1. はじめに
2016年1月からマイナンバーカードの交付が開始され、7年目を迎えている。総務省は、2022年度中に全国民へマイナンバーカードを取得させようと目論んでいるが、現在の交付枚数は約5,600万枚で、全住民の4割程度となっている。そのため総務省は、2019年に交付円滑化計画を策定し、2020年に改訂、さらに2021年には再改訂も行ってきた。これに基づき各市町村では、交付体制の整備や、普及促進に向けた取り組みを求められ多忙を極めている。さらに総務省は、マイナンバーカード未取得者へ、オンライン申請用QRコード付き交付申請書の送付を決定しており、順次発送予定としている。これにより、現場の窓口は、再び混雑・混乱を招き、住民からの罵声が飛び交い、頭を下げ続けることになるのではと懸念している。
こういった、マイナンバー関連に伴う業務量の増加により、労使交渉で繰り返し人員増加を求めても、一向に窓口の人員は増えず、コロナも重なり、マンパワー不足が顕著となっている。
2. マイナンバーカードについて
(1) マイナンバーカードとは
日本において「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づき、住民が申請した場合に発行されるプラスチック製のICチップ付きカード。券面に氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバー(個人番号)と本人の顔写真等が表示されている。本人確認のための身分証明書として利用できるほか、自治体サービス、e-Tax等の電子証明書を利用した電子申請等、様々なサービスに利用可能。なお、電子証明書は下記の2種類となっている。
① 署名用電子証明書
・インターネット等で電子文書を作成・送信する際に利用
電子申請(e-Tax等)
民間オンライン取引(オンラインバンキング等)の登録など
② 利用者証明用電子証明書
・インターネットサイトやキオスク端末等にログイン等をする際に利用
行政のサイト(マイナポータル等)へのログイン
民間のサイト(オンラインバンキング等)へのログイン
コンビニ交付サービス利用など
(2) マイナンバーカードの申請方法
① スマートフォンによる申請
スマートフォンで顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請
② パソコンによる申請
デジタルカメラ等で顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請
③ まちなかの証明写真機からの申請
申請書を持参して、申請可能な証明写真機で顔写真を撮影して申請
※ まちなかの証明写真機は申請できるものとできないものがある
④ 郵送による申請
マイナンバーカードの交付申請書にご本人の顔写真を貼り、送付用封筒に入れて郵便ポストへ
(3) マイナンバーカード交付までの手順
① マイナンバーカード交付申請後、お住まいの市区町村から交付通知書※が送付される。
※ 交付通知書は市区町村がマイナンバーカードの交付の準備ができた旨を住民へ知らせる通知書。交付申請書等に不備がある場合を除き、申請から概ね1カ月で住民のもとへ発送される。
② カード交付時に必要なもの(表1)を持参し、お住まいの市区町村窓口※へ本人が受け取りに行く。(代理人による受け取りは原則不可。例外はあるが、さらに本人確認書類等が必要となる)
※ 札幌市の場合はマイナンバーカードセンター(土日、平日夜間開庁)でも受け取り可能。ただし、完全予約制。
表1 カード交付時に必要なもの |
※ 本人確認書類とは |
□ 交付通知書(はがき)
□ 本人確認書類(※右記参照)
□ 「通知カード」(注1)
□ 住民基本台帳カード(お持ちの方のみ)
□ マイナンバーカード(お持ちの方のみ)
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注1)2020年5月以前に交付を受けている方
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① 住民基本台帳カード・運転免許証・運転経歴証明書・旅券・身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳・在留カード・特別永住者証明書・一時庇護許可書・仮滞在許可書のうち1点
② これらをお持ちでない方は、「氏名・生年月日」または「氏名・住所」が記載され、市区町村長が適当と認める2点
(例)健康保険証、年金手帳、社員証、学生証、学校名が記載された各種書類、医療受給者証
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③ 市区町村の交付窓口で本人確認の上、暗証番号を設定しカードを交付。
マイナンバーカードは重要な情報なため、複数の暗証番号で管理。かんたんな数字の並びや生年月日、自宅の住所など推測されやすい番号を登録しないようにする。各種暗証番号の設定は表2、表3参照。
表2 交付窓口での暗証番号設定
署名用電子証明書 |
英数字6文字以上16文字以下で設定。英字は大文字のAからZまで、数字は0から9までが利用でき、いずれも1つ以上が必要。 |
利用者証明用電子証明書 住民基本台帳 券面事項入力補助用 |
数字4桁 同じ暗証番号を設定することも可能 |
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表3 設定暗証番号記載票 |
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ここまで、マイナンバーカードについて触れてきましたが、非常に煩雑化しており、窓口での対応に苦慮していることをご理解いただけたのではないでしょうか。
3. 今後について
マイナンバーカードの交付が始まって以降、窓口業務の繁忙期や、連休明け、マイナンバーカードの申請・交付が一斉に重なった際等、ことあるごとに統合端末の動きが鈍くなり、業務に支障をきたすケースがあった。たかだか4割程度のカード交付率でこの状況であれば、全国民がカード取得時に、きちんと機能するのかいささか不安である。それでも総務省は、「マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも安全・確実な本人確認ができるデジタル社会の基盤となるツールであり、政府全体で、2022年度末までに、ほぼ全国民に行き渡ることをめざして、その普及促進に取り組んでいます。本年1月からは、マイナポイント第2弾が開始されたところであり、マイナンバーカードの健康保険証としての利用申込みを行った者及び公金受取口座の登録を行った者へのポイント申込み開始時期が6月頃、マイナポイント第2弾の対象となるマイナンバーカードの申請期限が9月末までを予定しています。これらのスケジュールを踏まえ、マイナンバーカードのさらなる普及促進を図るためには、9月末までに申請促進に取り組むことが極めて重要です」という。
まずは、全国民に行き渡ることをめざすのではなく、今やるべきことは、窓口の最前線で対応している組合員へ、システムダウンによる負担がなくなるようなシステム増強をはかってもらいたい。結果、それがより良い住民サービスにつながり、カード普及に向けた第一歩になるのではと考える。
今後も、マイナポイント第2弾の保険証や公金口座との紐づけ等があり、まだまだ忙しい日々は続きそうだが、果たして、2022年度末にマイナンバーカードの取得率はどれくらいになっていることか……
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