校技能員は2013年度にやっと念願の「刈り払い機安全衛生教育」を民間の教習センターで受講させてもらいましたので、教育総務室から依頼のあった再任用職員と非常勤職員への「刈り払い機実技講習会」を多くの有志が講師となり、2014年度から毎年複数回、3年連続開催しました。また、この頃から正規職員の学校技能員が配置されている学校と配置されていない学校の環境整備や危険箇所の修理状況の格差が顕著になり、学校維持管理業務の体制変更が検討され始めました。

(3) 学校維持管理業務の体制変更と新採用の再開
① 1人1校管理から複数校管理へ
 2017年度に学校維持管理業務の体制が変更されました。変更に伴い、旧体制まで職員定数が決まっていなかった学校技能員(正規職員)の職員定数が、35人(フルタイム再任用職員を含む)となりました。職員定数が決まったということは、職員定数が欠けるとその分採用されることを意味します。念願の新規採用が見えてきました。35人の内の3人は新たに学校施設課計画班に応援指導班として配属されました。残りの32人は班長として1人で本務中学校の他に、近隣の小・中学校2~4校、合計3~5校管理することになりました。市内全域を10グループに分け、各グループには5級技能主査のグループ長兼班長が統括として配置され、同時に1~3人の班長が配置されました。学校施設課学校技能員班の班長も5級技能主査ですので、この段階では11人の5級技能主査の枠を確保できました。
 旧体制までは中学校に勤務する学校技能員は部活動の朝練があるため、勤務時間が7時10分から17時で、朝の1時間20分は時間外勤務で対応していましたが、時間外勤務は通常勤務時間7時間45分では終了せず、管理職が必要性を認めてから発生するものと言うことで廃止されました。そのため、新体制からの勤務時間は中学校によって多少の違いはありますが、基本的には7時から15時30分となっています。小学校に勤務する技能補助員の勤務時間は児童下校後に戸締りと施錠確認をしてもらいたいということで8時30分から4時30分が多いので、小学校に訪問作業していると多少の時間外勤務は発生するものの、その時間は旧体制時に比べて半分にも満たず、時間外勤務手当が減ってしまったのは私たちには痛手となりました。
 複数校管理となり移動手段が必要になったため、各グループにはグループ内で使用できるよう軽バンや軽トラックが1~2台配車されました。旧津久井4町の班長は移動距離が長いため全員に配車、合計17台の軽自動車が配車されました。また、軽自動車が配車されていない班長には、移動区間の状況によって電動アシスト付き自転車か自転車が配車されました。しかし、小学校への訪問作業時に刈り払い機やチェーンソー、工具類を運搬するには危険で、学校技能員部会は全班長に軽自動車の配車を要求しています。とりあえず2021年度に4台の増車が決定し、全てのグループに最低軽バンと軽トラックが1台ずつ配車されています。
 全小・中学校には会計年度任用職員の技能補助員が2人配置されており、毎日どちらか1人が出勤しています。学校によって違いがありますが月・水・金曜日と火・木曜日を交互に出勤したり、週を前半と後半で分けて水曜日は交互に出勤したりしています。仕事内容は、一般ごみとその他産業廃棄物の管理と管理棟等の清掃。環境整備が主な仕事で、除草作業と落ち葉清掃、低木の刈り込みと剪定。あとは蛍光管の交換等軽微な修繕です。
② 共同作業で高まる知識と作業効率
 旧体制までは1人で1校をじっくりマイペースで計画的に管理してきました。「じっくりマイペースで計画的に」と書きましたが実はこれが曲者でして、学校には学校技能員は1人のみ、管理職は教員であり、環境整備等は基本的にはお任せで、誰かがいつも見ている訳ではないので、自己管理能力がとても大切な仕事です。毎日、管理職の仕事の依頼を待っていても何の指示も無いので、基本的には5年での異動を考え、5年後を見据えた毎年1年、学校独特の3学期毎に、そして四季毎に毎月、毎週、毎日の仕事の計画を立て、実行しなければなりません。その状況で3~5校の学校を管理するとなると1校当たり1週間内で1日か2日しか作業することができず、また、旧体制までは1人親方でしたが6~10人の技能補助員とも人間関係を築かなくてはならなくなり、最初はみんな大変戸惑いました。特に、正規職員の学校技能員が在籍していなかった学校の管理職は、週に1日か2日しか班長が訪問作業しないので、手ぐすねを引いたように待ち侘びていて、多くの修理と環境整備に追われました。
 技能補助員は60~80歳までの高齢者がほとんどで、戸惑いの声が多くありました。特に、旧津久井4町は、管理職も前から配属されている技能補助員の働き方を勤務時間等全てにおいて優先してしまい、最初に配属された班長達の戸惑いは大きいものでした。給食配膳の仕事もしていて技能補助員としての作業時間が短く班長の負担が大きくなりました。また、児童・生徒数が少ないので、旧相模原市の学校に比べると予算が少ないため、道具や電動工具等が揃っておらず、1つの作業に倍の時間がかかりました。現在は学校技能員部会からの状況報告と改善要求もあり、旧相模原市と同様に必要な給食配膳員を雇ってもらい技能補助員の仕事に専念してもらっていますが、給食配膳員が休みの時は代わりに入るので抜けてしまいます。不足している工具類は、予算10万円を2年間確保し、旧津久井4町の7人の班長はホームセンターで必要な工具等を購入しましたが、まだまだ足りない状況の学校があります。
 1人では困難な作業、大規模な作業、一気に片付けたい作業、方法が解らない作業にはグループの共同作業が有効的で、大変な作業も早く出来るので学校からの評判も良好です。学校施設課の応援指導班の3人にも参加してもらい、近隣グループと合同で企画したりと色々な工夫をし、結構大きな事業も協力して作業しています。共同作業の良いところは人手が多いだけでなく、多くの知恵と知識を出し合い、お互いに教え合うことにもあります。多くの共同作業に参加できたことで、作業方法や道具とその使い方等多くのことをお互いに学び合うことができ、研修を兼ねた共同作業を実施したグループもあります。
 技能補助員も同じく、旧体制までは自分達のマイペースで仕事ができたのに、急に班長が来るようになって、あれこれ指導されるので最初は煙たがられました。しかし、旧体制まで技能補助員ができなかった修理をしたり、環境整備が進められて学校が綺麗になっていくと自然と班長を信頼するようになりました。一部の技能補助員には学校の管理職が班長を信頼し頼りにしているのでやきもちを焼いたり、体制変更に伴い勤務日数と勤務時間が少なくなり、給料が減ったのを班長のせいだと勘違いし、やつ当たりするような状況もありました。また、技能補助員同士の馬が合わずにこじれると、その間に入り班長は大変な思いをしました。
 新体制移行には当然反対の声がありましたが、これからの相模原市の児童・生徒、学校のためにと学校技能員全員で立ち上がりました。「私には無理」「私には出来ません」と言っていた班長も何とかグループの長と仲間や学校施設課の応援班に支えられて頑張っています。新体制になり学校技能員は「1人が良かった」が「1人じゃなくて良かった」に変化してきました。
 学校維持管理業務の体制変更から6年目を迎え、一部問題はありますが全体的には大分落ち着いたように感じます。グループの共同作業も定着し、学校施設課の応援指導班も順調に機能しています。旧津久井4町は小・中学校の統廃合もあり、1人で5校を担当し大変な思いをしていた班長の管理学校数を4校に減らすことができました。それでもやはり4校を管理している班長達からは公平にきちんと管理するには厳しいとの声があります。班長全員にアンケート調査したところ、管理できる理想は「3校」でしたので将来的に3校を追求して行く予定です。
 話は変わりますが、以前学校技能員は避難所担当職員でしたが、新体制3年目の2019年度から解任されました。学校現場を知り尽くしている学校技能員が避難所担当を解任されることに他の担当職員や自治会担当役員から不安の声もありましたが、教育委員会の考え方は児童・生徒の教育のため学校現場の早期復旧再開のために尽力して欲しいとのことでしたので、学校技能員部会は理解し従いました。学校技能員は避難所担当職員ではありませんが、学校で復旧作業をしていますから、避難所で困ったことがあれば当然協力もしたいと思います。
   
共同作業で駐輪場の屋根設置   共同作業で床の張り替え   学校施設課班と土留め設置
③ 多岐にわたる業務に関わる学校施設課計画班 学校技能員班
 2017年度に学校維持管理業務の体制が変更され、学校施設課の計画班に学校技能員3人が配置されました。5級技能主査の班長が1人います。勤務時間は8時30分から17時15分で市役所内の他の正規一般事務職員と一緒です。学校施設課に机があり毎朝、市役所に出勤します。各学校の班長は15時30分に勤務が終了するので、一緒に作業して16時や17時になると班長達は時間外勤務になりますが、学校施設課の学校技能員は時間外勤務が発生しにくくなり、給料の手取りが減ってしまうのが痛いところです。
 移動用の軽バンが2台配車されたことから、二手に分かれて行動することも可能になり、市役所の公用車を借りれば3人バラバラに応援作業に向かうこともできます。逆に3人での行動で軽バンを1台しか使わない時は、他の学校施設課の職員に貸すことができ、重宝しています。また、4年間で工具類も充実し、これらは各学校の班長にも貸し出してくれます。
 学校施設課に配属された学校技能員の主な仕事は、各学校の班長の作業の支援や指導になりますが、当然、学校施設課からの色々な作業や調査、確認等の依頼もあります。32人の班長から応援要請が入るので、スケジュールは直ぐに一杯になってしまいます。一通りできる班長達からの要請があるということは、困難作業や重作業です。更に、10グループの共同作業にはほとんど声が掛かるので、毎日が大変な作業の連続です。その他にも学校技能員が使用している軽自動車と給油伝票の管理、班長からの原材料支給要望の発注、グループ長会議の企画と開催、10グループの班長会議への参加、安全衛生研修と実技研修の企画・開催等があります。また、学校施設課はもちろん教育総務室、学務課、学校保健課、教職員人事課、教職員給与厚生課等との学校技能員に関わる事項の調整、連絡があります。各課からは同じ市役所内に学校技能員がいることで、色々なことを確認・相談ができるようになり重宝されています。
 学校施設課の学校技能員は事故が起こると教職員人事課と現場検証に行き、再発防止の対策を考えなければなりません。新体制になってからも技能補助員の刈り払い機による自動車等物損事故、梯子上でのチェーンソー使用による人身事故等、重大事故が幾つかありました。刈り払い機による飛散防止対策には注意喚起ポスターを作成し、ナイロンカッターの使用は管理職の許可をもらうようにしました。また、飛散しない特殊な刃を購入し各校に配布しました。班長は2013年度に「刈り払い機安全衛生教育」、2019年度はチェーンソーの「伐木等業務の特別教育」を民間の教習センターで受講しました。チェーンソーは班長以外の技能補助員は使用禁止にしていましたが、無断で使用してしまい事故が起きました。また、班長による草焼き機使用のボヤによる物損事故も発生し、現在は原則使用禁止です。どうしても使用しなくてはならない時は管理職の許可をもらうようにしました。学校施設課の学校技能員は今年度、新たに新規採用者の教育も担っています。班長以外の2人が1人ずつ受け持ち、4月は20日間、付きっきりで一緒に仕事をしました。新採用の2人は私同様に専門的な知識は無いそうですが、修繕等はおいおいやっていけば身に付くので、まずは学校の基本的な設備等の知識や、本務校以外の小学校に訪問時の振る舞いに重点を置いて指導したと聞いています。私の新採用時は1校1人配置で、近隣学校の先輩学校作業員が指導員に指名され時々様子を見にきてくれましたが、まだ担任を持たない級外と呼ばれる先生が多く在籍し、学校全体がのんびりした時代だったので、基本的には教頭先生と教務の先生が色々と教えてくれました。今はいきなり班長として複数校を管理し、年配の技能補助員と仕事しなくてはならないので大変ではありますが、まずはみんなに可愛がってもらい、少しずつ色々な技術を習得してもらえれば良いと思います。困った場合はグループ長と学校施設課の学校技能員もいるので安心しています。
④ 新たな価値を見出し求め続けられる存在に
 現在、学校施設課に配属されている学校技能員は3人とも第二種電気工事士の免許を取得しています。過去の学校作業員実技研修で、民間建築関係業者講師に、実際に学校でやっている蛍光灯のスイッチ部交換修理を、「無免許者は、してはいけない作業」と指摘され、私も2011年度に免許を取得しました。新体制になり学校施設課に第二種電気工事士免許所持者が配置され、蛍光灯安定器の交換と蛍光灯機器本体交換や増設の仕事が大変多く依頼されました。学校施設課の施設班と設備班に協力してもらい、校舎の大規模改修工事をする現場から新品と交換して廃棄する中古のHf式蛍光灯機器を何百個も回収し、依頼のあった学校の故障した蛍光灯機器と交換し再利用しました。蛍光灯安定器1台を購入すると約1万円、業者の訪問取付工賃と合わせると約3万円掛かります。それが学校施設課に頼めばタダになるので大変好評でしたし、費用対効果は抜群に良いはずです。今でも毎年、学校が夏休みに入り、校舎の大規模改修が始まると大量の中古蛍光灯機器を入手し、他にも使えるものは再利用しています。また、第二種電気工事士免許を取得すると色々と電気工事ができるようになり、学校からも重宝がられることを知り、多くの班長が学習し受験して、今では15人以上の班長が免許取得していて頭の下がる思いです。各グループに電気工事士免許所持者が1人以上いると、中古の蛍光灯機器さえあれば学校施設課に頼まなくてもすぐに修理され、学校には喜ばれるようになります。
 私が採用されて数年は、学校施設課に学校作業員ではありませんが原材料支給担当者が1人いて、新規採用時にガラスの切断・交換修理とネットフェンスの張り替え修理の研修をしてくれました。新制度になった年、私は学校施設課の学校技能員班の班長に配属され、同時に着任した課長はたまたま中学校の同級生でした。課長は以前に学校施設課に所属していた際、その原材料支給担当者と一緒だったそうで、課長から「以前と同じ様なら、要らないからな。」と最初に言われました。しかし、新体制の学校施設課の学校技能員班の働きは、学校施設課はもちろん学校技能員の班長、技能補助員、学校の管理職からも認められ、必要とされています。新採用者と若手がこれから増えてきますので、学校施設課の学校技能員の人数も3人以上に増やし安全に複数で行動できるようにすれば、今後、更に活躍できるような職場になるハズなので、学校技能員部会は定数の増を求めていきます。

3. おわりに

学校技能員の可能性
 今春、学校技能員部会が長年要求していた道路技能員同様に市直営ごみ収集事業所の車両交換時に発生する払い下げのパッカー車1台を、学校施設課に配車しグループ長を運転手に限定しての運用が実現しました。運用にあたり、まずは安全第一が求められておりますので、今年度は剪定枝の収集をして剪定枝チップ工場の枝回収場への運搬のみです。安全な運用ができることが確認された数年後には、他にも大量の除草ごみ・落ち葉ごみを清掃工場に直接搬入することで、少しでもお金をかけず、しかも安全に、早く処分できるようになり更に学校現場から学校技能員は重宝されると信じています。
 また、現在の10グループを11グループに一つ増やして、班長4人のグループを無くし10グループの班長を3人に統一(1グループのみ班長2人)、グループ長の負担を軽減して更に5級グループ長が1人増えるというとても嬉しい話し合いがもたれています。本当は学校技能員の定数を増やしたいのですが、残念ながら現実的ではありません。
 これからも学校技能員全員で知恵を絞り技術を向上させ、全106小・中学校を安心・安全に、また効率良く公平に環境整備ができる体制を追求して行きます。
 そう 学校技能員はこれからも進化し続けるのです。