【自主レポート】 |
第37回土佐自治研集会 第11分科会 自治研で探る「街中八策」 |
私たちの生活が豊かになる一方で地球環境の破壊が進んでいる。私たちは豊かさと便利さを追求した代償として大量のエネルギーを消費してきた。その結果、地球温暖化、水質汚染など、様々な環境問題が引き起こされている。今回、特に二酸化炭素など温室効果ガスの増加がもたらす地球温暖化による環境問題を取り扱い、一人ひとりがこの現状を正しく認識し、私たちが普段の生活で心がけるべきことは何かをまとめたものである。 |
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1. はじめに 私たちの生活が豊かになる一方で地球環境の破壊が進んでいる。私たちは、豊かさと便利さを追求した代償として大量のエネルギーを消費してきた。その結果、地球温暖化、土壌汚染、水質汚染など、様々な環境問題が引き起こされている。 2. 環境保全への取り組みの現状
日本では、1950年代以降の高度経済成長期、一挙にエネルギー消費量が増加し、二酸化炭素が排出されるようになった。今後、再生可能エネルギーへの転換、省エネ志向のさらなる高まりや人口減少などによりエネルギー消費量の減少が期待されるものの課題が山積した状況に変わりない。 温室効果ガスが増え、気温が上昇するとどうなるのか。海水温が上がることで、海水は熱膨張し、海水面が上昇する。海水面の上昇により、陸地が減少し、海に囲まれた小さな国では存続自体が危ぶまれている。たとえば、海面水位が40cm上昇した場合、世界全体で7500万~2億人の人が毎年高潮により浸水を受けるといわれている。さらに雲が発生しやすくなり水の循環が強まることで、スコールのような激しい雨が増加する。一方、内陸では、気温の上昇により、干ばつが進む。このように異常気象といわれることが各地で起こるようになる。 これ以上地球温暖化を加速させないために、各国が二酸化炭素の排出削減目標を掲げ、二酸化炭素の削減に向けた様々な対策が取られている。 |
(1) 世界状況
このように三重県内では、二酸化炭素の排出を抑制する制度や企業が主体的に環境・エネルギー関連分野に進出できるよう、高等教育機関と企業とを結ぶネットワークを構築させ、県内企業の技術力を生かした製品開発に向けた研究開発を支援するなど、環境・エネルギー関連産業の集積と育成に取り組んでいる。国内外の企業や大学などの有識者をメンバーとした「みえスマートライフ推進協議会」を運営し、新技術・新製品の開発をめざしたネットワークづくりを支援することにより、県内中小企業の環境・エネルギー関連分野への進出を促進している。 |
3. 環境にやさしい新たな取り組み
(1) 県外自治体における新たな取り組み(豊田市)
ワーキンググループでは、地域・企業・行政が協働して取り組んでいる「トヨタエコフルタウン」を視察し、私たちの生活に欠かせないエネルギーを無駄なく効率的に利活用し、二酸化炭素削減をめざし取り組んでいるこの施設で、日常の生活においてどのようなものが取り入れられているのか視察を行った。 施設では、電気自動車【写真①】や、水素を燃料に走る燃料電池自動車が導入されていたり、家庭でのエネルギー管理を容易に行えるホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)【写真②】が取り入れられた住宅に、自治体が補助金等を出すことで導入を推進する制度の紹介が行われている。 また、低炭素社会への取り組みを学ぶことが出来るパビリオン【写真③】は、壁面を苔で緑化することで、断熱材に代わる効果への期待とともに、二酸化炭素を吸収させることで、ヒートアイランド対策を行っている。施設内部の企業ブースでは、自然に生息する動物や昆虫に学ぶ環境負荷の少ない高度な機能を持った製品群【写真④】が展示されており、施設内の参画している企業との連携を通して、ビジネスマッチング等への波及効果も見込んだ取り組みであることから今後の展開に興味が持てた。 市民生活への取り組みとしては個人に対する補助金もあり、環境型バスの利用やスマートハウスの普及を啓発することでエコポイントを発行し、商品券等に交換でき、市民の意識向上を図っているところに学ぶべきものがあった。 豊田市は、トヨタ自動車株式会社のバックアップもあり、積極的に市民と企業が連携し、低炭素社会の実現に向けて取り組める環境下にあることは他自治体と比較し、優位である。今後、このような交通システムやライフスタイルの変革が起きたとき、自治体として対応できる体制を整えるときがくるのではないかと感じた。 |
(2) 三重県内における取り組み(松阪市)
実際に気温を下げる効果があるうえ、その実施プロセスを通じて環境意識を高める啓発活動としても注目されている。また、打ち水に使う水は、自然の恵みである雨や風呂の残り湯・ポットの使い終わって捨てるお湯などの再利用の促進など、様々な効果をもたらす呼び水ともなっている。 県内でも松阪市市民活動センターが取り組みに参画していることから聞き取りを行った。 市民活動センターでは、環境問題を考えるための契機として、打ち水大作戦へ参画し始めたとのこと。継続して実施していくには、手軽に参加できることが重要であると考えられており、9年ほど前から自治会連合会や商店街連合会とも連携を図りながら、大暑の日に合わせ実施している。毎年実施してきたことで、年々市民の間でも浸透し始め、環境問題に対する意識向上はもちろんのこと、地域ブランドである「松阪木綿」を着て打ち水に参加する取り組みなど、地域おこしといった新たな効果に派生してきている。 また、市民活動センターでは、夏至の時期に、環境省の推進する「CO2削減/ライトダウンキャンペーン」や、「でんきを消してスローな夜を……」を合言葉に、全国各地で実施している「100万人のキャンドルナイト」にも賛同し、私たちを取り巻く環境について考えるきっかけづくりを行っている。 このように打ち水大作戦やキャンドルナイトは、手軽に参加できることから、市民の環境意識を高めることにつながった良い事例である。 |
4. わたしたちにもできること 先に紹介した豊田市の「トヨタエコフルタウン」の取り組みのように、モデル地区では拠点施設が整備され、環境意識を向上させるイベントが実施されている。また、環境技術を活用した製品の展示、それによるビジネスマッチングにより、地域資源を生かした環境技術が進展することが期待できる。しかしながら、自治体の産業形態、財政及び、注目度を考えると県内の自治体が豊田市と同様な取り組みを行うことは困難である。さらには、新たな技術を創出したり、導入するためには、時間と新たな投資が必要となる。
5. まとめ 私たちは、今おかれているこの現状を正しく認識し、市民の環境に対する意識を高めることが必要である。地球環境保全の商品がフツーのものとして出回っていることも、市民意識を向上させ、好循環が生まれている。 【わたしたちのくらしとエネルギーWGのメンバー】 |