1. はじめに
私たちは八幡市役所環境業務課の職員です。職種は技術員(ごみ収集作業員)です。
私たちの業務はごみの収集・運搬です。私生活において、ごみは必ずでるもので、ごみの回収をしなければ、街がごみであふれかえり、環境汚染につながるため、衛生上市民の方に迷惑をかけてしまいます。
今後、このことを念頭に置きつつ、市民に必要とされる職場としては、どのような取り組みが必要かをレポートとしてまとめました。
2. 必要とされる職場として
(1) 今までのごみ収集作業
ごみ収集作業において、今まではごみを収集することしかしていませんでした。しかし、ごみ集積場では、カラスや猫、その他の動物にごみが必ず狙われます。ごみを散乱させないために、職員がカラス除けネットと重石を集積場に配置していますが、住民の方が後片づけをしなくてもいいように、カラス除けネットを畳むことを始め、重石を端に寄せることを行いました。また、ごみが飛散しているときは、ほうきとちりとりで後片づけをしています。
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カラス除けネット |
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重石 |
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(2) 災害対応
2018年6月18日大阪府北部地震が大阪府を震源とし、地震の規模を示すマグニチュードは(M)6.1の大阪府北部では最大震度6弱、八幡市においては震度5強の地震が発生しました。住宅倒壊、半壊など多くの被害を受けました。
また、7月豪雨では西日本を中心に八幡市でも集中豪雨の影響を受け、立て続けに9月4日台風21号で災害に見舞われたため八幡市全域で、家屋倒壊や電信柱が倒れるなどの甚大な被害を受けました。
大阪府北部地震発生時には、6月18日から通常業務に加えて、塵芥車19台を稼働させ、24,500tの災害ごみの収集に取り組みました。
また、9月4日台風21号でも大きな被害を受け、翌日9月5日から防災安全課と環境業務課で連携をとり、塵芥車63台分、86,930tの災害ごみの収集を行いました。
一般家庭災害ごみの収集を現業職員と一般職員が協力し、迅速に取り組めた事で、地域住民の方が希望の持てる生活再建へ向けての大きなきっかけを作ることができました。
この様な対応が出来たのも、地域を熟知し、地域住民と密に接し、地域住民に日々寄り添って公共サービスを提供してきた職員だからこそ出来た事です。
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災害ごみ |
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(3) ふれあい訪問収集
八幡市では、職員の業務として、2014年4月からふれあい訪問収集を行っています。ふれあい訪問収集は、1人でごみを出すのが困難な独居世帯に対して、個別に訪問し、家庭ごみを収集すると同時に安否確認を行う業務です。
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安否確認 |
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訪問収集 |
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(4) 出前授業
八幡市では、小学4年生に対して環境教育の一環として、小学校に塵芥車で訪問し、収集について自分たちのごみがどう回収されているのか、小さい頃から分別方法や、その必要性を伝え、実際に収集作業を体験し、ごみ収集や環境問題について少しでも興味をもってもらい、将来的なごみの減量や環境のことを学んでもらう授業を清掃職員自ら行っております。
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収集体験 |
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分別授業 |
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(5) ベトナム人居住者向け学習会
八幡市では、2020年1月末日現在で1,692人の外国人の方が居住されています。海外と日本ではごみの出し方や分別方法が違うため、八幡市では「男山団地での住み方の説明会及び交流会」の中でベトナム人居住者にごみの出し方や分別方法を、やさしい日本語で清掃職員自ら説明し、難しい分別方法については通訳の方に説明をしてもらい、八幡市のごみの出し方・分別方法を学んでいただきました。
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ベトナム人向け学習会 |
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京都新聞引用 |
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(6) 海外出身者向け分別表
八幡市では、様々な国の方が移住されているため5ヶ国(ベトナム語・ポルトガル語・中国語・韓国語・英語)の言語の分別冊子を作成し、ごみの分別にご協力していただいています。
(7) コロナ対応
「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」などが京都府に発令されました。八幡市ではこの間、収集業務においては在宅勤務などを行わず、市民サービスに支障が出ないような体制で業務を行いました。
新型コロナウイルス感染症対策として、毎朝職員の検温、毎日午前と午後にごみ収集が始まる前に塵芥車の車内消毒をしています。また、事務所内での新型コロナウイルス感染症対策としては、各デスクに飛沫感染防止ボードを設置し、至る所に消毒用のアルコールを設置しています。市民に接する業務として、清掃職員も学校関係者と同時期に新型コロナワクチン接種を行いました。これは自分の身を守ることでもありますが、市民に対しての感染予防と市民サービスに支障を出さないようにするためです。
収集業務においては、自宅での生活時間が増えたため、ごみの量が増加傾向にあり、マスクやティッシュなどのごみが散乱し、感染リスクがありました。その中で、市民の方から直接お礼の言葉や、手紙、子どもたちからは、折り紙で手作りのメッセージをいただき、感染リスクでストレスが高まる中、職員のやる気につながりました。
今後も数多くの感謝の気持ちを忘れず、職員一同、市民サービスに力を入れていこうと思います。
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子どもたちからのメッセージ |
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感謝の手紙 |
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3. 今後の課題
(1) ふれあい訪問収集
国全体が高齢化にともない八幡市でも高齢者が増加しているため、ふれあい訪問収集業務の規模を拡大する必要性を感じています。
そこで、2022年5月に全国のふれあい訪問収集を行っている自治体のご協力のもと、八幡市と全国でふれあい訪問収集の条件などがどれほど違うのか、規模などを参考にアンケートに答えていただきました。内容としては、ふれあい訪問収集の業務内容、利用件数、収集量、体制、条件となっています。
○ふれあい訪問収集アンケート調査結果について
・八幡市 人口 69,910人
世帯 33,449件
ふれあい訪問収集利用件数 92件 (2022年1月末日現在)
・2021年3月末日現在で65歳以上の人口が22,088人 (八幡市HP抜粋)
○全国自治労ふれあい訪問収集アンケート調査回答数15件
・全世帯に対してのふれあい訪問収集件数の割合
八幡市 0.275% 京都市 0.144%
旭川市 0.257% 釧路市 0.883%
札幌市 0.406% 帯広市 0.504%
千葉市 0.625% 高知市 0.105%
(粗大ごみも含む)
摂津市 0.279% 東大阪市 0.138%
茨木市 0.028% 徳島市 0.222%
鳴門市 0.072% 都城市 0.154%
神戸市 0.307%
※ 太字になっているところは八幡市に比べて割合が高くなっている市町村です。
・八幡市ふれあい訪問収集条件
① 介護保険法による要介護又は要支援の認定を受けているおおむね65歳以上の者が1人で暮らしている世帯。
② 身体障害者福祉法による身体障害者手帳の交付を受けている者で、身体障害者程度等級表の1級又は2級に該当するものが1人暮らしをしている世帯。
③ その他、市長が認める者。
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八幡市と異なる条件 |
八幡市の世帯件数 (33,449件) 他市町村の条件をあてはめた時の件数(想定) |
釧路市 |
① 介護認定を受けている方(要支援1以上の方) ② 障害者手帳(身体・知的・精神)の交付を受けている人 |
約295件(203件増) |
帯広市 |
① 身体障害者福祉法の規定により身体障害者手帳の交付を受けている者。 ② 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているもの。 ③ 北海道療育手帳制度要項の規定により療育手帳の交付を受けている者。 ④ 傷病者であって自宅療養している者。 |
約169件(77件増) |
札幌市 |
① 介護保険の要介護2以上または障害福祉サービスの障害支援区分3以上。 ② 介護保険の事業対象者、要支援1・2または要介護1か障害福祉サービスの障害支援区分1・2で、本人または世帯内のどなたか1人以上が、ホームヘルプサービスを利用していること。 ③ 障害福祉サービスの同行援護を利用していること。 |
約136件(44件増) |
現在のふれあい訪問収集業務は、1人でごみを出すのが困難な独居世帯に対して行っていますが、これからは、ごみを出すことが困難な高齢者の2人暮らし世帯や目の不自由な方、耳の不自由な方なども対象に、今後、八幡市でも他市町村の条件を参考に規模を拡大できるかを考えていきたいと思います。
4. さいごに
これまで行ってきた、カラス除けネットの片付け、飛散ごみの掃除、小学生を対象とした出前授業、その他災害対応をはじめとする、たくさんの市民サービスを行い、市民のニーズに応え続けてきた結果、市民の方から認めていただき、お礼の言葉やメッセージをいただきました。
また、これからも市民の方から必要とされるには、これまで行ってきた市民サービスだけでなく、職員が組合を通して新たな業務を確立していき、日々の業務の中で時代の流れを敏感に感じ、毎日同じことをただこなすだけではなく、変化をつけて業務を行う事が必要だと思っています。
市民サービスの向上や市民のニーズへの対応、災害支援などは正規職員がいなければできません。
私たちも収集運搬業務を行うだけではなく、市民のニーズに合った新しい業務を模索し、発信し続け、これからもきれいな八幡市の街並みをつくっていきたいと思います。
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