1. はじめに
函館市の人口は1980年の34万5千人をピークに減少し続け、2010年の国勢調査では27万9千人となりました。この要因の一つとして、若年層の転出超過に加え、合計特殊出生率の低下などに伴う出生数の減少、様々な要因による社会減と自然減が同時進行していることが挙げられます。また、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2060年の函館市の人口が11万3千人となるなど、現在の人口の4割程度となることが想定されています。
人口減少は、様々な影響をまちに及ぼすと考えられることから、函館市が人口減少問題とどの様に向き合い、施策を展開していくべきなのか、アンケート調査を実施し、その方策を探るものです。
総人口の推移 |
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2. アンケート調査概要
① 調査期間 2018年5月28日~6月22日
② 配布数 函館市職労組合員(以下、函館市職労) 1,441人
函館市公サ労組合員(以下、函館市公サ労) 254人
連合北海道函館地区連合会加盟組合員(以下、函館地区連合会) 300人
③ 回収数 函館市職労 1,134人
函館市公サ労 169人
函館地区連合会 195人
④ 回収率 函館市職労 78.7%
函館市公サ労 66.5%
函館地区連合会 65.0%
3. アンケート調査結果
(1) 回答者の性別
函館市職労 | | 函館市公サ労 | | 函館地区連合会 |
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男性66.4% 女性32.2% NA1.4% |
男性32.0% 女性68.0% | 男性65.1% 女性34.9% |
※NAは無回答(以下同様) |
(2) 回答者の年代
函館市職労 | | |
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60代 6.8%
50代 26.0%
40代 34.5%
30代 13.9%
20代 17.2%
10代 0.1%
NA 1.5% |
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函館市公サ労 | | |
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60代 19.5%
50代 30.2%
40代 29.0%
30代 19.5%
20代 1.8%
10代 0.0%
NA 0.0% |
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函館地区連合会 | | |
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60代 7.2%
50代 29.2%
40代 24.1%
30代 21.5%
20代 15.4%
10代 2.1%
NA 0.5% |
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(3) 回答者の職業
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医療・福祉業 13.3%
金融・保険業 4.1%
運輸業 14.4%
製造業 11.3%
情報・通信業 3.1%
公務員 32.8%
サービス業 6.7%
建設業 1.5%
農林水産業 0.5%
その他 10.8%
NA 1.5% |
(4) 函館市に住んでいる(いた)年数(Q1 全員)
函館市職労 | | |
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半年以内 0.4%
1年以内 0.4%
3年以内 2.2%
5年以内 3.4%
10年以内 6.7%
15年以内 7.5%
20年以内 11.6%
それ以上 64.9%
住んだことがない 1.3%
NA 1.4% |
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函館市公サ労 | | |
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半年以内 0.0%
1年以内 0.6%
3年以内 1.8%
5年以内 0.6%
10年以内 3.6%
15年以内 9.5%
20年以内 14.2%
それ以上 68.0%
住んだことがない 1.8%
NA 0.0% |
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函館地区連合会 | | |
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半年以内 2.1%
1年以内 2.1%
3年以内 10.3%
5年以内 4.1%
10年以内 10.3%
15年以内 7.2%
20年以内 12.3%
それ以上 48.2%
住んだことがない 3.1%
NA 0.5% |
(5) 函館市の住み心地(Q2 Q1で住んだことがない人・無回答を除く)
函館市職労(母数1,103人) | | |
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満足 11.9%
やや満足 39.7%
どちらともいえない 29.0%
不満 4.9%
やや不満 13.4%
NA 1.1% |
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函館市公サ労(母数166人) | | |
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満足 9.6%
やや満足 41.6%
どちらともいえない 30.7%
不満 4.2%
やや不満 12.0%
NA 1.8% |
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函館地区連合会(母数189人) | | |
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満足 13.2%
やや満足 37.6%
どちらともいえない 29.1%
不満 4.2%
やや不満 12.7%
NA 3.2% |
(6) Q2と回答した理由(Q3 自由記載 主なもの)
(満足・やや満足)
・ちょうど良い気候で都会過ぎないところ。落ち着いて暮らせる。(函館市職労)
・街と自然との距離が近く過ごしやすい。コンパクトで生活に便利。(函館市職労)
・街が大き過ぎず活動しやすい。一通りの施設が整備されている。(函館市職労)
・温暖な気候で食べ物がおいしい。(函館市公サ労)
・自然に恵まれ住み心地が良い。(函館市公サ労)
・交通の便が良い。(函館市公サ労)
・市電やバスでどこでも行ける。(函館地区連合会)
・都会ではないが、デパートやスーパーがあり不便を感じない。(函館地区連合会)
・ちょうど良い街のサイズで、魅力にあふれている。(函館地区連合会)
(不満・やや不満)
・活気がない、保守的、施設が充実していない。(飲食、娯楽)
近郊の都市へのアクセスが不便。(函館市職労)
・公共交通の利便性が悪く、車の利用が不可欠。(函館市職労)
・少子高齢化が進み高齢者への待遇は厚いが、子どもに対する支援が少ない。(函館市職労)
・子育て世代が置きざり、車がないと不便。(函館市公サ労)
・保守的な昔の街。(函館市公サ労)
・娯楽施設や子どもと遊ぶ場所が少ない。(函館市公サ労)
・住環境が悪い。(函館地区連合会)
・税金が高い。行政サービスが悪い。防災体制がはっきりしない。(函館地区連合会)
・交通機関が不便。観光向けの要素が強く住みづらい。(函館地区連合会)
(どちらともいえない)
・地元よりも気候的に住みやすいが、買い物や遊べる施設の面では不便に感じる。(函館市職労)
・自然環境や高齢者施策には概ね満足だが、若者の雇用や子育て施策にはやや不満。(函館市職労)
・都市機能としては最低限度不満は少ないが、現役世代には物足りない。(函館市職労)
・観光にばかり力を入れて市民のことを考えていない。(函館地区連合会)
・市街地が広がり過ぎていて買い物等が不便だが、それなりに生活はしやすい。(函館地区連合会)
(7) 今後も函館市に住み続けたいと思うか(Q4 Q1で住んだことがない人を除く)
函館市職労(母数1,103人) | | |
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住み続けたい 37.3%
やや住み続けたい 26.3%
どちらともいえない 26.3%
住み続けたくない 2.3%
あまり住み続けたくない 6.6%
NA 1.3% |
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函館市公サ労(母数166人) | | |
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住み続けたい 34.3%
やや住み続けたい 25.9%
どちらともいえない 29.5%
住み続けたくない 1.2%
あまり住み続けたくない 7.2%
NA 1.8% |
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函館地区連合会(母数189人) | | |
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住み続けたい 35.4%
やや住み続けたい 24.3%
どちらともいえない 23.8%
住み続けたくない 5.3%
あまり住み続けたくない 9.0%
NA 2.1% |
(8) 「住み続けたい」「やや住み続けたい」と思う理由(Q5 回答2つまで)
函館市職労(母数701人) | | |
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(上位3つ)
①住み慣れている 59.3%
②購入した持ち家がある 50.5%
③自然環境が良い 26.5% |
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函館市公サ労(母数100人) | | |
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(上位3つ)
①住み慣れている 68.0%
②購入した持ち家がある 46.0%
③自然環境が良い 28.0% |
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函館地区連合会(母数113人) | | |
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(上位3つ)
①購入した持ち家がある 54.9%
②住み慣れている 54.0%
③自然環境が良い 28.3% |
(9) 「住み続けたくない」「あまり住み続けたくない」と思う理由(Q6 回答2つまで)
函館市職労(母数98人) | | |
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(上位3つ)
①魅力を感じない 66.3%
②飲食店・娯楽施設などが不足 43.9%
③高齢になってからの暮らしが不安 38.8% |
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函館市公サ労(母数14人) | | |
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(上位3つ)
①行政サービスが悪い 57.1%
②魅力を感じない 50.0%
③高齢になってからの暮らしが不安 28.6%
③医療施設が不足 28.6% |
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函館地区連合会(母数27人) | | |
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(上位3つ)
①魅力を感じない 55.6%
②飲食店・娯楽施設などが不足 40.7%
③高齢になってからの暮らしが不安 22.2%
③行政サービスが悪い 22.2% |
(10) 函館市で生涯にわたり住み続けるためになにが必要か(Q7 全員 回答2つまで)
函館市職労 | | |
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(上位3つ)
①就労機会の充実 37.1%
②医療・福祉サービスの充実 35.8%
③道路・交通機関の維持整備 33.2% |
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函館市公サ労 | | |
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(上位3つ)
①医療・福祉サービスの充実 50.9%
②就労機会の充実 44.4%
③道路・交通機関の維持整備 26.6% |
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函館地区連合会 | | |
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(上位3つ)
①医療・福祉サービスの充実 46.3%
②道路・交通機関の維持整備 37.3%
③就労機会の充実 36.7% |
(11) 函館市の人口問題における最も重要な課題(Q8 全員)
函館市職労 | | 函館市公サ労 | | 函館地区連合会 |
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①若年層の流出 59.3% | ①若年層の流出 60.4% | ①若年層の流出 50.8% |
(12) 函館市の人口減少をどのように感じるか(Q9 全員)
函館市職労 | | 函館市公サ労 | | 函館地区連合会 |
| | |
①不安 49.7%
②やや不安 33.1% |
①不安 47.9%
②やや不安 30.8% |
①不安 42.6%
②やや不安 34.9% |
(13) どのような不安を感じているか(Q10 Q9で「不安」「やや不安」と回答した人 回答2つまで)
函館市職労(母数939人) | | |
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(上位3つ)
①地域の賑わいや活力の喪失 42.2%
②税収の減少や財政悪化 39.2%
③地域産業の衰退 33.3% |
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函館市公サ労(母数133人) | | |
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(上位3つ)
①税収の減少や財政悪化 45.9%
②地域の賑わいや活力の喪失 39.1%
③地域産業の衰退 38.3% |
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函館地区連合会(母数151人) | | |
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(上位3つ)
①地域の賑わいや活力の喪失 47.0%
②地域産業の衰退 39.7%
③税収の減少や財政悪化 35.1% |
(14) 不安がない理由(Q11 自由記載 Q9で「不安がない」と回答した人)
・人口減少は仕方がない問題だと感じていて、若い世代や一度函館を出た人に戻りたいと思ってもらう努力をすれば良いと考えているから。(函館市職労)
・どこの自治体もたどる道だから。むしろ減った後どうするかを今から考えていくべき。(函館市職労)
・転入・転出より自然減が主な原因となっているだけで、自然の摂理と思っているから。(函館市職労)
・行政面積と資源の量がマッチしている。(函館市公サ労)
・問題にその都度対処していくしかない。(函館地区連合会)
・もっと人口が減少している街がある。(函館地区連合会)
(15) 少子化対策として特に重要(効果的)と思う施策(Q12 全員 回答2つまで)
函館市職労 |
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(上位3つ)
①若者の就労支援 49.4%
②子育て世帯への経済的支援 38.1%
③保育施設や保育サービスの充実・多様化 22.8% |
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函館市公サ労 |
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(上位3つ)
①若者の就労支援 40.8%
②子育て世帯への経済的支援 40.2%
③保育施設や保育サービスの充実・多様化 24.3% |
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函館地区連合会 |
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(上位3つ)
①子育て世帯への経済的支援 49.7%
②若者の就労支援 38.4%
③保育施設や保育サービスの充実・多様化 32.2% |
(16) 若年層人口の流出に対し特に重要(効果的)と思う施策(Q13 全員 回答2つまで)
函館市職労 | | |
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(上位3つ)
①企業誘致の推進 55.9%
②地元企業への雇用促進 32.6%
③地場産業の振興 22.7% |
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函館市公サ労 | | |
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(上位3つ)
①企業誘致の推進 53.8%
②地元企業への雇用促進 34.9%
③魅力ある地域づくり 23.1% |
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函館地区連合会 | | |
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(上位3つ)
①企業誘致の推進 42.4%
②地元企業への雇用促進 41.2%
③魅力ある地域づくり 30.5% |
(17) 高校や大学の卒業生が函館から転出する理由(Q14 全員 回答2つまで)
函館市職労 | | |
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(上位3つ)
①魅力的な就職先がない 84.0%
②魅力的な進学先がない 49.4%
③都会へのあこがれ 19.2% |
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函館市公サ労 | | |
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(上位3つ)
①魅力的な就職先がない 84.6%
②魅力的な進学先がない 50.9%
③都会へのあこがれ 18.9% |
|
函館地区連合会 | | |
|
(上位3つ)
①魅力的な就職先がない 85.9%
②魅力的な進学先がない 48.6%
③都会へのあこがれ 22.0% |
(18) 人口減少に一定の歯止めをかけるため函館市が力を入れるべき施策(Q15 全員 回答2つまで)
函館市職労 | | |
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(上位3つ)
①企業誘致 53.8%
②子育て支援の充実 29.6%
③商業・サービス業の振興 22.6% |
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函館市公サ労 | | |
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(上位3つ)
①企業誘致 42.0%
②子育て支援の充実 33.1%
③医療・福祉の充実 28.4% |
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函館地区連合会 | | |
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(上位3つ)
①企業誘致 41.8%
②子育て支援の充実 40.7%
③移住・定住対策 25.4% |
(19) 函館市の人口が減り続けている理由(Q16 自由記載 主なもの)
・各種税率の引き下げ等周辺市町村を下回る税率の導入。地価等は周辺市町村の方が安いのだから、流出するのは家計のためにも当然と思う。
・ITに関係した大学があるのに市内での就職情報が少ないように感じる。また、観光地以外の娯楽、レジャーが少ない。車がないと遊びに行けない不便さがある。(函館市職労)
・函館市は観光客のためにあるのではない。市民はないがしろになっている。(函館市職労)
・未婚率、晩婚率の上昇。結婚、出産、育児に見合った収入が得られないこと。(函館市職労)
・あたかも流出元の自治体の政策展開が不十分であるかのような見方が長らく続いている。そうではなく吸収している大都市の側に焦点をあて、国策として人口の分散を図る必要がある。地方都市の政策展開では大都市の人口吸収力にかなうはずがない。無駄な地方都市への財政支援は何も効果は生まない。大都市対策をすべき。(函館市職労)
・他から転入してまで働きたい企業を誘致しなければUターンする若者は増えない。(函館市職労)
・働く場所がない。一番の大手が市役所という現状。(函館市職労)
・進学先、企業等が少ないのに加え、商業・サービス等も不足している。空港や新幹線等の外部インフラがある函館は、そこをすべからく活用できていない。(函館市職労)
・若い世代は就職のために都会へまたは安い住宅費を求めて郊外へ転出する。高齢者は充実した医療福祉サービスを求めて転入する。高齢化が進み若い世代が減少するのは必然。(函館市職労)
・この50年間対策をしなかった結果である。(函館市公サ労)
・観光ばかりに力を入れすぎで、市民が置き去り。(函館市公サ労)
・進学・就職で流出、地元に帰るきっかけがない。(函館市公サ労)
・子育て支援の不足と住環境低下による近隣地への流出。(函館地区連合会)
・学べる環境が少なく若者が減る。社会人にとっては不便さを感じる。(函館地区連合会)
・教育機関が多くあるのに、それに見合う就職先が少ない。(函館地区連合会)
・ガラパゴス化した都市だと感じる。独特さの中に生活に便利な要素があれば減少しない。(函館地区連合会)
(20) 人口減少対策として行政がなにをすべきか(なにを求めるか)(Q17 自由記載 主なもの)
・道として関東、関西圏に対抗できる魅力づくりを道内中枢都市と連携してすべき。道の方向性がきちんと示されなければ大きな力は生まれないし、インパクトがない。(函館市職労)
・限られたリソースを効率的に活用する。色々な行政サービスを中心市街地に集約する。(函館市職労)
・企業誘致を積極的に行い雇用の場を拡充。陸・海・空の交通機関が充実しているのに新規企業進出が少ないのは問題。可能な限り税制の優遇措置を行うなど大胆に対策を展開すべき。(函館市職労)
・地方都市が人口減少を止めるのはおそらく不可能。人口が減少しても富の生産を維持する方法を模索するべき(能力の無い10人を失っても1億稼ぐ1人をコミュニティ内に捉えられればいい)(函館市職労)
・無駄な土地を整理し、大規模な商業施設を中心街へ税制等で誘導。(函館市職労)
・文化・スポーツの施設などを充実させる。(函館市公サ労)
・雇用促進、子育て世代への経済的支援。(函館市公サ労)
・人口減少は仕方ない。とにかくコンパクトシティ化を進めるべき。(函館地区連合会)
・魅力ある企業を生み出すような思い切った起業支援。賃金の安い介護やホテルの求人は増えているが好待遇の求人が少ない。(函館地区連合会)
・医療・福祉の街として就職場所の確保・受け入れ。(函館地区連合会)
・観光にいらないお金をかけすぎている。(函館地区連合会)
・ふるさと納税のように各団体で奪い合うようなことはやめるべき。(函館地区連合会)
(21) 人口問題・まちづくり等への意見・提言(自由記載 主なもの)
・北海道観光は世界的に魅力あるものと評価を受けている。人口減の解消は難しい中、人を呼び込む政策をもっと打ち出すべきと考える。保守性を打開し開放心をもっと啓発するべきと考える。(函館市職労)
・大都市と地方都市の競争において、地方都市間の競争が行われることで国全体の力の維持が成し得る。国としてまずは大都市の人口流入をいち早く止める手立てを実行すべき。(函館市職労)
・人口は単純に数が多ければ良いものではなく、年齢別の内訳数が最も重要。若年層に対しいかに住みやすくいかに手厚い施策を行うかで今後の未来はどうにでもなり得る。高齢化対策は必要だとは思うがまずは若年層優先で考えるべき。(函館市職労)
・物流が恵まれているのに新規の企業進出が少ないのは進出をためらわせるだけの理由が函館市の施策にあるとしか考えられない。法人税や固定資産税を大幅に減免するなど。(函館市職労)
・歴史の保存にとらわれすぎて市民の生活よりも観光に力を入れているように感じる。(函館市職労)
・受け身の観光地から積極的な観光産業への転換。(函館市公サ労)
・公共交通網の見直し。駅前・本町が優先されすぎ。(函館市公サ労)
・観光地として有名で知名度はあるが教育にお金をかけていない。(函館地区連合会)
・観光の街づくりがメインとなっている。地元民としては住みにくくなっている。(函館地区連合会)
・行政サービスが他の市町村に比べて悪い。教育予算が少ない。教育にもっとお金をかけるべき。(函館地区連合会)
4. まとめ
函館市の人口問題における最も重要な課題の設問(Q8)に対し、いずれも5割~6割が「若年層の流出」を選択し、人口減少をどのように感じるかとの設問(Q9)では、いずれも7割~8割が「不安」「やや不安」を選択した。不安の内容に関する設問(Q10)では、「地域の賑わいや活力の喪失」「税収の減少や財政悪化」「地域産業の衰退」が上位を占めた。
一方で、「不安がない」との回答も少数(1割未満)あり、その理由(Q11自由記載)として、「どこの自治体もたどる道」「自然減が主な原因で自然の摂理」「問題にその都度対処していくしかない」との回答があった。
人口減少に一定の歯止めをかけるため函館市が力を入れるべき施策の設問(Q15)に対しては、いずれも「企業誘致」「子育て支援の充実」が上位2つを占め、3つめに、函館市職労で「商業・サービス業の振興」、函館市公サ労では「医療・福祉の充実」、函館地区連合会では「移住・定住対策」が入った。
函館市の人口が減少し続けている理由の設問(Q16自由記載)では、「観光ばかりに力を入れすぎて市民が置き去り」「高等教育機関が多数あるのに、それに見合った就職先が少ない」「子育て支援策の不足と住環境(家賃・土地代など)の悪化による近隣地への流出」のほか、「この50年間対策をしなかった結果」との厳しい回答もあった。
人口減少対策として行政に求めるものの設問(Q17自由記載)では、「限られたリソースを効果的に活用し、様々な行政サービスを中心市街地に集約する」「企業誘致を積極的に行い雇用の場を拡充」「新規企業の進出のため、可能な限り税制の優遇措置」のほか、「北海道が問題に対して方向性を示し、道内主要都市と連携して取り組むべき」「人口が流入している大都市に焦点をあて、国策として人口の分散を図る必要がある」など、国や北海道が取り組むべき課題との回答もあった。
函館市は、人口減少が進行し続ける中でも「活気と賑わいにあふれる函館」をめざし、①交流人口の拡大、②若者をはじめとする雇用の場の確保、③安心して子どもを産み育てることができる環境の整備、④高齢者をはじめとする市民が安全で安心して暮らすことができるまちづくりなどを視点とする「函館市人口ビジョン」を2015年10月に策定している(計画期間:2015年~2019年)。
施策の取り組みの視点については、市民アンケートやまち・ひと・しごと創生会議での議論を踏まえたものであり、異論はないが、一方で、民間会社が行う地域ブランド調査でこれまで1位を4回獲得しているものの、別会社が行った中核市の市民幸福度ランキング(47中核市を対象)では、2016年に最下位、さらに2018年にも45位と低迷している事実にも注目が必要だと考える(特に健康分野と仕事分野が下位)。
このことは、本アンケート調査で「観光地としてのホスピタリティーの向上を求めるあまり、市民サービスがいきわたっていない」「函館市は観光客のためにあるのではない。市民がないがしろになっている」との回答にも現れており、「観光地・函館」として施策の優先度・財政的配分など行政運営のバランスが求められる部分かもしれない。
これらの課題に対し、職員組合として市政運営へ積極的に関わるとともに、単組としての独自運動を継続して展開していく必要がある。このためには、「人口減少社会への対応」を長期的・継続的な研究テーマとして位置づけ、今後は、地域住民の認識や真に望んでいる施策なども確認する必要があることから、引き続き、当自治研推進委員会を中心に取り組みを進めていく。
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