3. 山形市職労自治研部内での資料収集と検討
山形市職労自治研部では、2015年(平成27年)12月の部会で「中核市」を研究テーマの一つとすることとし、現在まで資料収集と意見交換を重ねてきた。
以下に主要な論点を列記する。
(1) 獣医師
① 保健所には動物・食品衛生等も担うため「公務員獣医師」が必要である。
② 保健所が必要とする専門職は医師・薬剤師・化学技師など様々あり確保が課題であるが、なかでも「獣医師」の確保が困難であることは保健所所管自治体の共通課題である。
③ 獣医学部のある「北里大学」が所在する青森県ですら、「青森県獣医師職員確保プラン」をつくり、大学との連携やはたらきかけ等の取り組みで獣医師を確保しようとしている。
④ 山形県は現在でも定年後の再任用でかろうじて獣医師を確保している現状であり、山形市が中核市移行後に派遣を求めても応じるかどうか見通しが立たない。
⑤ 山形県でも「山形県における獣医療を提供する体制の整備を図るための計画」をつくり、獣医師確保の数値目標を設定し、獣医学部学生へのはたらきかけを行っていくとしている。
⑥ インターネット等で公務員獣医師に係る記述を調べると、獣医師を志す学生の多くがペット等小動物の治療を将来の仕事としてイメージしており、食肉衛生検査・食中毒対応・家畜の疫病対応・ペット関連の指導や苦情処理等を担い、家畜としての動物の扱い、時には動物を殺処分する場合もある「公務員獣医師」の仕事についての認知・理解が不十分との指摘が多く見受けられた。
(2) 連携中枢都市
「連携中枢都市」は2014年(平成26年)8月に制定された国の広域連携推進策で、「中核市」が近隣市町村と「都市圏」を形成しての広域連携に対し国の財政支援を受けられる制度である。
国勢調査の昼間人口/夜間人口の比率が1を超える、つまり通勤通学で日中その市に来る人の方が同市から出て行く人より多い中核市を条件とし、その中核市が「連携中枢都市」を宣言して広域連携に取り組み都市圏を形成する意思表示をし、連携する近隣市町村と連携協約を結ぶ。
「圏域」75万人なら約2億円の財政措置の他、1.2億円程度を基本とする特別交付税(近隣市町村に1市町村あたり年1,500万円上限)。
連携が想定される取り組みも、産学金官民一体としての産業・観光振興関連事業のみならず、医療、公共交通、高等教育、介護福祉、土地利用、災害対応など極めて多岐にわたる。
「中核市」に移行すると自動的に検討しなければならない内容であるが、現在のところどの程度の規模の取り組みで、したがって人員・予算がこの程度という具体的な見込みが全く示されていない。
(当自治研部意見)
(3) 保健所
① 論文「保健所移管をめぐる都道府県と中核市の攻防」(大阪大学 北村亘教授)によると、保健所移管をめぐり、保健所をそれまで担ってきた県とまだ保健所の経験がない中核市移行市には「情報の非対称性」があり、県内に中核市移行を先行したところのある移行市の方が情報を得やすいためか、単独で移行した市より費用が低く済む傾向にあると指摘。
※ この資料を読んだことで、当自治研部は地理的・時期的・規模的に状況が近い市を調べようと考えるようになり、後述する福島市職労との意見交換を行うきっかけになった。
② 「都市問題2016年1月号」記事によると、中核市と人口10万人以上で保健所を設置しない市の領域別業務量を比較したところ、「精神保健」「難病」「衛生教育」の業務量が中核市の方が保健所のない市に比べ数倍~10倍近く大であった。その他保健衛生全般にわたり数十%~2倍程度中核市の方が大きい。
また同記事で、「中核市移行で大きく変化した業務」として、「エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防に関する事項」を挙げた市が回答の半数以上とのことであった。
③ 2009年(平成21年)9月、総務省「地方公共団体における事務の共同処理の改革に関する研究会」で「保健所の共同利用」について議論している。この時期は「平成の大合併」が進み、大規模な市がいくつか誕生して市保健所を設置することになった結果、それまでの県の保健所の所管範囲が虫食い・飛び地になる場合が出た。
同研究会では、県保健所と市保健所で共同利用した方が合理的な面があると考えられる一方、議論として以下の点が挙げられた。
・指揮命令系統が県と市で二重になる恐れ。
・市保健所に移行しても人材を育てるのに10年はかかるので県職員がしばらく残る必要がある。
・保健所の機能は「保健」と「衛生」からなり、分けて考えるべき。「保健」は住民すべてが対象で独自性を発揮しうる領域である一方、「衛生」は特定事業者等に相手が限定され、警察的な業務で裁量・独自性の余地はない。
・保健所の専門職のキャリアパス(ある地位になるまでの職場経験の積み方)だが、県保健所は異動先があるが市保健所は職場が1箇所しかない。
④ (下記(5)市議会で指摘のとおり)山形市保健センターが保健所になるにあたり、建物面積も駐車場面積も不足の懸念がある。
駐車場は現在でも不足がちで、近隣の民間駐車場も同様。近隣のコンサートホール・複合施設である山形テルサに加えて、現在建設中の山形県文化施設ができれば駐車場不足はより深刻化する懸念。
建物についても、保健センターがある「霞城セントラル」ビルはオフィス・飲食店・イベント等で不特定多数が来客する場所であるが、保健所はプライバシーにかかる相談事・疾病を持つ利用者も取り扱い、またバイオハザードに係る細菌・動物等の取り扱いもある。十分な場所を確保できるのか。
(当自治研部の見解)
(4) 児童相談所
「児童相談所」は児童福祉法により、都道府県及び政令市に設置が義務付けで、中核市は「設置できる」とされている。中核市で現在児童相談所を設置しているのは金沢市・横須賀市のみである。
2017年(平成29年)4月の同法の改正で、東京23区も設置できることとされ、中核市と東京23区に関し5年をめどに設置できるよう政府が必要な措置(財政支援・マニュアル作成・研修等)を講じると明記された。
市民・地域とより近い市が担うことで都道府県の児童相談所にない強みを発揮することを期待しての動きであるが、財源及び専門的人材確保に難色を示す市が多く、中核市児童相談所設置の動きは進んでいない。
国のこの動きから予想するに、法律の「設置できる」が「設置しなければならない」に変わろうとするのは、そう遠くないことも考えられる。
児童相談所の設置となると、児童虐待への対応など複雑・多様・緊急な課題を多く抱えることが予想される。
(当自治研部見解)
(5) 市議会
資料の読み込みを進めるうちに、市役所当局の中核市移行資料では当たり前に物事が進むことが前提に書かれており、役所の資料だけでは具体的な課題があまり見えてこないのではないかと感じるようになり、市議会ではどのように取り上げられているかを見てみることにした。
中核市移行が1年早い福島市議会では、
① 保健所になる予定の福島市保健センターでは、建物面積が足りないのではないか。
② 保健所の駐車場も面積が足りないのではないか。(人口規模が似ている明石市(H27国勢調査で
人口293,409人。福島市294,247人)と比較して。)
乳幼児健診など子ども・保護者での来客も多く、遠いところに駐車場を確保しても利用者が大変だ。
③ 中核市移行について議決がないまま、保健所整備や身障者手帳システムなどの予算を計上するのはおかしい。議会は後追い認証機関か。
④ 保健福祉センターを現在利用している団体等(リハビリ等)が、保健所移行で機能が増え、会議室等をこれまでのように利用できなくなる(場所が足りなくなる)のではないか。
⑤ 公立保育所が老朽化している。保健所は建てるが保育所は建てないことでいいのか。
⑥ 中核市移行や連携中枢都市圏を鑑みて企業誘致の取り組みは。
→(当局答弁)現在は具体的な取り組みは行っていない。
⑦ 補正保健所整備工事費2億4,960万円と身障者手帳システムの補正予算に修正動議
(中核市移行の是非の意思表示がまだで、特別委員会が調査中のため)→修正動議否決。
といった具体的な課題が質問に出てきている。
山形市議会では当初、「移行に当たり市の独自性をどう発揮していくか」「こどもの発達相談などの部門設置を検討してはどうか」「連携中枢都市圏をどう進めるか」「専門職確保について県に支援を求めてはどうか」といった、理念や方向性に係る内容にとどまり、時間・お金・人・場所・知識経験などが「間に合うのか」といった具体的な質問は少なかったが、2018年(平成30年)3月定例会では以下のような質問があった。
「獣医師は確保できる見込みなのか。県から協力を得るのか。」
→(当局回答)「採用できた方は県に研修派遣中。当面は県から支援をもらいながら計画的に採用していく。(15人必要なうち5人採用済み)」
「保健所設置にあたり駐車場は不足しないか」
→(当局回答)「霞城セントラル(保健所を設置するビル)と東口交通センター(山形駅前の駐車場)で足りると想定している。」
(6) 移行に要する費用
① 松江市の試算例。2018年(平成30年)4月以降予定で試算。
2015年(平成27年)国勢調査人口は206,230人
2017年度(平成29年度)は約2億円必要。
移行実現後、2018年度(平成30年度)歳入増は10億6,000万円、歳出増は10億4,000万円と試算。
財政課によると、移行で国から受けられる特別交付税は1,000万円。
2017年度(平成29年度)予算案編成では財政調整基金を最大2億円取り崩し。
② 「山形市中核市移行実施方針」での財政影響額は以下のとおり。
2017(平成29)年度の影響額は保健所・動物愛護施設実施設計・公有財産購入等に1億110万円、平成30年度の影響額は施設整備及び移譲事務(執行)準備経費に7億1,926万円、2年分合わせた移行準備経費合計が8億303万円としている。
移行実現後、2019年度(平成31年度)の歳出影響額は9億5,096万円、歳入影響額は10億0,638万円、差し引き5,542万円の歳入影響超過と推計している。
4. 山形市職労の取り組み
2016年(平成28年)4月 職員採用等に関する市労連要求書
中核市移行に伴い業務量が大幅に増加するため、準備段階から十分な人員増を行うことを要求。
2016年(平成28年)10月 秋季確定闘争期市労連要求書
下記3点を要求。いずれも「事前に協議したい」と回答。
・業務量が大幅に増加するため、速やかに計画を明らかにし、準備段階から十分な人員配置を行うこと。
このことについて事前に労使間で十分協議すること。
・移行に伴う職員派遣が必要な場合は職場の体制整備・人員確保すること。派遣に伴う労働条件の確保など事前に十分な協議を行い、合意の上実施すること。
※ 2018年(平成30年)5月現在、行政・薬剤師・保健師・化学技師・獣医師合わせて22人を県に派遣。
・移行に伴い新たな職種を採用する場合は計画的に採用すること。労働条件について事前に労使間で十分協議すること。
2017年(平成29年)2月 当局から特殊勤務手当てに関する情勢一部改正提案
県職員と同様の業務を行う職員に対し手当を支給するため。
2017年(平成29年)3月 中核市移行課題に対する山形市職労・県職連合連絡会議を設置
(以後2~3月に1度開催) →内容は5.
2017年(平成29年)4月 職員研修派遣実施(新規採用者は5月から)
職員採用等に関する市労連要求書
県への研修派遣が必要な場合は専門職含め計画的に採用することを要求。
→(回答)計画的に採用を行っていきたい。
2017年(平成29年)5月 人員確保に関する要求書
(この時点で)委譲事務が確定していないことから、早急に確定させて人員を確保することを要求。→(回答)早急に確定し人員を配置したい。
2017年(平成29年)6月 法定委譲事務・任意委譲事務について市県双方で合意。
市職労と県職連合役員で研修先への訪問オルグを実施。
「移行後円滑に業務を行えるか不安」「経験者の手を借りないと業務を行えない」との研修派遣職員の声多数。
2017年(平成29年)10~11月 賃金ならびに労働条件などに関する市労連(市職労、市立病院、水道)要求書で、中核市移行に伴う人員配置や、獣医師確保等のための初任給調整手当新設(県人事委員会も新設について勧告)を要求。
→(回答)人員は業務量を勘案して配置したい。獣医師確保は大きな課題なので、同手当は県に遅れることがないよう実施したい。
※ 獣医師の初任給調整手当についてはこの後も継続的に交渉し、当初の30,000円から現在45,000円に引き上げられている。
2018年(平成30年)4月 2019年度の職員採用等に関する市労連統一要求書で、来年度に迫った中核市移行において人員不足とならないような人員配置を要求。
→(回答)中核市移行実施方針及び職員定員適正化計画に基づき、業務量に応じた人員を配置したい。
5. 山形市職労・県職連合連絡会議
2017年(平成29年)3月よりおよそ2~3月に1度、市職労・県職連合・地区総支部・組織内市議により行っている。2018年6月現在で計6回開催されている。
これまで、派遣職員職場訪問の実施に向けた協議・実施結果についての意見交換や、中核市移行の進捗状況の確認・意見交換等が主な内容となっている。
以下意見交換・確認事項抜粋
① (現在は移譲事務が確定済)移譲事務の早期確定を当局に求めていく。
② 総合支庁の人員体制については、山形市の人員体制イコール人員減にさせないよう、2次医療圏をカバーできる人員体制となるよう当局に求めていく。
③ 業務に見合った職員配置を当局に求めていく。内陸食肉衛生検査所が山形市に譲渡されることから、特に獣医師の確保が課題。
④ 内陸食肉衛生検査所は市に譲渡されることから、置賜支所の位置づけ、県全体の獣医師の配置、市への獣医師派遣人数の推移について明らかにさせていく。
⑤ 保健所の駐車場不足の解消について当局に求めていく。
山形県と山形市で保健所等業務の研修のための人事交流派遣が行われているが、派遣職員に県職連合・山形市職労合同で職場訪問を行い意見集約。(上記4.記載2017年(平成29年)6月実施)。
以下意見要約。
・(保健所。食肉検査所)1年の研修で他の人に教えたり、ベテランと同じように仕事をするのは困難。スタッフが新人ばかりで機能するのか。
・事務移譲後も軌道に乗るまで県からのフォローが必要だ。
・(保健所)職員駐車場が使えず、自家用車使用の人は近隣の有料駐車場を借りている。
・(保健所)総合支庁だけで完結しない仕事が多いので、県庁の仕事も覚えたい。
・(食肉検査所)市で獣医師の確保数が足りていない。
・(食肉検査所)仮に獣医師が翌年度に一気に採用できても、研修の受け入れ態勢には限りがある。
・新設予定の動物愛護センターのあり方がはっきりしないので心配だ。
・市職員の夏季休暇は最大6日だが、2分割までしかとれなかった。
・(県庁)年度後半から業務マニュアル作成がはじまる。これが定まらないと全体の仕事の量と人員がわからない。八戸市のように人口で人員を決められては困る。移譲後も軌道に乗るまで県の指導が必要。
・県庁と総合支庁の仕事の区別がわかりにくく、総合支庁だけでは完結しない。
・(薬剤師)食品衛生担当だが、仕事量が膨大で、昼食も満足に取れず、昼休みゆっくりできない。
・動物愛護センターについて、天童市のとは立地条件が違い、山形市は住宅地の中・幹線道路沿いにあり、動物の鳴き声などで住民とのトラブルが心配。
・食肉衛生検査業務は獣医学部の学生に人気がない。高校生や中学生から食育として見学に来てもらい、獣医師を志す人が出てくるようにすべきではないか。
6. 福島市職労との意見交換
2017年(平成29年)8月4日(金)午後3時~5時30分、福島市「ラコパ福島」にて、山形市職労4人と福島市職労4人で、中核市移行に係る情報交換会を行った。
(1) 福島市の状況
① 2015年(平成27年)国勢調査人口294,247人
② 中核市移行 2018年(平成30年)4月予定
③ 2016年(平成28年)7月に事務折衝開始。職員採用計画及び、獣医師・薬剤師・農芸化学技師の初任給
格付けについて。
福島市は山形市と異なり市立病院がないため、医療職の給料表がない→行政職給料表を使用し、初任給調整手当や、細菌等の業務の調整額を加える。新規採用の年齢用件も広げる必要。
④ 保健所長は医師でなければならない。当初は福島県から県の保健所から医師を呼ぶ予定だったが、県の保健所ですら欠員が出ている状況のため呼べず、福島市で島根の65歳の医師を確保。
医師自体が不足しているため、一定以上の給与条件でないと確保できない。部長級の4級に調整手当特殊勤務手当(公衆衛生)で調整。
⑤ 福島市保健福祉センターを保健所とし、同センター北側の公用車駐車場に犬猫取り扱いの棟を建てるため、公用車を徒歩10分程度の複数個所の駐車場に分散することになった。
⑥ 中核市移行の数的影響(「福島市中核市移行基本方針 2016年(平成28年)6月」)
財政影響 歳入計944,912千円 歳出計934,988千円 差引9,924千円
新たに必要となる職員数 約72人(うち保健衛生45人)
⑦ 連携中枢都市を進めることも同基本方針に明記されている。
⑧ 福島市保健所整備費に約2億5千万円。国等の財政支援なし。
(2) 情報・意見交換
① 獣医師の確保に大きな懸念。
② 中核市移行には連携中枢都市もついてくるが、必要な人員体制に関する議論が見えてこない。
③ 移行初期は保健所業務など経験のある県職員が必ず必要。
④ 県職労は全国的にも組織率が低くなっており、人事交流や県職員受け入れが進めば、市職労の組織率にも大きな影響を及ぼしかねない。
⑤ 中核市も児童相談所を設置できるように法改正されたが、設置がいつ義務化されるか懸念。
専門的人員体制が必須で、設置は容易でない。
⑥ 連携中枢都市について、必要な人員体制の議論が見えてこない。
⑦ 職場の日常会話等では、中核市について中々話題に上らない。
⑧ 職員数が、いざ中核市移行となった際に本当に足りるのか懸念。
当局は定員適正化計画ありきで進みがちで、現場では不安の声あり。
⑨ 財政的にも、当局が言うように地方交付税の増額で十分に賄われるか不透明。
⑩ 市長の意向で、インバウンドや東京オリンピックホストタウンなどで企画・観光部門に職員数を割かれ、人員不足の一因。
⑪ 円滑な移行のためには、市長と職員のコミュニケーションがとれているかが重要。
⑫ 福島市では今年11月、任期満了に伴う市長選挙が予定されており、結果如何によって今後の進め方も変わってくる。現職が立候補予定の中、福島市職労では連合推薦の前復興局長の候補者を推薦予定。
⑬ 保健所設置に伴う現業現場もあると予想されるが、業務の種類や必要な人員など不透明。
7. 回帰分析による影響の推計(職員数に焦点を当てて)
補足として、筆者である栗村部員が行った回帰分析による試算を掲載する。
山形市が中核市になったら、職員数は何人になるのが妥当なのか。
それまで中核市は人口30万人以上のみであるため、人口20万人台の中核市は未知の領域である。
「人口」はわかるので、
「試算したい値」=「人口で決まる直線の式」
と想定しよう。人口で正比例すると想定している。
中核市の散布図の点になるべくあてはまる(最小2乗法で)直線を引き、その直線を人口20万人台まで延ばして、山形市の場合は職員数がどうなるか試算してみよう。
使用データ 総務省「平成28年地方公共団体定員管理調査結果」(2016年4月1日現在職員数)
このデータの部門別集計では 「総職員数」=「普通会計計」+「公営企業等会計計」に分けられる。
ここでは「普通会計計」の職員数に注目する。組合と当局の交渉で普段イメージする「職員数」に近いと考えたためである。
「公営企業等会計計」は市立病院等を含むため、市立の機関等があるかないか等の実情が地域ごとに多様であり、単純に人口のみで説明できる人数でなくなる恐れがあるため、今回の分析対象から外した。
H28普通会計計職員数=係数×H27国勢調査人口+定数
の式を想定し、最小二乗法により定数と係数を求めた。
計算はExcelのグラフ→散布図の機能で行った。その散布図が図1である。
図の直線(点線)の式に、山形市のH27国勢調査人口をあてはめると
中核市山形市の普通会計計職員数の推計値=0.0048×253,832人+559.68≒1778人
2016年(平成28年)4月1日現在の山形市普通会計計職員数=1,508人
したがって、中核市移行による推計増員数は 1,778-1,508=270人
「山形市中核市移行実施方針」では91人増と計画しているが、本当にこの増員で間に合うのか懸念される。
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