【自主レポート】 |
第37回土佐自治研集会 第11分科会 自治研で探る「街中八策」 |
「恵まれた自然を豊かに保ち、その恵みをうまく引き出すこと」ができる社会は、今後われわれがめざすべき、一つの未来像だ。大分県はそういった部分で、多くの魅力あるパーツを持っている。 |
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1. 「森・里・川・海」
大分県の強みは恵まれた自然環境。 |
2. 臼杵市のハマボウ調査
(1) 地域に愛される黄色い花の群落 (2) 調 査
再度現地を調査すると、ハマボウ以外にも多くの稀少種の存在が確認され、この地域が育む生物多様性のポテンシャルの高さを覗い知ることができた。
(3) ハマボウ調査まとめとそこから見えてくる展望 |
3. 県内各地で取り組まれている「森里川海」 県内各地で地域やNPO等で取り組まれている「森川里海」に関連する活動のうち、次の取り組みに当グループ構成員を派遣し、取材や活動への参加や活動協力を行った。 (1) ベッコウトンボの生息地保全活動(中津市)
戦前はどこの池でも見られたが、数が激減して国内希少野生動植物種に指定された。 現在、生息地は11カ所にまで減ってしまっている。 地域やNPOが、一般市民や学生から参加者を募り、ヨシ刈など池の陸地化を防ぎ、トンボが産卵できる空間を保全する活動を行っている。 ヨシ刈りなどの作業は、重労働ではあるが、トンボの育成環境はとてもデリケートであるため、重機を用いず手作業で行われている。この努力が報われ、近年その個体数は増加傾向にあるとのこと。 春には、冬の保全活動の成果が、トンボの乱舞として楽しむことができた。 ※ 2016冬の生息域保護活動と2017春の観察会に当グループ構成員を派遣 (NPO水辺に遊ぶ会) (2) 両子の森プロジェクト(国東市)
大分県の名水100選にも指定されている走水観音の周辺の山の伐採跡に、2011年に約2,000本の常緑樹・落葉樹を植樹。 この植樹により植えられた木は、数百年にわたり世代交代をしながら両子の山に残っていくものをめざして行こうという実験。 それ以降、毎年地域内外から意識の高いボランティアが集まり、下刈り作業が続けられている。 下刈り作業後にお寺からふるまわれる、走水観音の名水で流す「流しそうめん」と地域の人たちとの交流は格別である。 ※ 植林地の下刈り作業に当グループ構成員を派遣 (両子寺 両子の森プロジェクト) (3) きらめ樹(国東市・由布市)
ヒノキやスギの要間伐林では、木が育つ隙間なく植えられ、地面に光も届かないため、草や低い木がほとんど生えていない。枝は張れず、根も張れずしっかり大地に踏ん張れないために、森が土をつかむ力も弱く、台風や大雨のたびに倒壊する。土壌の流出や浸食も進み、ますます壊れやすい山になってきている。 このように山の荒廃は現実のものとなっているが、林業業界における既存の取り組みでは、遅々として対策は進んでいない。 そこで、市民の手による間伐活動によりこの問題に挑戦しようというのがこの「きらめ樹」という取り組みである。
皮むき間伐とは、手鎌と竹ベラを使ってヒノキやスギの皮をむき、立ったまま木を枯らすことで森に光を入れる間伐方法。重機を使わず、林道もいらない。 立ち枯れさせた木は、1年後に伐採すれば自然乾燥により人力で運び出せるほど軽くもなるため、市民の森林体験の場として間伐をイベント的に行うことも可能になる。 山主にとって不要な間伐材の提供を受ければ、簡単な加工材をつくるなど、活動の資金を調達することもできる。 もちろん間伐の効果で、残った木は将来高く売れるようになるのは言うまでもない。 こういった取り組みは、既に東京圏で採算ラインに乗った持続可能な活動として「NPO森の蘇り(静岡県)」により実践されている。 大分でも同じ取り組みにチャレンジしたいと、県内の有志の活動家が2016年から活動を開始した。 近年九州では土砂災害が頻発しているため、災害予防の観点もありメンバーの士気は高い。 当自治研グループは、この活動の初期より関わり、 2016年 ・皮むき間伐の試験地の紹介 ・お話会(活動内容の説明会) ・皮むき間伐の試験実施 2017年 ・国東市小原で大分県初の市民参加によるイベントとしての「きらめ樹」の実施 2018年 ・由布市での「きらめ樹」の実施 などで、当グループ構成員を派遣。共に活動を行った。 2017年には活動家グループは県内3箇所で拠点を作り、その活動を広げつつある。 このムーブメントは今後も注目である。 |