【自主レポート】 |
第37回土佐自治研集会 第2分科会 まちの元気を語るかよ~町ん中と山ん中の活性化~ |
大分県自治研センター地域活性化部会では、2016年度の活動として、地域活性化における外部人材の活用をテーマに研究を行う中で、「地域おこし協力隊」に注目し、県内自治体の協力隊担当者及び協力隊員との交流を行った。その中で、協力隊員と自治体との思惑のミスマッチ等を聞くに当たり、自治体及び協力隊双方の実態を把握すべくアンケート調査を行った。 |
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1. 調査の背景
「地域おこし協力隊制度」は2009年度に創設された制度であるが、創設時の目的は都市部から地方部へ、人口、特に働き手の世代や若者が移住することを後押しできるような仕組みをつくるということである(地域活性化センター理事長 椎川忍)。(注1) |
2. 調査の概要
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3. 調査結果 3-1 自治体アンケート (1) 地域おこし協力隊の導入目的 (2) 採用人数(過去5年)
(3) 協力隊員卒業後の進路 協力隊員の卒業後の進路として、任務地である当該自治体が30.8%、任務自治体ではないが、大分県内が9.6%となっており、40.4%が大分県内に留まっていることがわかる。任務自治体に居住している協力隊員の就業状況としては、起業、行政(非常勤)、就農などとなっている。 ただ、多くの採用があった2014年度以降の協力隊員については、まだ任務中ということもあり、卒業した協力隊員の絶対数が少ないため、今後卒業する協力隊員の動向が注目される。 (4) 募集方法 協力隊員の募集方法では、全14自治体でホームページを活用している。また、4自治体では都市部での説明会を開催している。その他、新聞、雑誌などを使った募集を行っている。 広報に有効な媒体として多くの自治体がJOIN(一般社団法人 移住・交流推進機構)のホームページ(注2)を挙げている。同ホームページには地域おこし協力隊専用のページがあり、多くの移住希望者が閲覧しているということが理由である。 また、都市部で説明会を実施している自治体では、担当者より詳細に制度等の説明を行うことで、採用申し込み前の不安要素を取り除くことができるとの意見があった。 (5) 協力隊員の活動状況の把握 ほとんどの自治体で、業務日報、月報等の活動報告書提出により状況把握を行っている。また、定期的な活動報告会、ミーティング、面談等を行うことで把握を行っている自治体も多い。 (6) 行政として感じている協力隊制度の理想と現実 市町村の地域おこし協力隊担当部局が感じている制度の理想や現状には、以下のようなものがある。 ① 隊員のこれまで培ったスキルを生かし、地域住民を巻き込んで地域活性化をはかり、地域住民たちだけで継続して繋げることが理想である。 ② 起業への強い意志・目標を持って活動できる協力隊員は任期終了後の定住に結びつく可能性が高いが、その他の協力隊員は就業するしかなく、田舎には企業が少ないため、定住に結びつきにくいという状況がある。 ③ 業務と地域に定住するための活動の線引きが難しい。予算執行も同じで線引きが難しい。 ④ 行政としては任期終了後のことを見据えて、明確なビジョンを持って活動に取り組んでほしいと思うが、実際には少ない。 ⑤ 公務員として採用し、活動すると活動の幅に制限ができる。 ⑥ 協力隊員は自由に活動費を使えると思っているが、国の特別交付税措置での事業で活動費が公金であるが故に、協力隊員の活動経費として認められない部分もあるのが現実である。財政担当課と経費支出面での折衝が多々発生し、認められない場合は担当者と隊員の間で不和が生じる。 ⑦ 地域に定着して何らかの事業により活性化を継続していくことが理想だが、現実は生活していくことで手一杯である。 ⑧ 行政側の受入体制の構築が困難である。 (7) 国に対する要望 財政面については、特別交付税措置ではなく直接補助金(交付金)措置を望むという意見が出されている。また、活動費の使い道について多くの自治体で協力隊員とトラブルになっているため、公金の支出は地域に活かすことができる事業で、市町村の裁量に従う旨を前面に出してもらいたいとの意見が出されている。 制度については、任期の延長と任期終了後の定着の手段について検討を求める声が出されている。また、多くの自治体と協力隊員の間でトラブルになっている事例を検証し、採用する自治体まかせではなく、制度として見直しをお願いしたいとの要望が出ている。 3-2 協力隊員アンケート (1) 協力隊員の年齢、性別等(回答者) |
4. 考 察
今回のアンケート結果を見ると、二つの大きな課題が見えてくる。 |
5. おわりに
地域づくりにおいて、外部からの人材(外の風)の活用というのは、住んでいる人にはわからない地域資源の発掘、活用といった面で、以前より重要なファクターとして位置づけられているが、地域おこし協力隊の制度はそれを政策的に行い、移住、定住まで繋げていこうというものである。 |
<参考文献等> |