【レポート】

第39回静岡自治研集会
第3分科会 高齢者に優しい各自治体・地域の取り組み

福祉職人材育成方針に係る研究について


大分県本部/大分市職員労働組合・社会福祉部会 菊池 智之

1. 本研究を始めるに至るきっかけ

 社会福祉部会は、福祉職勉強会とほぼ同義のものとして活動を行っていますが、この勉強会のなかで取り上げられる大きな課題として、「福祉職の専門性は、どのように発揮されるべきであるか」というものがあります。
 そもそも福祉職は、その多くが社会福祉士の資格を持っていることを前提に採用された職員ですので、社会福祉士の仕事である、助言、指導、援助、関係調整等について、専門性を有しています。
 しかし、大分市役所で勤務する実態としては、そういったこととは無縁の事務仕事のみを担当する職員もおり、「市役所側が、私たちの専門性を把握していないのではないか?」といった疑問や、逆に、「行政において私たちが発揮できる専門性とは何か?」といったことが話し合われてきました。
 こうしたなか、当部会員より、他自治体において福祉職人材育成方針が制定されている旨の情報を得ましたので、これらの課題解決にむけた一歩として、その内容を調査・研究する運びとなりました。

2. 各自治体における人材育成方針

(1) 大田区(2017年3月策定(2021年3月一部更新))
① 事務職と同じ仕事をしていることへの問題意識をもっている。
② 専門性と事務職員としての能力の両立をめざしている。
③ 年齢構成のアンバランスさを自覚。
④ 直接支援のみから計画策定、施策企画・立案、指導などフィールドの広がりを見込む。
⑤ 細かく調査されている。

(2) 大阪市(2020年10月策定)
① 福祉職員のキャリアラダーを新たに作成し、福祉職員の専門性+行政職員としての基本=25項目×4階層(100のチカラ)の習得をめざすとしている制度設計が素晴らしい。
② 具体的なジョブローテーションが策定されている。

(3) 北九州市
① ゼネラリスト志向とスペシャリスト志向の道を明示しているのは特筆すべき点。
② ジョブローテーションモデルがよくできている。

(4) 八尾市(2022年3月)
① ゼネラリスト志向とスペシャリスト志向の道を明示しているのは特筆すべき点。
② 各所属(8課記載)ごとに担うべき役割を明記している。

3. 今後の研究課題

 大田区におけるアンケート内容など、参考となりそうな部分について調査し、より詳しいものにしていきたいと考えています。また、この調査を進める上で、各自治体における福祉職のキーパーソンとのコネクションを築くことができればなお良いと考えています。
 大分市においては、社会福祉部会内における属性・所属などの基本事項をまとめ、めざすキャリアとそれに伴う必要とされる力、及び大分市で福祉職として働く意義等について研究を進めていきたいと思います。

4. 社会福祉部会として求めていくこと

 福祉職のキャリアモデルや求められている姿等が不明瞭であると感じていることや、私たちが持つ専門性に対する理解が足りていないと感じている現状について認識させ、人材育成方針を一つの手法として示しつつ、本研究結果を踏まえた政策の実施を求めていきたいと考えています。