1. 取り組みの経緯
1999年当時の現業協議会長 浜尾文子が全国集会に参加した際に、他の自治体での取り組みに感銘を受け、「給食職場の直営の重要性を訴える必要がある」との思いから、金沢市職現業協議会では、市民と普段は直接関わりあうことのない学校給食を、小学生の保護者をはじめとする市民にPRし、より親しんでいただくことにより、学校給食がいかに直営で安全に提供されているかを知ってもらうことを目的に、学校給食フェアを開催することになりました。
当初の開催目的としては、保育所・保育園の年長児にも来ていただき、来年度からの給食がおいしく、楽しいものだと知ってもらうこと、子どもたちが楽しめる工作コーナーを設けてルームプレートやモザイクタイルコースターなどを製作してもらう企画を通じて、学校校務士の仕事を市民にアピールすることでした。
さらに、2005年度からは学校職場以外の現業職場からも本格参加し、「現業職」という市民にとっては聞きなれない文字を表題に入れ、現業とは何かを知ってもらい、認識していただくことで現業職場の直営の意義をアピールする機会として位置づけました。
2. 実行委員会による準備
開催時期は基本的に夏休み最初の休日を目安にしているので、例年7月下旬となります。
実行委員会は、3月末ごろに立ち上げて、2018年度の取り組み内容について給食調理士を中心に議論しながら決めていきます。
会場については、金沢市内全域の皆さんに知っていただくため、東西南北に分けた中から会場を選定し、毎年違う地区での開催を心がけています。内容についても、当日の配置からパネルの並べ方まで何度も現地にて打ち合わせを重ねています。
給食試食メニューについては、子どもたちに人気ナンバーワンメニューのカレーライス(夏野菜入り)や、これも人気が高いビビンバなど、毎回喜んでもらえるようなメニューを考え特色を出しています。
広報活動としては、多くの方々に来場していただくために、ポスターやチラシを作り、各保育所に配布し周知を行います。また、フェア前日には新聞折り込み広告(会場周辺8,000件に配布)を利用し、一般家庭に周知するよう取り組んでいます。
フェア開催にかかる経費は、毎年80万円を目途とし、行政からの支援は受けずに、すべて組合費で実施しております。
3. 開催状況
2017年は、教育プラザ富樫を会場に第19回学校給食(現業職)フェアを開催し、約480人の方々にご来場いただきました。当日は生憎の雨にもかかわらず、来場者数が例年並みであったことは、市民の給食に対する関心の高さが伺えます。
また、第19回学校給食(現業職)フェアの主な内容は以下の通りであり、山野市長をはじめ、教育長や現業職場の所属長にも来場をいただき、私たち現業の取り組みを理解していただける場となりました。
(1) 給食試食
カレーライス・ウインナー・漬け物・牛乳の提供
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「試食会場の様子」 |
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「給食を試食する山野市長」 |
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(2) 工作コーナー
ルームプレート・タイルコースター・ペットボトル風車・空気てっぽうの工作体験
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「タイルコースター工作体験」 |
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「ペットボトル風車工作体験」 |
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(3) 各部会の仕事紹介パネル展示
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給食部会
「学校給食調理場の1日」 |
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校務部会
「業務作業紹介」 |
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厚生部会
「食育クイズ」 |
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土木部会
「道路補修作業紹介」 |
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(4) 環境学習紙芝居
金沢市従労協力による「環境リサイクル」をテーマにした、ごみの分別やごみの有料化を啓発する紙芝居の実施
(5) ペット相談コーナー
動物の苦情や相談を担当する動物愛護管理センターの職員によるペットに関する相談の実施
(6) バトントワーリング
2017年度より、市内バトントワーリングクラブの協力で、オープニングイベントを行っています。
4. アンケートの実施
翌年度の給食フェアをより良いものとするため、来場者にアンケート調査を実施しました。アンケートの内容と主な回答は次の通りです。
(1) 今日のイベントを何でお知りになりましたか。
来場者の約6割が知人の紹介であるが、「新聞折込」も2割と多く、一定の集客効果があることがわかります。
(2) あなたの年齢をお知らせください
子育て世代である30代から40代の来場が約半数を占め、10代が約3割となっていることから、来場者の多くは子どもと保護者の家族であることが伺えます。
(3) 今日のイベントの感想をお聞かせください。
【良かった意見】
・カレーが濃厚で美味しかった。
・来年度も実施してほしい。
・工作が楽しかった。
・アレルギーに配慮していて安心して食べることができた。
・紙芝居の内容はおもしろい。
・給食体験ができる機会はとても貴重だと思いました。
【悪かった意見】
・新しい工作がしたかった。
・カレー以外のメニューもしてほしい。
・紙芝居のナレーション以外の方の顔が見えない方が良い。
・人形劇と給食の時間が被っている。
・駐車場の誘導が悪い。
以上のように、楽しんでいただけた好意的な意見が多かった中で、改善事項として検討すべき意見もあり、翌年度のフェア運営に活かしていきます。
5. 今後の課題
様々な地域の方に知っていただくために、開催場所を東西南北に分けて変えるようにしていますが、イベントの規模が大きいため、限られた会場でしか開催出来ないというデメリットがあり、会場が固定化されていることが課題です。これまで9回開催している教育プラザ富樫のように、立地・駐車場・費用・配送距離・空調設備等で完璧な施設はなく、開催条件を備えた石川県地場産業振興センターで開催した時には「ホール内での給食メニューは臭いの少ないものに限る」、「工作体験コーナーでは、音の出ない物、粉やカスなどが出ない物に限る」と様々な条件を出されての開催となり、準備段階での綿密な打ち合わせが大きな負担となりました。会場については、毎回考えなければならない課題ですが、2018年度は20回目の節目であることから、開催場所も含めて、宣伝方法やフェアの内容を見直す議論を進めています。
2つ目の課題は、給食フェアを行うことに対する当初の開催目的が薄れてきており、調理師から開催そのものについて否定的な意見が出ていることです。私たちの職場や業務内容を市民に理解していただき、「現業」を認識してもらい、直営の意義をアピールする機会を設けることが職場を守ることにつながるということを理解してもらいながら議論を重ねていく必要があります。
6. 終わりに
現業を取り巻く環境は、退職者不補充や民間委託などの合理化攻撃を受け、益々厳しさを増しています。金沢市においても同様に厳しい現状にありますが、知恵を出し合い協力し、未来を担う子どもたちのために、そして、市民に喜んでいただけるサービスの提供と市民ニーズに合った活動を続けていかなければなりません。
今後も子どもたちから、給食をうれしそうに食べて、「おいしかったよ」の一言がもらえるように、一生懸命努力していきます。
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