【代表レポート】

市民と行政が「新しい公共」をつくる

NPO法人ワーカーズ・コレクティブ・
ケアびーくる・代表 河崎 民子

 

1. 神奈川県大和市(特例市)

 人口216,000(87,000世帯) 高齢化率12%
 東京都と横浜市に隣接。交通利便都市(市面積27k㎡に私鉄駅8つ)
 厚木基地にも隣接

2. 大和市の市民活動・市民事業

(1) 市民活動団体/約250団体

(2) 企業組合/2団体
   食事・配食サービス2

(3) NPO法人/13団体(法人支部2含む)
   家事介護2、外出介助2、デイ食事1、保育1、環境教育1、人権擁護2、国際援助2、手品大道芸1

3. NPO法人ワーカーズ・コレクティブ「ケアびーくる」(外出介助サービス)

(1) 設立と動機
   1998年設立(法人登記99年)。
   市の送迎サービスが、税の公平性等から利用制限がある(通院のみ。月2回まで。介助や付添がない。時間外は利用できない。急な依頼は不可等)
  ・アクセスフリー(権利としての移動自由)のまちをつくるため、相互扶助の精神で市民ができることから始める(まちの問題課題は市民で解決したい)。
  ・公的サービス・事業者・市民事業・ボランティア、それぞれに利点がある。様々なサービスから利用者が選択できるまちを提示したい。
  ・対等な出会いの関係を創るためサービス料金を設定(ボランティアではない)。

(2) ニーズは非常に多い
  ・会員33名(実働15~16名)。利用登録者数242名(9月現在)
  ・車椅子対応車2台所有
  ・月平均サービス量 300件 420時間 (月平均事業高約50万円)
   ……市の送迎サービス(社協委託)の2倍強の件数。
    通院以外(買物、会合、仕事、墓参、美容理髪、コンサート、旅行等)が約1/2

(3) 地域資源を活用
   メンバーは女性と退職男性。
  ・自分の時間、車両、介護技術、ヘルパー資格、PC、携帯、知恵、資金、場所等を地域に開いて活動。人の役に立つ喜び。

(4) 大和市との協働
  ・車椅子対応車、ストレッチャー等の保管場所、会議室の提供等
  ・助成金30万円/年
  ・福祉タクシー券が非営利市民事業のサービスにも利用可能に。

(5) 課 題
   事務所    
   参加者の拡大等

◆ワーカーズ・コレクティブ(略称W.Co)とは
  米西海岸で始まった自主管理型労働形態。コミュニティサービス等を創りだすため、80年代に生活協同組合等が中心になり日本で拡大。
  神奈川県のW.Co/188団体(5,463人)8月末。

 大和市には10団体
  NPO法人W.Co「想」 家事介護サービス
  88年設立。活動ワーカー数180~200人
  昨年度サービス時間 66,939時間
  (介護保険50,603時間 扶けあい16,336時間)


4. 「大和市新しい公共を創造する市民活動推進条例」 02/7月施行

(1) すでにある「新しい公共」を継続拡大するために、市が理念と制度を整えたものと認識。
   「市民福祉事業支援条例の制定を求める請願」 00/3月議会に提出

(2) 条例の特徴
  ① 条例素案を市民と市が協働で作成した。
  ② 新しい公共という社会のあり方を理念にかかげた。
    市民一人ひとりの多様性を大切にするために、「公共」を行政だけが担うのではなく、市民・事業者等が単独または市との協働のもとに様々な選択肢を提供する。
  ③ 運用はこれから。
    「協働推進会議」準備会発足。

5. おわりに

 市民の不平や不満に迅速に対応するのが良い行政の時代は、終った。
 自律型・自治型市民を創る理念や制度があるのが良い自治体。
 それに基づき市民を誘発するのが良い行政マンなのでは。