1. 結いとうろとは
「結いとうろ」とは、松江ライトアップキャラバンが主催する松江城周辺のライトアップイベント「松江水燈路」でライトアップされる松江城とカラコロ工房周辺の間である県庁周辺もライトアップし、光を繋ぐイベントです。ライトアップと同時に、建築物として高い評価を受ける県庁周辺の建築物のアピールや地元の飲食店等の出店やライブを実施しています。毎年、10月の3週目の金、土、日曜日に渡って開催されています。
2013年から始まり2020年で8回目を迎える予定で、県職員だけではなく地域住民や学校、飲食店など多くの人を巻き込み、秋の松江に無くてはならないイベントとして定着しつつあります。
2. 結いとうろの役割
結いとうろは、周辺市街地の活性化、県庁舎アピールの目的で行われており、当日は多くの来場者が、県庁周辺に配置される行灯やライトアップされる県庁舎の幻想的な景色を味わいます。周辺から飲食店の出店や地元アーティストのライブもあり、県庁周辺の賑わい創出に一役買っています。
また、準備・運営を通じての職員同士、地元とのつながりを作る役割も担っていると感じます。準備運営は主に管財課及び営繕課(以下、二つの課)が行いますが、従来の業務では関わることの少ない、他課の職員や、観光協会、地元の商店街の方、学校の方など……一緒に一つのイベントを作りあげることで、新しい出会いがあり、お互いに新鮮なコミュニケーションの場となっているのではないでしょうか。
3. 結いとうろと組合
県職連合は実行委員会の一員として、イベント内容の審議や当日にはアフガン寺子屋やユース部が出店を行い、活動のアピール等をしています。県の施策の中で組合も協賛する珍しいイベントだと思います。
結いとうろ当日は、アフガン寺子屋のチャリティバザーや県職連合ユース部の綿菓子屋が出店し、多くの来場者が訪れました。ユース部のメンバーにとってもメンバー同士の交流や結束を高める良い機会となっているようです。
4. 労働者からみた結いとうろの課題
前述のとおり、結いとうろは地域や県の組織、組合にとって非常に意味のあるイベントとなっています。しかしながら、当初の実施から約9年経過する中で、今後結いとうろを継続するうえで、主催者として実際に企画、運営を担う労働者側の課題が浮き彫りとなってきました。個人的には下記の2つの課題があると思います。
(1) 課題① 通常業務・家庭との両立
結いとうろは県庁の二つの課の職員が主に運営していますが、当然当該課が通常担うべき業務もある中で、その業務を行いながらイベントの準備、運営を行っています。結いとうろの開催時期と繁忙期が重複するため、残業時間が多くなりがちです。スタッフを増員する等の措置も講じられましたが、開催の核となる2課職員に業務が集中するため、効果は限定的だと思われます。
また、開催日は週休日であり、子育て・介護等をする職員にとっては負担となっています。今後はイベントの規模を見直す等、職員の負担を軽減する措置が必要です。
(2) 課題② 職員のモチベーションの維持
結いとうろが最初に開催されてから約9年が経過しています。時間の経過と共に当初結いとうろの開催に関わった職員の退職・異動により当初開催時の目的や意義を知る職員が少なくなってきています。当然、引き継ぎはありますが、業務的に前年度何をどうやったかが引き継がれ、それをマニュアルに従い繰り返すだけでは、「祭」としての楽しさではなくマニュアルどおりにやらなければならない、「やらされ感」の方が勝ってしまう職員も大勢いることでしょう。
また、何故通常の業務を行いながら、観光の部署ではない2課がこのイベントを行わなければならないのかという疑問が出てくるのも当然の流れです。
こうした結いとうろに対する職員のマイナスなイメージは来訪者にも伝わり、イベントも楽しいものでなくなってしまうかもしれませんし、疑問を抱く職員が管理職になった時に開催を止めるという選択にも繋がるかもしれません。
今後、結いとうろを楽しく、長く継続するためには、結いとうろの目的や意義のしっかりとした引き継ぎ、決まったことを同じように繰り返すだけでなくその年々によるイベントの変化等による職員のモチベーションの確保や管理職等が率先して結いとうろに取り組み、職員を鼓舞しつづける必要があると思います。
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