【自主レポート】 |
第37回土佐自治研集会 第10分科会 みんなで支えあおう! 地域包括ケアとコミュニティー |
北海道立羽幌病院は、1953年8月に移管され、内科・外科・小児科・産婦人科、病床数48床で開始されています。2017年度から地方公営企業法の全部適用に移行し、その後の経過を再検証し、北海道として提示する「羽幌病院」の機能・役割を踏まえながら、留萌二次医療圏の現状を鑑み、担うべき役割や維持すべき機能についての考察を行いたいと考えています。 |
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1. はじめに
羽幌町は、日本海に面した農業と漁業を中心とした町で、札幌から車で約3時間半の距離に位置しています。 2. 前自治研での羽幌病院の課題
旧改革プランより、「留萌二次保健医療福祉圏における地域センター病院として、地域の医療機関や他の地域センター病院との連携を図りながら、診療体制や救急医療体制の確保に努めるとともに、人工透析医療を実施しています。」という記載通り留萌二次保健医療福祉圏における役割が示されています。
前レポートでも明らかになった課題として、
3. 留萌圏域における医療需要
留萌圏域(図1)における総人口は、2015年から2020年までの5年間で、約4千人減少することが推計されています。さらに、2025年までの5年間でも4千人が減少することが推計されています。また、羽幌病院を受診する患者の多くは、留萌中部の3町村です。2015年から2025年までの10年間で約2千人が減少することが見込まれており、約2割の人口減少が見込まれています。また、年齢階層(図2)では、若年層の人口減少が早く、主な病院受診する団塊の世代である65歳以上の人口も減少傾向になっています。
年間通院患者年次推移(図3)と年間入院患者推移(図4)からも確認できますが2009年の外来延患者数が年間6万人であったのに対し、現在では4万人を下回る状況です。8年後の現在では、延べ2万人もの患者が減少しているのが現状です。今後も見込まれる患者数の減少を踏まえると、提供できる医療にも限りがあります。
また羽幌病院は、留萌第二保健医療福祉圏域における地域センター病院の一つです。 4. 羽幌病院が果たすべき役割・機能
2017年3月策定された北海道病院事業改革推進プランより羽幌病院は、
(図5)は2017年度からの当院外来の診療体制です。当院常勤医師は、内科と総合診療科を担当し、その他の科に関して出張医での対応となります。
2017年度からは、組合が求めていた地方公営企業法の全部適用へ移行したことにより、今後は、医療環境の迅速な対応と人材確保や収益確保充実強化を図り、病院事業経営改革を進め、経営の自由度を高めることが不可欠となります。そして新たな取り組みが示されています。
5. 地域医療構想
日本では、2025年にいわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上となる中、これまでの「治すことを重視した医療」「病院完結型の医療」から、「自分の住み慣れた街で長く生活できる」「地域完結型の医療」に変えてゆく取り組みを進めて行かなければいけません。留萌圏域における現状は、医療需要(図6)の推計値では、高度急性期、急性期、回復期の合計数に大きな変化はないものの、現在の急性期病床数から将来の高度急性期と急性期等からの回復期への転換が必要です。
留萌第二次保健医療福祉圏域における病院機能や病床の割合を考慮すると、急性期病床は過剰であると考えられます。また、2015年病床機能報告制度からも、2025年の留萌圏域での回復期病床の割合が足りないと推測され、羽幌病院の回復期病床への転換が課題です。回復期病床とは、急性期病棟で治療を終えた患者が、介護施設や在宅での生活が不可能な時に転院出来る病床です。高齢化も進み、濃厚な医療よりも、維持・療養・介護のウエイトが大きな病院は、留萌圏域に不足していると推測されます。羽幌病院でも、現在12床で運用開始していますが、まだまだ回復期病床が必要と思われます。 6. 終わりに
本レポートは2016年に作成した「留萌中北部における羽幌病院の役割と展望」の、その後の経過を再検証しました。前レポートで、明確になった課題を北海道病院事業改革推進プラン作成時に、「要求と提言」として盛り込み作成したものです。羽幌病院の将来のあるべき姿として、これまでの「治すことを重視した医療」「病院完結型の医療」から、「自分の住み慣れた街で長く生活できる」「地域完結型の医療」への転換、在宅医療の充実、高齢者施設の充実と羽幌町と連携した取り組みが最重要課題と再認識しました。しかし、高齢化が進む中、限られた医療資源の中で 医師や看護師を含む医療スタッフの充実は重要です。道立病院労組として、これらの課題の改善に向けて最大限取り組みを進めていきます。 |