【レポート】 |
第39回静岡自治研集会 特別分科会 今、必要とされる公共サービスと自治 |
2005年10月、旧柿木村と旧六日市町が合併し、吉賀町が発足しました。この時、吉賀町職員労働組合が誕生しました。 |
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1. これまでの経緯 2018年12月、給与条例案否決の知らせにより、吉賀町職員労働組合は大きな衝撃を受けました。2018年確定闘争時に「人事院勧告に準じて基本賃金を改定すること」「実施時期は4月1日に遡及適用すること」として労使合意したにもかかわらず、第4回吉賀町議会定例会において、人事院勧告に基づく給与条例案が反対多数で否決されました。結果として、1月1日適用での改定となりましたが、このことで私たち組合員は改めて、住民や議会から自治体職員に対して厳しい目が向けられているという事実を痛感しました。議会に私たちの声を届けることができるよう、組織内議員を擁立することや、政治学習、政治闘争などの取り組みにより、組織を強化していくことの重要性を再認識しつつ、こうした現状を少しでも改善するためには、やはり自治研活動による地域貢献などを通じ、労働運動、組合活動に対し、住民の理解を得られる職員労働組合の姿を示していく必要があると感じました。 2019年、自治研部の活動を模索する中、町内で大規模建物火災が起こりました。その被災者を支援するボランティア活動をしたり、火災後に通行規制のかかった通学路での見守り活動をしたりすることで、地域に貢献することができました。そして、見守り活動の中で子ども達との話の中から、通学路の除草、清掃活動に繋がりました。私たちは初めて組合として地域に入り、自分たちの目で地域の現状を見て、住民の声を聞きました。一日も早い復旧を望む被災者の想いや、子どもたちの不安な気持ちに寄り添うことで、私たちはようやく自分たちの取り組むべき活動をみつけることができました。 2. 美化活動 2020年初め、新型コロナウイルス感染症患者が急速に増加し、政府による緊急事態宣言が発令される事態になりました。3月、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、町内の小中学校が長期間、臨時休校となりました。5月に小中学校が再開したところ、通学路に草が伸び、荒れているとの声が上がってきました。見回ってみると、関係機関や地域の方が草刈り等をしている通学路はきれいになっているのですが、そのほかの通学路には、草が伸び放題になっていました。これまで子ども達の通学を見守ってきたこともあり、通学路の草刈りをする事にしました。コロナ禍での活動になるため、集まって話すときにはマスクをして人と人との距離をとる、作業は密にならないように離れて作業するなど、どうしたら感染防止しながら活動できるか話し合いました。 当日は悪天候のため、やむなくその日の作業は中止することになりましたが、後日、有志で草刈りを行いました。荒れていた通学路がきれいになり、子ども達が安心して通える通学路となりました。 また、作業の日のために用意していた飲料水は吉賀町社会福祉協議会のフードバンクに寄付させていただきました。 3. フ-ドバンクへの寄付 新型コロナウイルス感染症が流行した影響で仕事が減るなどして収入が減り、生活に困っている人が増えてきたという報道がありました。吉賀町でも、飲食業者や外国人等から収入が減り、生活に困っているとの話が聞こえてくるようになりました。生活に困っている人たちのために、吉賀町社会福祉協議会がフードバンクを実施していました。そして、配布する食品が少ないことを知り、家庭で眠っている食品を集めることならコロナ禍でもできると考え、食品の寄付を募ることにしました。多くの方から寄付していただき、家庭で食べきれない食品やまだ食べられるのに捨ててしまう食品を、必要としている人に届けることができました。4. マスクの活用 新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、手洗いマスク着用が推進され、日本中でマスクが不足していました。そのような状況から一転、マスクが手軽に手に入るようになり、国から支給されたマスクを含め、家庭においてマスクがだぶついてきました。そんな中、吉賀町社会福祉協議会がマスクの寄付を募っていることを知りました。そこで、マスクを必要とする吉賀町社会福祉協議会に寄付することを思いつきました。組合員を中心にマスクの寄付を呼びかけたところ、多くの方からご賛同いただきました。集まったマスクを寄付し、職員で活用していただくことになりました。5. 終わりに コロナ禍で行動が制限され、新しい生活様式での生活を強いられました。これまで当たり前のようにしていた人が集まっての活動ができなくなりました。自治研活動をするにあたり、集まって話してもいいのか、どんな活動ならできるのか、活動が密にならないかなど、感染防止をしながらどのように活動していけばいいのか、新しい課題が突き付けられました。けれども、まずは地域に入り、住民の声を聞くこと。地域が抱える不安や課題に向き合い、それを活動に反映させること。活動そのものはおおげさなものでなくても、小さな取り組みを積み重ねていくこと。組合員ひとりひとりが、住民としての立場や視点で物事をとらえることを意識して日頃から地域のためにできることを探し、自分たちの活動を地域住民に知ってもらう努力をすること。 そうした組合員の取り組みへの姿勢こそが、コロナ禍であっても、継続的な自治研活動を実現できると感じています。 私たちの自治研活動は、迷いながら始まった小さな一歩から、コロナ禍の中、課題を抱えつつも次の一歩を踏み出しました。その一歩は、新たな吉賀町職員労働組合の歩みになりつつあります。 私たちはこれからもその歩みを止めることなく、少しずつでも、地域住民に理解される職員労働組合として、自分たちの道を切り開いていきたいと思っています。 |