【自主レポート】 |
第37回土佐自治研集会 第10分科会 みんなで支えあおう! 地域包括ケアとコミュニティー |
住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、医療・介護・介護予防・住まい、生活支援を一体的に提供するために地域包括ケアシステムの構築が、求められています。本市では、「西東京市版地域包括ケアシステム」を構築すべく「地域包括ケアシステム推進協議会」を中心に市民力と多職種連携で在宅療養の推進、地域づくり等の活動を進めてきました。これまでの経過と今後の展望について報告します。 |
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1. 私たちのめざす健康応援都市西東京
西東京市は、2001年に旧田無市と旧保谷市が合併して誕生した市で、都心から20㎞圏の位置にあります。市の面積は15.75平方キロメートル(東西4.8キロメートル、南北5.6キロメートル)、人口密度は区部を除く東京都多摩地域で2位の過密さとなっています。 |
2. 西東京市版地域包括ケアシステム
2018年3月に策定した「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(第7期)」では、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう医療・介護・介護予防・住まい・生活支援を一体的に提供するための「西東京市版地域包括ケアシステム」をめざし、在宅療養の推進、認知症施策の推進、介護予防・健康づくりを重点項目と位置づけました。
西東京市版地域包括システムを「健康」応援都市の実現と地域共生社会を実現するための「しくみ」「プラットホーム」と位置づけ「地域と共につくるオール西東京のまちづくり」を合言葉に取り組んでいます。 (1) 地域包括ケアシステムの構築に市が責任をもつ体制整備と多職種協働
現在の部会の開催状況です。 ① 市民との協働啓発部会 この部会の主な議題は、地域包括ケアシステムの構築に向けて市民目線で啓発できるよう市民と協働して啓発のしかたを検討することです。6つの部会の中で、唯一市民が参加している部会となります。 2017(平成29)年度は、自身や家族の人生の最終段階における自己選択の重要性について、普段関心を持たない市民に向けて啓発するため、西東京市報1面への記事掲載と講演会を開催しました。今後は、地域の中に出て対話しながら細やかな情報提供や理解を進めていく予定です。 ・市民との協働啓発部会講演会 市民との協働啓発部会において検討し、「本人の選択と本人と家族の心構え」「自分に、家族に、本当に必要な医療」等をテーマにシンポジウムを開催しました。講師として元夕張市立診療所長で、南日本ヘルスリサーチラボ代表を務められている森田洋之氏をお招きしました。 ア 表 題 最期まで幸せに暮らせる3つの条件~いま夕張市民に学ぶこと~ イ 開 催 2017年7月22日(土) ウ 場 所 西東京市民会館 公会堂 エ 来場者数 317人
② 連携のしくみづくり部会 この部会の主な議題は、市民の望む暮らしの実現を目標とした医療と介護の職種同士、機関同士の連携を進めるためのしくみづくりです。 2017年度は、市内の地域包括ケアシステム構築に向けて中核となるリーダーとしての人材育成を目的にリーダー研修を2回開催した他、顔の見える関係づくりを実感するきっかけとなる、大規模な多職種研修を実施しました。 ・多職種研修(基礎研修) この研修は、西東京市の地域の医療・介護関係者が、お互いの業務の現状等を知り、在宅の高齢者を支援するチームケアを担い、忌憚のない意見が交換できる関係を構築するために、まず知り合い、つながることを目的としています。対象者は、これまで多職種が参加する研修等にあまり参加したことがない専門職です。 下記のとおり研修を開催し、研修受講者には修了証とオリジナルピンバッジが授与されました。 <第1回多職種研修(2017年10月7日撮影)> ア 表 題 第1回西東京市多職種研修~ALL NISHITOKYO 2017~ イ 開 催 日 2017年10月7日(土) ウ 場 所 西東京市民会館 大会議室 エ 受講者数 64人(医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、介護職(訪問介護)、ケアマネジャー、地域包括支援センター、リハビリ職の8職種から8人ずつ) ③ 受け皿づくり部会 この部会の主な議題は、市民が安心して在宅療養できる体制づくりと、医療ニーズに対応できる介護職の人材の育成に関することです。2017年度は、在宅での看取りを支援するための短期入所生活介護事業者(いわゆるショートステイ)の活用について検討しました。 現在は、居住系施設の看取りを支援するための方針と具体的な支援策について検討しています。 ④ 後方支援病院推進部会 この部会の主な議題は、在宅療養後方支援病床確保事業に関することです。 2017年は、5病院への拡大に向けた検討、事業登録時等に提出された個人情報の取り扱いについて議論をしました。今後は、更なる事業の制度周知、改善等について検討を行う予定です。 なお、この部会には、現場レベルの調整や部会での検討項目の具体化を目的として、各病院で入退院支援を行っている連携職が参加する「実務者連絡会」を設置しています。 ⑤ 認知症支援部会 この部会の主な議題は、認知症の支援に関することです。 2017年度は、認知症初期集中支援チームの設置について議論を行いました。 現在は、認知症カフェ、若年性認知症への対応等を検討しています。 ⑥ 在宅療養支援窓口部会 この部会の主な議題は、在宅療養連携支援センターに関することです。 西東京市は、2016年10月「西東京市在宅療養連携支援センター・にしのわ」を開設しました。2017年度は、同センターに対する各団体・専門職等からの支援体制の構築について検討を行いました。 今後は、同センターの相談内容から課題分析したものを部会員で共有し、対応策等について検討していく予定です。 (2) 西東京市の医療と介護の連携を支援する「にしのわ」 |
3. 市民を主役とした「仲間づくり・地域づくり」 (1) 市民のための、市民の手によるフレイル予防 フレイル予防プロジェクトは、地域づくりにつながる市民のための市民の手による活動です。 「フレイルチェック」は、自身のフレイルの状態を確認するために受講者自らシールを張り、記入して、自分の今の状態を認識することで、フレイルを自分事化することを目的に作られています。 また、専門職や行政職員が講座を開いて行うものではなく、「市民のための、市民の手による」ことを目的としています。一般の元気高齢者から「フレイルサポーター」を養成し、活躍の場を提供することが画期的でした。市民自ら担い手になることで、担い手となった人達を地域づくりの核となる人材に育てることにつなげていきたいと考えています。
③ フレイル予防講演会を開催 また、2017年1月には、先に述べたフレイルチェックを始めとするフレイル予防事業を、西東京市内で進めていくために、市民と専門職に向けて飯島氏を講師としてお招きして講演会を開催しました。 この講演会をキックオフとして、現在、市の重要施策として取り組みを開始しています。 ④ フレイルサポーターを養成 フレイルサポーターの養成研修を、2017年4月に行いました。 フレイルサポーター候補生として、市内ですでに様々な活動をされている市民の方を関係機関から推薦いただき、15人の方に参加いただきました。 現在は、計45人が養成され市内で行われるフレイルチェックを運営しています。 ⑤ フレイルトレーナーの選出 また、フレイルサポーターを養成、指導していく役割を担う、市内の理学療法士と柔道整復師計3人を選出しました。 このフレイルトレーナーも先の養成研修に参加し、フレイルサポーターと共に市内のフレイルチェックを始めとするフレイル予防事業の運営の中核を担っています。 ⑥ フレイルチェックを実施 2017年5月には、市内第1回目のフレイルチェックを行いました。 当日は、飯島教授をはじめとする東京大学高齢社会総合研究機構の研究チームにも参加いただき、フレイルサポーターとフレイルトレーナーで運営しました。 2017年度中に市内8カ所でフレイルチェックを実施し、2018年度は開催回数を増やし実施しています。
(2) 地域を支える共生社会シンポジウムの開催 |
4. 「西東京市に一番ふさわしい誰もが主役の地域包括ケアシステム」 オール西東京モデルの構築にむけて |