【レポート】 |
第39回静岡自治研集会 第3分科会 高齢者に優しい各自治体・地域の取り組み |
これからのごみ収集において、狭あい路収集に対しての議論・方法について考えていかなくてはいけない。 |
|
1. はじめに 現在の名古屋市において狭あい道路収集については、小型中継車と呼ばれる車両を中心に収集に伺う、車両の通行可能な場所までごみを持ち出してもらう、もしくは地域住民に地域の持ち出し場所を決めてもらったうえでその場所まで収集に伺うことになっている。通常のごみ収集は各戸収集をうたい、自宅前の道路際にごみを排出することにより収集していくことを基本としている。住民サービスの向上を図るため、自宅前での収集が困難な狭あい道路地域においても、地域住民からの要望を踏まえ小型中継車両を使用することにより少しずつ各戸収集の拡充をしている。 高齢化社会と言われているが、狭あい道路地域には、比較的昔から住まいを持っている高齢者世帯が多いと思われる。数年後には、玄関前まで収集に伺うサービスである「なごやか収集」対象世帯の増加を想定しており、今後の狭あい道路、いわゆる2項道路への収集体制について提言したいと思う。 2. 車両の違い 2021年3月に小中継車両の仕様が変更となるとの連絡を受け、来年度以降の新車の納入についてはサイズ変更した拡大サイズの車両にて納入を行うことを決定した。メーカーによれば、現行サイズの車両は製造中止となり、少しサイズの大きい車両となるとのことである。サイズの違いは、横幅5mm・長さ17.5cmと小幅な変更とのことであるが、現状において、サイドミラーを格納した状態で進入していく・進入後、数回の切り返しを行うことによって退出する等ぎりぎりの状況で収集を行っている場所については、収集範囲の変更を余儀なくされる可能性を秘めている。 車両寸法比較(単位mm)
3. 将来的な収集における注意点 高齢化の進展により、「なごやか収集」対象世帯の増加が見込まれるが、相談があった場合は、丁寧かつ速やかに対応している。狭あい道路地域においては小型中継車を中心に収集しているが、車両のサイズ変更に伴う現行のサービスの低下をさせることなくごみの収集を行うことを前提に考えなければならないが、収集車両が通行できなければ当然収集に伺うことはできない。小型中継車の増車で「なごやか収集」及び狭あい道路地域についても自宅前での収集を拡充している中、対応を考えなくてはいけない。2項道路等の問題については、緊急車両が進入できないなどの問題も多い。解消するためには、セットバックを完了させる必要があるが、建物の建て替え・沿道のブロック塀の撤去等を伴うため数十年と時間がかかると思われる。一本の道路に接する全世帯が関わる問題であり、超高齢化社会の中、大きな負担を強いる制度では、市民の皆様からの協力は得られにくい。 ごみの収集を担当している部署では、生活道路として週に3回は収集に伺う。狭あい道路地域において、地域住民の普段からの負担を考慮し対応を行う必要がある。しかしながら担当部署以外での情報の共有が希薄なため、市として負担をかけているという認識の不足、認識不足から市民目線による相談対応に不十分さを感じている。中長期的な問題として、狭あい道路ごとに、現行の車両が進入することができるか、今後納入される小型中継車でも進入できるのかを判断しながら対応しなければいけない。 4. まとめ ごみを出せば収集される。そう思っている市民が大多数であろう。そうでなければいけない。しかし名古屋市において資源ごみ収集は、資源ステーションを使用した集積場所までごみを持っていく必要がある。自宅から指定場所まで持っていくことが困難な人、一人で自宅からの外出が困難な人、様々な問題からごみ出しに不自由さを感じている市民に対応することは自治体職員の責務である。それに対応する「なごやか収集」であり、現行での対応が困難となれば、さらに小さい軽の小型中継車の導入も含め検討しなければならない。労働組合として何ができるのか。狭あい道路に潜む課題や影響をきちんと把握したうえで、2項道路等狭あい道路の洗い出し、生活するための不便さ、その他法的な負担等、市民の立場を理解するために必要な情報を集め、必要な施策を当局に投げかけなければいけない。ごみ出し弱者のためのセーフティネットとしての機能を果たすためにも、車両の変更による不利益を市民に押し付けることなく現行のサービスを向上させていくことを最優先に考え、車両が進入できなければ、地域の人にはごみの持ち出しをしてもらうという従来の考え方だけでなく、収集職員という立場で何ができるのかを含め当局に投げかけていく姿勢をもって臨んでいかなくてはいけない。 |