【自主レポート】 |
第37回土佐自治研集会 第2分科会 まちの元気を語るかよ~町ん中と山ん中の活性化~ |
私たちは、外国人観光客の増加を見据え、ベジタリアンやムスリム等の食に制約がある方のニーズを飲食店等に伝えたり、現場のニーズに対応したイベントを開催することで、課題解決を図っています。また、研修会を開催することで「食のバリアフリー」対応を進め、マニュアルやマップにより情報発信しています。フットワーク軽く、他自治体や民間事業者と広く連携することで、県内各地の旅館や飲食店に対応の輪が広がっています。 |
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1. 活動趣旨 ベジタリアン(菜食主義者)やムスリム(イスラム教徒:豚・アルコール禁忌)といった、健康や道徳、宗教等の理由から、食生活等においてタブー(禁忌)なものがある方は、アジアだけでも約115万人が来日しており、今後も増加が見込まれます(注1)。さらに、群馬県は総人口における外国人比率が全国3位と非常に高く、多文化共生の観点からも食環境の整備は重要です。
(注1)国籍別来日人数につき、日本政府観光局(JNTO)国籍/月別訪日外客数。ムスリム数については、訪日外国人数にムスリム率をかけたもの。ムスリム率については 店田 廣文、イスラーム教徒人口の推計、2013、(http://imemgs.com/document/20150714mij.pdf)。ベジタリアン数については、訪日外国人数にベジタリアン率をかけたもの。ベジタリアン率については、日本ベジタリアン協会(www.jpvs.org)及び、はま通信(www.hama-tsushin.com)参照 2. 食に制約がある人と食を提供する人をつなぐ実践活動 私たちは、まず群馬の現状を知るために、ベジタリアンやムスリムと一緒に飲食店や観光地を巡り、実際に体験しながら情報収集を行いました。その結果、「食に制約のある人」の声をリアルタイムに「食を提供する人」につなぐことができました。私たち自身も、食に制約がある人の価値観に触れることで、食に制約がない私たちでは気づかないことにも関心を持てるようになりました。たくさんの現地調査を踏まえ、「彼らとともに、同じ食卓でそれぞれが食べたいものを食べられる群馬県」をつくるためにはどういった課題を解決していくべきか、どんな場が必要なのかを当事者目線で考え、自主イベントを開催しました。
○「野菜を多く使用する飲食店」であっても、店主がベジタリアンでもともと野菜のみを使う店、別途ベジタリアンメニューを用意する店、対応の可否を店員に聞いて確認しなければならない店など対応状況は様々でした。
活動を通して、ベジタリアンは対応店の情報が知りたい一方で、飲食店は集客に悩んでいるということがわかりました。そこで、両者のニーズに応えるため、野菜の生産者・料理の作り手・ベジタリアンの三者が顔を合わせてのイベントを開催。こだわりの野菜など、取り扱い素材を含む自店の取り組みをPRしたい飲食店と、情報がほしいベジタリアンを繋ぐための一つの手段となると考えられます。 |
(2) ハラール対応
② セミナー・視察ツアーの開催
ムスリムのハラール肉へのニーズに応え、ムスリムと一緒に楽しめる場をつくるため、両毛地域で連携し、栃木県佐野市と高崎市でバーベキューを開催しました。群馬県初のムスリム向けイベントとなるバーベキューは、県内外の企業にも協力いただくことができました。当日は国籍を問わず想定を上回る参加者が集まり、ハラール対応についてPRする機会となりました。 |
4. 活動成果 (1) 「食のバリアフリー」という考え方の普及・啓発
(3) マニュアルやマップによる情報発信
5. 今後の展望 この2年間で県内外の現状を調査し、セミナー等を開催して普及啓発をするとともに、対応事例を作ることができました。しかしながら、課題もあります。例えば、ハラール対応につき、ハラール肉の入手ルートを整備するため、生産者と加工者をつなげることはできましたが、入手ルートを広げるためには、食材としてハラール肉を使用する飲食店等を全県的に増やしていく必要があるとわかりました。このように、全県的な取り組みにしていくためには、まだまだ時間がかかり、一自治研の取り組みだけでは限界もあると感じています。そのため、両毛地域での連携をはじめ、県内外の観光・インバウンド団体との連携を強化し、食のバリアフリー対応の普及をさらに強化したいと考えます。 6. 自治研究活動を通して気づいたこと (1) 公務員としての原点への気づき |