はじめに
2004年、「小泉内閣」で国と都道府県からの保育所補助金が廃止され、自治体の予算が一般財源化されたこと、集中改革プランにより職員数は削減されたことにより、臨時・非常勤等職員が増大しました。そして、「民でできるものは民で」の大合唱の中で、保育所の民間委託が一気に進みました。
三次市も例外ではなく、2008年の東光保育所民間委託は、労使協議もままならない強引で拙速なものでした。その後、2011年に「三次市立保育所の民間委託に係る基本方針」が策定され、民間委託が推進されました。2013年には「三次市立保育所民間委託ガイドライン」が策定され、愛光・十日市・酒屋保育所の3所が民間委託対象保育所に選定されました。そして、2014年に愛光・十日市保育所の2所が民間委託されました。
このことは、「三次市の公立保育所のいいところは何ですか?」と問われていることであるにもかかわらず、この問いに答えが出せないまま時は過ぎていき、東光、十日市、愛光という市内中心部の規模の大きい保育所3所が民間委託されてしまったのです。
では何故答えが出せなかったのか。一つは公立保育所の保育として、共通の目標よりも、保育士個々の保育観が優先されて日々の保育、園児ひとり一人の対応にあたり、それで精一杯だという思いがあり、みんなでこんな保育をしようという共通の目標にむけての議論はなかなかまとまることができなかったことが挙げられます。市町村合併の影響はまさにそのことに拍車をかけました。そして、市町村合併を機に、さらに処遇が悪くなった「臨時職員」との連帯した取り組みができず、職場は分断されてしまいました。
2008年の東光保育所の民間委託は、強引で拙速なものでしたが、職場を見れば、市立保育所の職員体制は、前述の民間委託推進方針により、正規職員よりも臨時職員の数が多くなっており、また組織化もできていなかったため、民間委託についての情報共有や議論もできない状況でした。ひとり一人は、保育士、調理員として責任感をもって仕事をしているのに、雇用形態の違いがあるために、心理面に大きな壁をつくられていました。少なくなる正規職員の数に閉塞感や諦めの気持ちもあったと思います。私たちの側にも弱さがあったのです。
臨時職員の処遇改善と組織化を進め、雇用形態の違いを乗り越え、公的保育に携わる者として連帯し、子どもたち、保護者の幸せのために何ができるのかを一緒に考えることが必要です。私たちが誇りを持ち、同じ方向を向いて、公立保育所の必要性について、堂々とアピールできることは何なのか、どのようにすれば、さまざまな人に公立保育所の良さを実感してもらえるのかを民間委託された2014年から、大学教授、准教授の先生を講師に迎え、ご指導いただきながら、保育所分会で議論し取り組んできました。
1. 公的保育のあり方をみんなで考えよう
(1) 保育所臨時職員協議会の仲間とともに学習
2014年7月に、県自治研で講演を受けた福山市立大学の高橋実教授を講師に迎え、「子ども・子育て支援新制度と地方自治体の役割と課題」と題して講演を受けました。社会環境の変化により、幼い子どもの保護者がかかえるストレスが高まってきている一方で、子育て支援の現場も多様化する保育ニーズや新規事業への対応に迫られ、課題を抱えている現状を改めて認識しました。初めて、保育所臨時職員協議会の仲間にも声をかけ、一緒に学ぶ場を持ちました。保育所運営に関わることは一緒に考えていきたいと思ったからです。
続いて2014年12月に、安田女子大学 西川ひろ子准教授を講師に招き、「幼保連携型認定こども園の教育・保育要領のめざすもの」について、具体的に学習しました。幼保連携型認定こども園は教育部分と保育(生命の保持)の両方を備えた施設になることがわかりました。
学習を重ね、指定管理や民間委託など、子どもに関わる施設の運営が多様化していく中で、私たちはこれまで通り「保育内容の充実」を訴え続けていくだけでは、存続意義がなくなっていってしまうことに気付きました。
これからの公立保育所の役割として、子ども子育て支援のコーディネイトを行うことが求められており、支援の仕組みづくりと同時に、それを担う人材とその育成が必要でした。
子どもを取り巻く切実な状況に、公的保育の担い手としてどのように対応していくべきかを真剣に考え続けました。
(2) チェックリストの作成
保育所分会役員会で、公的保育の必要性を可視化するために、何から始めたらよいかを議論しましたが、多くの保育士が悩んでいる、発達課題のある子どもへの取り組みをしていけば、子どもにも、保護者にも、保育士にもよいのではないかということになりました。
そして保育所分会役員で、『子どもの主体性チェックリスト』と、『4~5歳児チェックリスト』を作成してみました。
保育行政の職員として目の前の課題に向き合っていく自治研活動として進めていきたいと考え、保育所分会役員会で、出来上がった指標を実際に使ってみようということになり、保育所分会全体に周知をはかりました。
保育士の仲間に喜んでもらえると思って提示したチェックリストには、さまざまな反応がありました。
「チェックリストがあると、担任の主観だけでなく、複数人の見方が反映できる。」
「誰が見てもよくわかる。」
といった前向きな意見がある一方で、
「何故、保育業務である発達指標を組合から下ろしてくるの?」
「自分たちは専門性に欠けるのに、子どもを数字で判断するのは危険なのでは?」
「ただでさえ事務が多いのに、もっと増やすの?」
「こういうものは保育連盟とすりあわせて出してくる方が筋に合っている。」
などの疑問や反対意見がたくさん出され、いろいろな考えの保育士がいることを、改めて感じました。
これは、これまで、保育業務に係る研修の場は、市の担当部署が主催する研修以外は、保育連盟を通して企画する研修がほとんどであり、そのため、労働組合として保育業務の内容を研究するという作風が職員一人ひとりに浸透していなかったからでした。そのため、このチェックリストを職場に浸透させていくには、保育連盟の場でも取り上げてもらう取り組みが必要と感じました。
この反省を生かして、できる範囲でチェックリストを使ってみたり、保育連盟主催の担当者会で紹介したりしていきました。
このチェックリストを使うことの効果として、
① 担任の主観だけでなく、複数人の見解で一人ひとりの子どもの発達の現状把握・目標設定・到達度の確認ができること。
② 発達を見ていく視点に偏りがなくなるため、重点的に取り組まなければならない課題が明確になり、そのための対応を具体化することができる。
③ 項目ごとの到達度を数字で表すことにより、誰が見ても子どもの発達状況がわかりやすくなる。
④ 発達について現状把握・目標設定・到達度の確認を定期的に繰り返すことにより、スモールステップで子どもの発達を保障することができる
⑤ このチェックリストは保護者に提示するものではなく、保育者が子どもの発達を保障するための目安になる。
ことがあげられます。これまでの組合活動で得た情報から、保育所分会の仲間と一緒に子どもを見る共通の視点として項目を出し合い、まとめました。
【4~5歳児 チェックリスト】
子どもの姿(行動)に対して重要視する点をまとめました。
《4~5歳児 チェックリスト》
氏名: 年 月
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子どもの姿チェックリスト |
担任 |
加配 |
所長 |
家庭支援 |
リソース |
備考記入欄 |
1 |
簡単な指示がことばだけではわからない |
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2 |
長い話になると理解できない |
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3 |
個別に言われれば聞き取れるが、集団場面では聞き取れない |
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4 |
保育者の話を聞いて、みんなと同じ様に行動ができない |
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5 |
喋ってはいけない場面でもよく喋る |
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6 |
一方的に喋る |
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7 |
身体の動きがぎこちない |
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8 |
椅子に座っていられないなど、一定の姿勢が保てない |
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9 |
自分の左右がわからない |
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10 |
ハサミ、箸、鉛筆などの操作がうまくできない |
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11 |
折り紙や制作をしたがらない |
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12 |
同じ遊びしか行わず遊びが発展しない |
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13 |
遊びが次々と移っていく |
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14 |
一人あそびが多く集団遊びに入りにくい |
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15 |
ごっこ遊びができない |
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16 |
「かして」「いいよ」などやりとりして遊べない |
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17 |
友だちとトラブルをよく起こす |
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18 |
カッとなりやすく乱暴である |
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19 |
順番が守れない |
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20 |
片づけができない(動作に時間がかかる) |
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21 |
次の行動への切り替えが悪い |
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22 |
通所、降所の支度や給食の準備など、一連の動きが途切れやすい |
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23 |
落ち着きがなくよく動く |
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24 |
過敏性がある |
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25 |
できることと、できないことに差がある |
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記録方法
1:全くない 2:あまりない 3:少しある 4:よくある
【子どもの主体性 チェックリスト】
子どもの発達に欠かせない「意欲(主体性)」に対して重要視する点をまとめました。
《子どもの主体性チェックリスト》
氏名: 年 月
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子どもの主体性チェックリスト |
担任 |
加配 |
所長 |
家庭支援 |
リソース |
備考記入欄 |
1 |
友だちを誘って遊ぶことができる |
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2 |
自分から遊びに入っていくことができる |
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3 |
課題に対して、興味を持って取り組むことができる |
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4 |
自分から遊びを見つけることができる |
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5 |
自分のことは自分で解決しようとする |
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6 |
困ったことを自分で解決しようとする |
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7 |
課せられた仕事を最後までやり通すことができる |
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8 |
保育士が手を貸そうとすると「自分でやる」と言う |
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9 |
貸し借りをして遊ぶことができる |
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10 |
保育者に話しかけたい時、他の子が話している間、待つことができる |
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11 |
手洗いの順番が待てる |
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12 |
保育者の話を最後まで聞くことができる |
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13 |
してはいけないことが分かると止めることができる |
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14 |
保育所の決まりを、その都度言わなくても守ることができる |
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15 |
周りの状況を判断してから行動することができる |
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16 |
遊びの役割やルールを友だちと申し合わせて遊ぶことができる |
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17 |
遊びをより楽しめるような、色々な発想を提案することができる |
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18 |
見立てて遊ぶことができる |
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19 |
ごっこ遊びで役になりきって遊ぶことができる |
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20 |
工夫して作ることができる |
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21 |
して欲しいこと、欲しいものを大人に頼むことができる |
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22 |
製作に必要な材料がない時、保育者に頼むことができる |
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23 |
嫌なことは「イヤ」と言うことができる |
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24 |
自分が困った時、保育者に助言を求めることができる |
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25 |
入りたい遊びに自分から「入れて」と言うことができる |
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26 |
他の子の行動を見て「やってみようかな」と言うことができる |
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27 |
自分の考え、思いを相手に言葉で言うことができる |
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28 |
他の子に励ましの言葉をかけることができる |
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記録方法
1:全くない 2:あまりない 3:少しある 4:よくある
【保護者との共通認識表】
子どもの発達は、「現状把握」「保護者との共通認識」「目標設定」「到達度の確認」を、定期的に繰り返すことにより、スモールステップで保障することができます。保育所には成績表がないので、チェックリストとは別に、保護者との連携をはかる際に提示できる『共通認識表』があれば、家庭訪問や懇談を行う時に役立つと考え、案を作ってみました。これは、西川ひろ子准教授の指導計画を参考に作成したものです。そして、ほぼそのまま児童表に使えるものになっています。三次市保育連盟の担当者会で紹介すると、実際に保育現場で使う保育士もいました。
保護者との共通認識表(案)
なまえ 年 月~ 月 |
項 目 |
教育(発達援助)に関わる事項 |
健康 |
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排泄 |
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食事 |
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着脱 |
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環境 |
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言語 |
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体の動き |
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手の動き |
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あそび |
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人間関係 |
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表現 |
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認識 |
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保護者との連携 |
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その他 |
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(3) 全保育所での記録表活用
保育所分会は、継続して人員確保に取り組むほか、保育業務の簡素化を要求していました。限られた人員体制で、多様化する保育ニーズに応えるためには、従来通りのやり方では効率が悪く、持ち帰り残業が増えるばかりでした。記録はできるだけ端的にわかりやすく、同じ内容をいろいろな様式に重複して描くことを減らす工夫が必要でした。
担当部署である子育て支援課も同様に考えており、職場訪問が実施された際、分会案の様式で記録した児童表が評価を受けました。そしてそれを改良した形式の記録様式が、2018年度から全ての保育所の3・4歳児で使われることになりました。5歳児の様式も分会役員が個別に工夫して作っていたものが採用されました。これは、就学時に小学校へ提出する「保育所指導要録」につながりやすいものになっています。
仲間が集まり、何度も学習や議論を重ね、交渉の中でも、人員だけでなく業務の改善を訴え続けてきたことが、ようやく形になり活用されることになった時、なかなか成果が出なくても辛抱強く続けてきてよかったと実感することができました。
2. 分会活動の活性化
(1) 保育の質の維持・向上の観点からの人員確保の取り組み
三次市では長年の採用抑制により、20歳代から30歳代が少ない、いびつな年齢構成になっていました。三次市立の保育所は、運営の半数以上は臨時職員に頼っています。「豊かな人間性を育てる保育」を掲げてはいるものの、雇用が不安定な有期雇用の職員を増やしていたため、培ってきた保育や調理の職能を引き継ぐことが難しくなっていました。
私たちは、各保育所の人員配置や子どもの実情をまとめ、三次市の子育て政策と保育の質の維持・向上の必要性があるにもかかわらず、現場の職員体制が矛盾していることを交渉の中で明らかにし、臨時職員の雇用継続、処遇改善を求めるとともに、採用実施と臨時職員の正規職員化を求めてきました。
よりよい保育サービスの提供をしていくために、正規職員の必要性を伝え続け、2016年度は4人、2017年度は9人、2018年度は4人の採用を勝ち取ることができました。
(2) 臨時職員協議会との共闘
三次市職労では、保育所臨時職員協議会の地道な取り組みにより、継続雇用や月給制などを勝ち取ってきています。継続雇用により職能が上がるので、実質的によりよい保育サービスを提供するためになくてはならない大切な仲間となっています。臨時職員と協力していかなければ、保育所の運営は成り立ちません。チームワークのよい職場づくりが、最も大切な取り組みのひとつであると言えるでしょう。
2017年3月から、保育所の人員配置に関わる交渉を保育所分会・保育所臨時職員協議会で一緒に行うことにしています。保育所臨時職員協議会からも、「正規職員と一緒に組合の話、保育運営について学び、議論できることがうれしい」という声が出てきており、未来に展望が持てるようになりました。
賃金・労働条件の要求だけでなく、保育内容についても一緒に取り組むスタイルを確立し、現場から子育て政策の提案ができる組織になっていきたいと思います。
(3) 保育所分会運営のあり方と役員育成
公的保育の意義を可視化する取り組みを継続することにより、三次市だけでなく、全国的な保育情勢の情報も入るようになりました。公的保育のあるべき姿に全国共通の答えがあるわけではないことに気づき、わたしたちは、三次市としてよりよい子育て支援サービスが提供できるように改善していけば良いと考えるようになりました。
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そのためには、保育所分会の運動を継承していくことが大切です。年度が変わると同時に役員が全て変わってしまうような選出の仕方をしていると、積み上げてきたものも、また1からのスタートになってしまいます。
職務に埋没してしまい、集まって議論することが難しいと言っている間に時は過ぎて、子どもたちも成長していきます。子どもの育ちを保障するために取り組むことで、人員確保にもつながっていっています。結果が出ると、やりがいがもてます。また、各職場の課題を丁寧に聞いたり、新しく始まる制度についてしっかりと議論して交渉につなげたりすることで、ひとつひとつ不安や疑問を解決する役割を担っているという実感が湧き、自信にもつながっています。やらされ感ではなく、主体的に役員を継続する仲間が増えてきたことは、運動の成果であると考えています。
役員会をワールドカフェ形式にして進め、みんなで今後のよりよい公的保育を考えていくようにすることで、意見が出しやすくなりました。たくさんの声を聞くことで、前向きな気持ちにもなれました。
2018年1月には、安田女子大学西川ひろ子准教授を招いて学習会を開催しました。広島市内の公立保育所における、発達課題のある子どもへの支援や環境構成の大切さなどについて、豊富な事例から学びました。会議の後に日常交流をしたり、保育の悩みを話し合ったりすると元気が出ます。そして情熱をもった責任感のある役員が育ってきています。このことは、指導力のある保育士を育てることにつながります。
3. 民間委託に歯止め
子どもを取り巻く状況が厳しさを増し、三次市でも状況の変化と現状の課題に向き合う政策が示されるようになりました。
2015年4月に「子ども・子育て支援新制度」が施行され、保育の質の確保が要請されていること、2017年12月「三次市子どもの未来応援宣言」の策定により、一人ひとりの子どもへの対応が要請されていること、2018年4月に「保育所保育指針」が改訂され、保育所は小学校教育が円滑に行われるよう、幼児教育を行う施設として位置付けられたこと、これらは大きな状況の変化です。
現状の課題としては、3歳未満児保育のニーズに対応できるだけの保育士が不足しており、待機児童が発生していること、正規職員の減少、臨時職員の増加により、保育・調理技術を効率的に継承する方策が求められていること、児童数が少なく、集団保育の場を提供できない保育所があること、財政状況が厳しくなることが予想され、さらに効率的な保育所運営が求められることが挙げられます。
これらの課題についての新たな対応として、保育(教育を含む)の質の向上や、一人ひとりの子どもに対応したきめ細かな保育が求められると共に、保育士・調理員の研修の充実のほか、現場での試行的な導入及び検証を行い、効率的に保育の質の向上を図っていく必要があるとしています。
三次市は、2018年2月に研修拠点保育所を設置し、効率的な保育の質の向上機能を付与する計画案を示しました。規模が大きく、地域子育て支援センター、病後児保育施設など特殊な施設を備え、それらとの連携も期待できる酒屋保育所を、当面において研修拠点保育所として運用を行うという内容です。
酒屋保育所は、民間委託の対象になっていましたが、この計画を実施するため、民間委託の対象から除外され、民間委託の保育所は当面なくなることになりました。
「三次市の保育の中心には公立保育所があるべき」という方針で取り組んできたことが、実現しようとしていることを、保育所分会、保育所臨時職員協議会のみんなで喜びました。現場で働く私たちの声が反映され、よりよい拠点保育所になるよう、引き続きみんなで取り組んでいきたいと思います。
4. おわりに
自治研と出会い、目標ができたことで、取り組みが具体になりました。より良い保育サービスの提供と人員体制は車の両輪のようなものです。3月に採用人数が明らかになったと同時に、到達度の確認をするようになりました。そして、すぐに次年度の人員確保に向け、目標設定をしています。
日本全体の人口減少が進み、三次市のような中山間の小さなまちは、市としての存続の危機に直面しています。子どもたちの未来は地域の未来であり、子育て施策は、間違いなく「まちづくり」の大きな柱です。
三次市は、2017年11月に「三次市子どもの未来応援宣言」を打ち出しました。
子育てに夢をもち、子どもたちの可能性を伸ばし、希望を支え、チャレンジを応援する宣言です。それならば、子どもたち、保護者に毎日通う保育所も希望がもてる場所でなければなりませんし、そのために、保育現場から、私たちが具体的な取り組みを発信していくことは必要不可欠です。
自治労の仲間のみなさんに励まされながら継続してきて、少しずつですが目標にむかって動いていることは、何より子どもたちにとって良いことになっています。
これからも仲間を大切にしながら、「希望のもてる三次市の保育」をめざして、明るく元気に取り組んでいきたいと思います。
たんぽぽニュース
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