1. はじめに 性の多様性とは?
性的マイノリティについて語る際に、近年では「LGBT」だけでなく、性の4要素も語られることが多くなった。表1 (*1)のように、それぞれの要素は性的マイノリティだけではなく、すべての人が持っているものである。その中の性的指向と性自認の英語表記の頭文字を取って「SOGI」という言葉が、国連などの国際機関や、自治体における条例等で用いられている。
LGBTとは、性的指向及び性自認においてマイノリティである人々を指す。マイノリティだけが性の多様性の当事者ではなく、マジョリティとされる「シスジェンダーかつヘテロセクシュアル」も性のあり方の一つである。すべての人が多様な性の当事者で、皆が一人ひとり異なる自分の性を生きている。このレポートにおけるLGBTは、SOGIにおけるマイノリティの総称として用いる。
表1 林夏生富山大学人文学部准教授『2018はたらくダイバーシティフォーラム
IN FUKUI』資料より抜粋 |
「性の4要素」とは? |
①からだの性 生物学的な性、性的特徴 Sexual Characteristics
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②こころの性 性自認、性同一性 Gender Identity
GI |
③好きになる性 性的指向 Sexual Orientation
SO |
④表現する性 性表現 Gender Expression
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外性器、内性器、性腺、染色体の状態や、性ホルモンのレベルなどから定められる。 |
自分自身の性別をどう認識しているか。 「男女両方」「いずれでもない」場合もある。 |
恋愛・性愛の対象となる性。 「恋愛感情・性愛がどの性にも向かわない」場合もある。 |
服装、言葉遣い、しぐさなどに、どのような性らしさが含まれるのか。 |
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「LGBTQ」だけでなく、「すべての人」が、それぞれのセクシュアリティの当事者。 |
性的指向に注目 | レズビアン Lesbian |
女性同性愛者②こころの性・③好きになる性が女性。 |
ゲイ Gay | 男性同性愛者。②こころの性・③好きになる性が男性。 |
バイセクシュアル Bisexual | 両性愛者。③好きになる性が男性の場合も女性の場合もある。あるいは、相手の性別が重要ではない人。 |
ヘテロセクシュアル Heterosexual | 異性愛者。②こころの性と③好きになる性が異なる。 |
性自認に注目 | トランスジェンダー Transgender | 生まれたときの①からだの性をもとに割り当てられた性別と自分が生きようとする②こころの性が異なる。 |
シスジェンダー Cis-gender | 生まれたときの①からだの性をもとに割り当てられた性別と自分が生きようとする②こころの性が同じ。 |
クエスチョニング Questioning |
自分の性のあり方が、自分でもよくわからない、決めたくない。 |
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2. 越前市での取り組み
ここでは、2016年の宮城自治研でのレポート「東京でもない大阪でもない地方でのLGBT―越前市でのLGBTの取り組みとこれから―」以降の取り組みについて報告する。
(1) NPO法人丹南市民自治研究センター(丹南自治研)での取り組み
丹南自治研では、ALLY(支援者・理解者)の見える化のためにLGBTのシンボルであるレインボーフラッグの形のピンバッジを作成していたが、より深く理解してもらうために、2016年10月に多様な性に関する啓発リーフレット(図1)を作成した。越前市役所や越前市男女共同参画センター、福井県人権センターなどへの設置や、丹南自治研の講演会などで参加者に配付をしている。
また、越前市の環境イベントであるアースデイえちぜんには多様な性に関する展示を2016年から毎年出展している。2017年の出展では、パネルとIDAHOに寄せられたメッセージの展示を行った(図2)。パネルは、大阪市淀川区が作成したLGBTが抱える社会問題をまとめたパネルを展示。このパネルは淀川区LGBT支援事業ホームページからダウンロードすることができる。IDAHOとは、5月17日の「LGBT嫌悪に反対する国際デー」のことで国際的に知られている記念日である。日本では「多様な性にYESの日」として全国各地で啓発アクションが行われており、やっぱ愛ダホ! idaho-net.が全国から集めたメッセージを展示した。アースデイえちぜんには親子連れの参加が多く、親子一緒に展示を見てくださる方もいた。
2017年8月には、連合福井丹南地域協議会主催の丹南地区いきいき夏祭りにて、大阪市淀川区が作成したLGBTが抱える社会問題をまとめたパネルを展示した。
2017年12月の丹南自治研の総会では青森県からRC-NET(レイプクライシスネットワーク)の岡田実穂代表をお招きし、「性暴力サバイバーの声を、聴ける社会へ」と題し講演いただいた。男性やLGBTの被害についても語られ、性別にかかわらず誰もが被害者になることを知った。また、「#me too」運動でセクハラや性暴力被害などについて声をあげ始めた人たちへの二次被害が起こっている現状には、被害者に声をあげようと言う前に、被害を訴えた人を守る法制度が必要であることを学んだ。福井県における性暴力のワンストップセンターである「性暴力救済センター・ふくい ひなぎく」からも参加があり、参加者にひなぎくのリーフレットを配布し、センターの周知を図った。
(2) 越前市職員組合(越前市職)での取り組み
2017年3月には、越前市職自治研推進委員会主催の「LGBTのこと、そして人権へ~誰もが働きやすい社会へ~」と題し、自身が同性愛者である南和行弁護士を大阪市からお招きした。組合員や自治労丹南連絡会の仲間約110人が参加し、南弁護士のお話や、行政の取り組みについてお聞きした。
2017年3月には、連合主催の2017春季生活闘争・3・8国際女性デー統一行動中央集会にて、「LGBTとSOGIについて」、「越前市における性の多様性に関する取り組みについて」、「今すぐできること」の報告を行った。連合では性的指向及び性自認(SOGI)に関する差別禁止に向けた取り組みガイドラインを2017年11月に作成している。先進的な取り組み事例として越前市職員組合の取り組みが掲載されている。
2018年4月には、越前市職の慶弔規定を改正し、同性同士がパートナーシップを結んだ場合にも、結婚祝い金や死亡弔慰金を支給できるようになった。これまでは明確に規定されていなかったものを明文化することで、多様な性的指向・性自認に対応した環境整備を行った。パートナーシップを結んだことをどう証明するか、ということに関しては、異性同士の婚姻の場合、申し出のみで結婚祝い金を出しているので、それと同様に、申し出のみで良いということになっている。
2017年6月には、PSI-JC(国際公務労連加盟組合日本協議会)の男女平等セミナーでは、LGBTQIをテーマにセミナーが開かれた。その中で、越前市の取り組みの報告を行った。その他、全消協ユース部、アムネスティインターナショナル日本の取り組み報告があった。このセミナーをきっかけに、PSI-JCユースネットワークは、ALLY(LGBTの理解者/支援者)を表明できるレインボーのキーホルダーを作成している。2018年6月の男女平等セミナーでは全国から組合員が集まり、ハラスメント防止について討論したり、LGBTの仲間の為に労働組合は何ができるかなど話し合ったりした。ハラスメント防止のためには、何がハラスメントなのか、ケーススタディを交えながら管理職と一般職それぞれにハラスメント研修を実施することで、初めて自分がハラスメントをしていた/受けていたと気づくこともあり、皆が共通認識を持ちハラスメントを受けている人を孤立させないことが大事だと感じた。労働組合はセーフティネットにならなければならない。また、同性パートナーも結婚休暇の対象とするなど制度を変えるよう組合活動の点検をすることも大事だという意見も出た。
越前市職では、2017年の春闘から、人権の尊重と多様性を認める職場づくりを進めるため、多様な性的指向・性自認への理解を深めるための必要な対策を講じるように要求している。同様に、自治労福井県本部では、2018年3月の定期大会で、連合作成の「性的指向及び性自認に関する差別禁止に向けた取り組みガイドライン」を活用し、多様な性に関する理解を深め職場環境改善に取り組むと、方針を示している。そして、自治労の2018年から2019年度の運動方針の中で、人権を守る連帯活動の取り組みのなかで、性的指向および性自認に関わらず、すべての人の人権が尊重され個性と能力が発揮される社会をめざして、差別の禁止に取り組むと示されている。
(3) 越前市役所での取り組み
2017年度の採用試験から、トランスジェンダーへの配慮として採用試験の申込書の性別欄を削除した。当時の行政管理課の川﨑規生課長は、「人物本位の採用をしているので、男女の記入は実務上も必要が無い。他の自治体でもできると思うし、民間にも広がってほしい」と話している(*2)。削除をして良いのか、という声もあったが、福井県内では敦賀市が続いた。この取り組みは先進的と言われることもあるが、毎日新聞が47都道府県と県庁所在地・政令指定都市に行った調査(*3)によると、一番早いところで愛媛県では1978年度から性別欄を設けていない。40年も前のことである。性別欄の削除なんて聞いたことがないから、できないだろうと思い込んでいる自治体が多いのかもしれない。性別の記入に苦痛を感じたことがなければ気づかないかもしれないが、採用試験の性別欄に関わらず、様々な場面で性別を記入したり選んだりする場面がある。行政文書から性別欄を削除する動きは全国であるが、取り組んでいるところはとっくの昔に削除し、議論のないところはいまだに残っている。印鑑登録証明書について言えば、北陸3県では、富山県は4市のみ性別欄を廃止し、石川県は2018年2月から宝達志水町のみが削除、福井県は廃止した自治体は無い。全国では200もの自治体が廃止している(*4)。
2018年4月からは、越前市職と同様に、市職員が加入する越前市職員共済会においても結婚祝い金等の支給対象に同性パートナーを含める改正を行った。「世界的に同性パートナーが認知される中、越前市も性の多様性を認め合い、差別のない公正な職場づくりを目指す」(*5)と川﨑行政管理課長は話している。2017年4月からは、人権推進室が設置され、LGBTを含む人権に係る施策の推進が図られることを期待する。
2017年10月に開催された「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウム2017越前では、分科会の中で「セクシュアルマイノリティをめぐる学校教育と支援」というテーマでLGBTの子ども・若者支援等を主なテーマとして取り組んでいる遠藤まめた氏が報告した。トランスジェンダーの子どもの困りごとは、制服や髪型、その他男女わけする場面などがあるが、LGBTの子どもたちの共通する困りごととして、自分のことが分からない、将来が描けない、学校や家庭に居場所がない、友達や家族に本当のことが言えないということがある。また、もしLGBTの子どもが10人いるならば、4人は誰にも言えず、誰かにカミングアウトできた6人のうち4人は同級生をカミングアウトの相手に選び教師に打ち明けるのは1人にも満たない。LGBTらしき子どもがいるから、または打ち明けられたからその子どもの対応をするというのでは不十分である。打ち明けられない子どもがいて、打ち明けたとしても同級生。遠藤まめた氏は、大人(教師)ができることとして、学ぶこと、研修の機会を持つこと、肯定的なメッセージを出すこと、図書館や保健室にLGBTの本やポスターを置くことは今すぐできると述べている。
(4) 越前市以外では
越前市における取り組みは、着実に進んでいるように思う。しかし、福井県内や北陸地方を見渡すと、取り組みが広がっているとは言い難い。越前市だけで取り組みが進んでも、周りも共に変わっていかないと意味が無い。今後は周りをどう巻き込むか、そして他の先進事例をどう越前市に反映させていくかを考えなければいけないと感じる。
3. 北陸地方での支援団体の動き
2018年3月に福井県(ELLY福井、Lien Projet)、富山県(レインボーハート富山、ダイバーシティラウンジ富山)、石川県(レインボー金沢)と新潟県(love 1 peace)(ページ下部にリンクを掲載)のLGBT支援団体が集い、LGBT支援北陸地方団体会議が開催された。それぞれの団体で、自治体と協働した啓発事業の実施、教職員研修の実施、教職員向けパンフレットや啓発ポスターの作成など多岐にわたる活動をしている。福井県の支援団体であるELLY福井は、大学祭や男女共同参画月間記念行事のふくいきらめきフェスティバルで啓発やワークショップを行っている。また、2017年10月の衆議院議員選挙の際には、県内の選挙管理委員会に投票関係書類の性別欄の有無の把握のための質問と、性別欄の削除やプライバシー配慮の要望を行っている。行政が支援団体と連携して施策に取り組むことで、施策がより強固なものになるだろう。
4. 全国の自治体での取り組み
2015年11月に渋谷区と世田谷区で始まった自治体での同性パートナーシップ制度は、現在は8自治体に増えた。中野区では8月から、さいたま市では2019年度から導入が決定している。導入を検討している自治体は、7自治体である。虹色ダイバーシティの調べによると、2018年7月31日までに215組のカップルが制度を利用した。2018年6月には、主に首都圏の27自治体に住むLGBT当事者らが議会へパートナーシップ制度を求め一斉陳情・請願を提出し、これまでに15市区町で採択されている(*6)。
言うまでもないが、自治体の取り組みはパートナーシップ制度だけではない。石川大我豊島区議の調査(*7)によると、LGBT施策の最多は神奈川県横須賀市で30施策を実施している。これは、条例や計画、指針等に「性自認」「性的指向」に直接関連する言葉が入っている178自治体にアンケートを実施して分かったものである。当事者(団体)や支援者(団体)と行政とのつながりの有無により実施施策数の違いがあるかを調べたところ、平均施策数はつながりのあるグループは12.7施策、ないグループは5.2施策であった。連携があるグループの77%が、団体との連携が施策実施に役立ったと答えている。最近では、LGBT支援団体は増えており、全国どの地域でも活動しているようになってきた。団体と連携をとりニーズを聞きながら、施策を進めることが望ましいと感じる。また、表2にあるように実施施策順位で上位の施策はどの自治体でも取り組みやすいということでもあるので、まだ取り組んでいない自治体は実施を検討していただきたい。3や10の学校における取り組みは、正しい情報にアクセスしにくく、孤立しやすい子どもたちに必要な施策である。LGBTであるという理由だけでなく、男らしさ、女らしさのジェンダー規範から外れた場合でもいじめはおきる。先生や学校側から理解している姿勢を示し、男らしく、女らしくではなく、自分らしくありのままでいて良いと伝え、すべての子どもにとって学校や教室が安全な場所になる必要がある。
表2 石川大我(2018)『自治体におけるLGBT施策の促進要因と阻害要因の研究』 早稲田大学公共経営大学院プロジェクトペーパーより抜粋 |
実施施策順位 |
順位 | 施策内容 | 実施自治体数 |
1 | 一般市民向け講演会・映画上映会等を実施 | 84 |
2 | 職員向け研修会を実施 | 76 |
3 | 教員向け研修会の実施 | 76 |
4 | 関連施策(人権、男女共同参画、自殺対策)の冊子などに置いて、性自認や性的指向に関して扱っている。 | 46 |
5 | 当事者(団体)や支援者(団体)と必要に応じて連絡を取り合っている。 | 45 |
6 | LGBTに関連する書籍コーナーを設けている | 37 |
7 | LGBTに関するテーマも受け付ける電話相談の実施 | 37 |
8 | 当事者(団体)や支援者(団体)の行うイベントとの共催・後援などを行っている。 | 34 |
9 | 自治体関連施設(庁舎・保健所など)での啓発ポスター等の掲示をしている | 30 |
10 | 保健室・図書館等でのLGBT情報の提供などの取り組み | 30 |
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2017年6月には、LGBT当事者と支援者の地方議員で作る「LGBT自治体議員連盟」が発足。第一回目の勉強会には100人を超える参加があった。2018年8月には、大阪市で3回目の研修が開催された。大阪の研修会には、議員向けの研修会だが、自治体職員として参加させていただいた。大阪研修のプログラムは、自治体のLGBT施策について先進自治体である大阪市、大阪市淀川区、宝塚市での取り組みの説明、宝塚大学看護学部日高康晴教授によるLGBTの健康課題について(*8)、コミュニティセンターの訪問などの内容であった。自治体の報告は、どの自治体もLGBTをめぐる課題は人権問題であるという認識を持っており、一度施策を講じて終わりではなく、継続して取り組み、そして何が必要か、何に困っているのかを常に考える姿勢であった。日高教授の研究データの報告、そして、当事者の声を聞き、取り組みの必要性、重要性を知ることができた。LGBTをめぐる課題に取り組む議員が増え、地方における施策も参加した議員によって進んでほしい。
5. おわりに
(1) 人権問題として
自治体がなぜLGBT支援に取り組むのか。その理由は人権問題だからである。LGBTが不平等な立場に置かれているが、そのことに気付かない人が多くいる。公の立場の議員が差別発言をしても、差別だと思わない人もいる。1964年まで存在したアメリカのジム・クロウ法では、州によって内容は違えど、白人と黒人は結婚できず、学校、病院、バスの座席に至るまで肌の色により分けられていた。これらは今ではありえないことで明らかに差別だが、当時はそれが当たり前であった。差別をしている側は差別をしているとは気づかない。日本におけるLGBTも同じ状況のように思う。同性同士では結婚ができない。それに付随して様々な制度が利用できない。「同性同士だからできなくて当然」「同性婚を求めるのは主張しすぎである」「LGBTに特権を与えるな」と見当違いなことをいう人たちがいる。日本において、LGBTは権利を奪われ差別されている状況なのだ。特権など求めておらず、平等を求めている。G7構成国で同性婚も同性パートナーシップ法も整備されていないのは日本だけである。同性婚の実現ですべてが解決するとは思わないが、少なくとも、LGBTを差別しないという意思の表明になる。肯定的な情報が得られず、希死念慮が高い状態にあるLGBTの心に変化をもたらすであろう。
まずは自治体がLGBTやSOGIに関する取り組みを行う。それをしっかりと広報し、市民に取り組みを伝える。正しい理解の啓発になる上に、当事者には自分の住むまちがLGBTのことを認識していると分かる。相談事業など何か施策を始めても、利用が少ないことがあるかもしれないが、それは当事者がいない、悩みがない、制度が必要ない、ということではない。例えばパートナーシップ制度を利用するに当たり、役所に行く必要があるが、セクシュアリティを完全に周りに公表している人でない限り、誰がいるか分からない状況では行くことは難しい。地域や市民に理解が十分でない状況では、制度を利用したいと望む当事者を守ることはできない。制度の整備とともに、啓発も重要である。
(2) 連帯して声をあげること
2018年7月に議論を巻き起こした杉田水脈衆議院議員の「LGBT支援の度が過ぎる」と題された新潮45への記事。この記事に当事者だけでなく、多くの人が抗議の声をあげた。7月27日の自民党本部前の抗議デモには約5,000人が集まった。議員の差別発言は過去にも数多くあったが、ここまで大きな動きは無かっただろう。差別はいけないと声をあげる人が多くなる一方で、それに応じて声をあげる人を攻撃する声も大きくなる。これから、地方自治体での施策は全国で広がっていくだろうし、国において婚姻の平等の議論も進むだろう。その度に可視化される差別から、どう当事者を守っていくか、自治体の姿勢が問われる。マイノリティだからという理由で、権利をはく奪されて、攻撃を受けて良いわけがない。不平等を平等にすることが自治体の役目である。
カナダのトルドー首相は、2015年11月に男女15人ずつ同数の内閣を組閣した。新内閣発足の記者会見で、このことについて理由を問われると、「2015年だから。」とさらりと答えた。日本はどうだろうか。「2018年だから」と胸を張って答えられる社会だろうか。人権課題はLGBT、SOGIの問題だけではない。今なお繰り返されるヘイトスピーチ、ジェンダーによる不平等、差別、ハラスメント。LGBTの問題だけ解決したとしても、他の課題も解決しないことには平等な社会は訪れない。LGBT当事者とされる人たちだけではLGBTの課題は解決しない。他のマイノリティでもいえることだ。みんなが、何かしらのマジョリティでありマイノリティ。既にこの世界は多様である。様々な立場の人々が、考え、共に声をあげる必要がある。自分自身が考え、周りと連帯しながら今後も取り組みを進めていきたい。
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