【自主レポート】 |
第37回土佐自治研集会 第3分科会 どうする? どうなる? これからの自治体 |
日本は諸外国と比べて労働時間が長いと言われている。長時間労働は過労死のリスクを高め、うつ病などの精神疾患患者の増加といった社会問題の原因となる。政府もプレミアムフライデーの導入や、2016年8月には「働き方改革担当大臣」の設置など労働時間の短縮にむけた体制作り、法整備が進められているところである。松江市役所において「時短」にむけて労使双方が協力して取り組んでいる内容について述べていきたいと思う。 |
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1. 松江市役所における労働環境の推移 下図表のとおり、一人当たり年間勤務時間については減少傾向、一人当たり休暇日数については、増加減少を繰り返しながらも横ばいの状況である。
2. 労働協約と36協定について 松江市職本庁支部では、労働組合(現業部)と市長との間で労働協約を締結している。協約の中では、団体交渉の原則、労働条件の変更があった場合の事前協議の原則、組合活動を行ったことに対する不利益処分の禁止等が謳ってある。この労働協約に則り、組合員の労働条件に係る事案についてはもちろんのこと、様々な行革提案についても、すべて賃金・労働条件等に関わってくることから、労使双方で協議を行い、組合としても市政の発展の一翼を担っている。 3. 総労働時間短縮推進委員会の設置 時間外勤務の短縮、休暇の取得促進を目的として、組合執行部と人事当局とで構成される総労働時間短縮促進委員会を1994年8月から設置している。年に約2回開催しており、年間時間外勤務時間実績、休暇取得日数の報告、年間時間外協定時間の締結を主な議題としている。年間時間外協定時間については、36協定の代替措置として各職場の年間時間外勤務時間を労使双方で定めるものである。労働基準法で定める「時間外労働の限度に関する基準」の限度時間である年間360時間を遵守すること、協定時間によらず可能な限り時短に努めることを確認している。また、月60時間の時間外勤務が発生した場合は、保健師による面談等の措置を行っている。 4. 時間外協議について 協定時間を超える超勤が発生した場合については、労使で協議を行い、対応を図っている。協議から確認に至るまでの流れは以下の通りである。 5. 人員確保・組織機構人員体制の取り組み 総労働時間短縮にむけては、職場環境の改善が必要不可欠である。特に業務量に対する人員数や病休等による欠員対応は労働時間に直結してくる。松江市職本庁支部では、4月1日の組織機構人員体制の変更に併せて、年間スケジュールとして人員確保の取り組みを行っている。 6. おわりに これまでに述べたように、労使双方の努力もあって1人当たりの年間勤務時間数は減少傾向にあるが、依然として超勤時間が多く、休暇が取得しづらい職場があるのが現状である。このような中、当市の春闘結果では、時短推進委員会において今後の具体策を検討することが労使双方の確認書で交わされるなど、時短推進委員会に求められる役割は重大なものとなっている。 |