【自主レポート】

第37回土佐自治研集会
第2分科会 まちの元気を語るかよ~町ん中と山ん中の活性化~

 アトピーや皮膚病などに効果があると言われている豊富温泉。温泉活性化に向けて、様々な取り組みが行われております。その中で、人口減少に歯止めをかけるべく湯治留学を発案。その内容を紹介します。



豊富温泉湯治留学


北海道本部/豊富町職員労働組合

1. 豊富町の紹介

 豊富町は、北は稚内市、南は幌延町、東は猿払村、西は日本海に面し、人口約3,900人のまちである。酪農業が盛んで、水平線まで続く日本一の高層湿原「サロベツ湿原」や日本最北の温泉郷「豊富温泉」を有する観光のまちでもある。

2. 豊富温泉

 「豊富温泉」は、1926年に石油の試掘作業中に、温泉が沸きだしたことがきっかけ。この頃から、皮膚病に効果があると言われ、やけどなど湯治に来る方が多かった。現在では、アトピーや皮膚病などに効果があると言われている。(個人差はある)なぜ効くのかは、残念ながら科学的に証明されてはいないが、独特の石油臭がする豊富温泉は、この石油のタールが効くのではないかとも言われている。町営の「ふれあいセンター」には、多くの湯治客が訪れている。
 しかしながら、昨今の不景気により最大で10数軒あった旅館等は、今は4軒までに落ち込んでいる現状。そこで豊富町として温泉活性化のためにさまざまな取り組みが行われている。


3. 豊富町の取り組み

(1) コンシェルジュ・デスクの設置(2004)
 総合案内窓口を設置し、湯治に必要な情報提供をするほか、レンタカーやPC、長期滞在者の要望により、ハローワークの情報提供等々行っている。

(2) 温泉利用型健康増進施設(2017)
 厚生労働省に申請し「ふれあいセンター」を温泉利用型健康増進施設として認可を受ける。温泉利用料、往復交通費等が医療費控除の対象となる。温泉利用指導者による入浴指導を行っている。

(3) 温泉住民・湯治客による活動
 温泉住民の企画によるさまざまなイベント音楽フェス「とよとみミサイル」や、湯治客によるヨガなどの活動が見られる。

4. 湯治留学

 全国から皮膚病に困っている方が訪れ、湯治の方々が年々増加していることを、豊富町の課題である人口減少の歯止めにできないか、関係各位で検討し、小中の義務教育はもちろん道立の豊富高校、私立の稚内市の大学も含めアトピー等で悩む子どもたちの湯治留学制度を創れないか研究をするよう指示があった。

(1) 豊富温泉湯治留学体験モニター(2016年度実施)
制度概要
・主治医の意見、児童生徒および申請者の意志をもって湯治を希望するもの
・アンケート調査に回答するもの
・保護者が付き添うこと
・14日以上30日以内
・児童生徒と付き添い者の往復の交通費
・宿泊代の2分の1(自炊型施設に限定)
・豊富市街から豊富温泉までの実費支給(湯治や生活に使うバス運賃)
・豊富温泉「ふれあいセンター」の入浴料の免除
実績(2016)
・8組が体験(北海道1件・本州7件)
・うち1人が豊富高校に編入

(2) 豊富温泉湯治留学体験支援制度の実施(2017年度実施)
 制度概要は2016年度同様。
実績(2017)
・1組(本州1件)

(3) 豊富温泉湯治留学移住支援制度の実施(2017年度から新設)
制度概要
・主治医の意見、児童生徒および申請者の意志をもって湯治留学による移住を希望するもの
・過去に湯治を経験し、湯治を継続することで疾患の改善が確認できた者
・湯治留学する学校の入学、転学、編入学等の要件を満たさなければならない。
・支給期間は3年間ただし、1年に満たない場合は、支援金を返還させる。
・居住費支援として住宅料の1/2を最大2万円支給する。
・児童生徒に対し豊富町ふれあいセンター使用料(入館料)を免除する。
実績
・3組(本州3件)
 現状としては、少ない件数で見直し等が必要なことが考えられるが、まずは第1歩を踏み出して新たなまちづくりに向け、取り進んでいる。