【代表レポート】

森 林 と 都 市 の 交 流

特定非営利活動法人JUON(樹恩)NETWORK 
理事(元吉野川流域林業活性化センター専務理事) 藤原 利廣

 

1. はじめに

 半世紀にわたり、森林・林業振興のために徳島県職員として林業行政、そして退職後は流域林業活性化センターで、吉野川の活性化に取り組んで参りました。
 その間、森林・林業は、木材生産機能から自然環境の保全へと国民の関心が高まり、森林に対し、公益的機能の需要が強く求められ、森林への期待は多様化しています。
 そこで、森林・林業は、山村に住む私達の問題ばかりではなく、都市住民の参加による「森林を社会全体で支えていく」こと、さらに地球温暖化防止の視点から「木材のライフサイクル」を推進することが最も重要と考えられます。その1つとして、平成10年4月、特定非営利活動法人『JUON(樹恩)NETWORK』を設立して活動している状況を発表し、ご指摘・ご指導をお願いいたします。

2. 人々の暮らしと森林に対する期待の変化

(1) 行政サイド……国・県の林業行政施策の是非
   <行政の一貫がなかった……>

(2) 山村住民(林業関係)は高度成長に埋没
   <スギ1m3の立木価格で雇用出来る伐木作業者が昭和36年は11.8人が、平成10年では0.7人の雇用>

(3) 平成3年度流域林業活性化推進事業……三好流域林業活性化センター設立
   <三好流域林業活性化の原点>

3. 三好流域林業活性化の取り組み

 活性化協議会を通じて基本方針書を策定、その基本方針に沿って三好流域活性化のための8つの方策を策定・その推進

(1) 基本方針書

(2) 8つの方策
  ① 林業総合センターの建設……活性化の司令塔
  ② 林業従事者の育成確保
  ③ 森林組合等事業体の再編・体質の強化……森林組合の広域合併、林業機械化センターの設立
  ④ 高性能林業機械の導入
  ⑤ 林産物の流通加工体制の整備……三好木材流通加工団地(内陸型木材加工団地)
  ⑥ 森林の整備……間伐の促進
  ⑦ 特用林産物の産地化
  ⑧ 森林空間の総合利用……都市住民との交流、大学の森・樹恩割り箸

(3) ボランティア活動
  ① 阪神大震災羅災学生のために仮設住宅の提供……………… 平成7年
  ② 都市住民との交流……………………………………………… 平成7年度~
  ③ 大学生協における「人・時・自然環境委員会」へ参加…… 平成7~9年度
  ④ JUON(樹恩)NETWORK創立総会………………… 平成10年4月

4. JUON(樹恩)NETWORKの活動

(1) 都市と農村漁村を結ぶ「自然と文化のネットワーク」づくり

(2) 森林の保全・育成・ボランティア活動

(3) 過疎の廃校を活用したセミナーハウス運営・支援

(4) 地方文化の発掘と普及

(5) 三好地域では、
  ① 樹恩割り箸(セルプ箸蔵)<森林と福祉(森・環境・福祉の三本柱)>
    日本での割り箸の使用量、年間250億膳。仮に10%を福祉施設で行えば、全国で2,500施設、375,000人雇用が可能。
  ② 大学の森<三好郡西祖谷村祖谷>
    森林の楽校(もりのがっこう)開催(全国5ヵ所で開催されている)

5. 世紀を超えて森林活力を推進する国民参加の森づくり

(1) 木材のライフサイクル化の推進
   <地球温暖化防止の観点から>

(2) 自然の森(森林)と街の森(木材製品)に二酸化炭素を貯める
   <木材(国産材)需要拡大>

(3) 国民参加の森づくり
   森林の働きや価値を十分認識した上で、今後とも守り育て次世代に引き継いでいくためには、森林を社会全体で支えていく意識を国民の間に拡げていくことが重要な課題となっています。
   また、環境問題や資源の循環利用に対する国民の関心と期待が高まる中で、一般市民やNPOがさまざまな形で森林づくりに参加できるような取り組みが重要です。ぜひ、ご支援とご協力をお願いします。