【自主レポート】 |
第37回土佐自治研集会 第7分科会 すべての人が共に暮らす社会づくり |
公共図書館で働く視覚障害者には、さまざまな課題があります。京都府立図書館に、視覚障害者として勤務する仁科は、視覚障害者が図書館を利用しやすいサービスの充実を図るとともに、図書館で働く視覚障害者を支援する活動に取り組んでいます。しかし、地方財政の悪化や、指定管理者制度の導入によって、定年退職者の補充がされない図書館もあり、視覚障害者も「共に暮らせる社会」へ課題の整理と提言をしています。 |
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1. 全国の公共図書館で働いている視覚障害職員数
【2017年11月、公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会)調べ】(※1)
・全盲の視覚障害者が7割を占めており、また、弱視者の中にも点字と墨字を併用している人がいるなど、図書館が重度の視覚障害者に適した職場であることを示している。 |
2. 公共図書館での視覚障害職員の担当業務の例(※1)
・障害者サービス用資料の制作に係るコーディネート |
3. 視覚障害者が公共図書館で働く意義
公共図書館の障害者サービスは、点字・録音図書の貸出、対面朗読など視覚障害者向けのサービスを基礎として発展してきた。 |
4. 公共図書館での視覚障害者雇用の歴史
これまで、40年以上にわたり、30人を超える視覚障害者が、各地の公共図書館で働き、障害者サービスの分野で大きな役割を果たしてきた。 |
5. 今後の課題
・1980年代中頃までに採用された視覚障害職員が定年退職を迎え、後任の視覚障害者が補充されていない図書館が見られる。また、現在、障害者サービスの分野で中心的な役割を担っている視覚障害職員の中には、今後10年余りで定年を迎える人が少なくない。一方で、地方財政の悪化による図書館への指定管理者の導入などの影響もあり、90年代後半以降、司書採用される視覚障害者数は減少している。これまで積み重ねられてきた実績を引き続き発展させていくためには、図書館への就職を希望する視覚障害者の掘り起こしと雇用に繋げるための取り組みが、喫緊の課題になっている。 |
【参考資料】
※2 障害を理由としたあらゆる差別(合理的配慮の否定を含む)の禁止などを内容とした条例。2006年12月の国連総会で採択。日本は2014年1月に批准。 |