【自主レポート】 |
第37回土佐自治研集会 第12分科会 新しい公共のあり方「住民協働」理想と現実 |
日々の業務に追われ、組合員一人ひとりに余裕がなく、家庭や仕事以外に費やす時間も少なくなり、地域住民とのつながりが薄れているように感じます。このような中、ボランティア活動を通じて私たちの町で生活する幅広い世代の住民のみなさんとふれあいながら、私たち自身がやりがいと自信をもって仕事ができることをめざし、仲間とともに地域活動に取り組んでいます。 |
|
1. はじめに (1) 津和野町の現状
(2) 自治研活動の必要性 2. 活動の内容 (1) 観光客とふれあう~つわのSL健康マラソンエイドボランティア~ 津和野町では毎年、運行開始時期である3月中旬頃につわのSL健康マラソンが開催されます。つわのSL健康マラソンは、津和野藩御殿跡として県の史跡に指定されている嘉楽園を出発し、津和野駅、白壁と堀割の殿町通りの町内を巡る1.8kmコース、3.2kmコース、10kmコースの他、国名勝地の旧堀氏庭園までのハーフマラソンコースがあり、歴史を感じながら楽しく走り、津和野町の良さを知ってもらいつつ、健康と体力づくりへの関心を高めることをねらいとして、27年前から開催されています。 観光地として全国的に有名になった津和野町ですが、全国的に展開された大型の娯楽施設や商業施設の整備、海外旅行者の増大などにより、次第に観光客が減り、飲食店や土産店などの商店数も次第に減ってきました。しかし、近年、史跡津和野城や名勝旧堀氏庭園、伝統的な建造物など手がつけられなかった文化財の修理がようやく始まり、"もう一度、津和野に賑わいを"と住民の意識が少しずつ変わり始めました。 津和野町職員組合としても、津和野町の良さを多くの方に知ってもらい、『津和野町にまた来たい!』『津和野町に住みたい!』という方が少しでも増えるよう協力したいということから、2015年3月開催のつわのSL健康マラソンからエイドステーションを始めました。 津和野町教育委員会と検討を重ね、エイドしました。 ハーフマラソンコースの13km地点にエイドステーションでランナーに提供する品物は町内の店舗から購入し、地域経済に少しでも貢献できるようにステーションを設置し、ランナーの応援をしながら、「スポーツドリンク」などを提供しました。 エイドを受け取ったランナーから「ありがとうございます」と喜んでいただき、全国各地から参加されたランナーや地域住民の方々ともエイドを通してふれあうことができました。2016年は過去最高の参加者数ということもあり、大忙しのエイドとなりました。今後も参加者数に応じてエイドの種類やスタッフの人数を検討し、継続して取り組みたいと思います。 |
(2) 子育て応援~子育て講演会ボランティア~ 子育て支援センターでは、育児不安等についての相談支援や子育てサークル等の育成支援、保育事業の実施、地域保育資源の情報提供、地域の世代間交流の促進、ファミリーサポート事業を実施しています。 その他、子育て支援に関する活動として、毎年様々な講師を招いて子育て講演会を開催しています。しかし、必ず問題になるのが参加者の少なさです。人口の著しい減少が進む私たちの町にとって、子どもを産み育てやすくすることが課題でありながら、例年、約30人程度しか集まらないため、2016年の講演会は『若い世代同士、みんなで一緒に楽しみたい!』『もっと子育てを楽しんで欲しい!』という思いから、津和野町職青年女性部を中心に子育て講演会にスタッフとして参加しました。さらに、津和野町公企現業労働組合の調理師にも協力してもらい、参加者の昼食として、保育園の給食などを提供しました。 講演会当日、朝早く集合し、調理師が「うどん」と「ゼリー」の準備を、私たちは「おにぎり」を作りました。200個のおにぎりを作ることは大変でしたが、和気藹々とした中、楽しく準備をすることができました。おにぎり作りに参加した若い男性組合員の中に、おにぎりを握ったことがない組合員もいましたが、今回参加したことにより、おにぎりが握れるようになり、よい経験ができました。 講演会の講師はとてもパワフルな二本松はじめ先生で、親子のつながりの大切さを楽しく伝えていただきました。子ども達がお父さんやお母さんと見つめ合いながら『ギュッ』と抱き合う姿を見ると普段から何気なくしている仕草も特別なものに思えました。初めは後ろで観ていた組合員ですが、盛り上がり、自然と輪の中に入って普段なかなか接点のない親子や地域住民の方とふれあうことができました。現在、子育て真最中の組合員も、子育て卒業の組合員も、これから親になる組合員もみんな一緒に楽しみました。 講演会終了後、「うどん」「おにぎり」「ゼリー」など普段味わうことが少ない保育園の給食を食べていただき、"給食の大切さ"や"直営方式の必要性"、"手作りの大事さ"などをアピールできたと思います。私たちが作った昼食をたくさん食べていただき、みなさん大満足で帰路につかれました。100人を超す参加者のために、皆で一つのことを作り上げる喜びを感じました。 また、普段はあまり会わない保育士さんと関われて、親睦を深められたのはうれしい限りです。組合員同士の絆も深めるいい機会になりました。講師の二本松はじめ先生は市職出身で、組合活動もしておられたようで、今回の私達の取り組みも喜んでおられました。講演会を1回開催したところで何かが変わるとは思いませんが、子どもにとっても親にとっても楽しい時間を増やし、継続していくことが重要だと思います。 |
(3) 高齢者との繋がり~はがきボランティア~ この活動は、町内の75歳以上の独居高齢者に対して、年4回季節に応じたはがきや年賀状をお送りする活動です。書き損じはがきの回収や新しいはがきの準備、対象者の名簿作成は、社会福祉協議会が実施しており、組合としてははがきと名簿を受け取り、個々の組合員の特技を生かしつつ、高齢者の方へ敬う気持ちを持って時季のイラストや文章を書いてポストに投函しています。 核家族化が進み、幼い頃から祖父母とふれあうことが少なかった組合員や、就職により地元を離れて生活をする組合員、日頃なかなか手紙を書く機会のない組合員など、新入組合員をはじめ青年女性部で手分けをして、約25人の方へのはがきを作成しています。絵はがきにしたり、自分の趣味や私生活の話題を盛り込んだり、「役場に勤めています」と自己紹介をしたり、高齢者の健康や体調を気遣う言葉をかけたりと、個性あふれる内容となっています。 これまでに何度か高齢者の方からお返事をいただいたこともあります。自分の祖母宛てにはがきが届き、それを嬉しそうに眺めている祖母の姿を覚えている組合員もいます。基本的には一方通行のはがきではありますが、私たち組合員が書いたはがきに対し、感謝の言葉や近況を伝えてくださると、とても心が温まります。子どもや孫たちと離れて暮らす高齢者にとって、自治体職員は身近な存在でなければなりません。困って立ち止まりそうなとき、『そうだ! 役場に行ってみよう』『あの人に相談してみよう』と言われるように、安心感を与えるような仕事を心がけることが大切です。この活動を通して、小さな町だからこそできる"人と人との繋がり"を、組合員として強く結びつける活動だと感じています。 十年以上も続く活動を今後も継続していくために、私たち組合員にできることははがきを作成することだけではありません。年々、書き損じはがきの回収数が減少し、はがき作成ボランティアの人数も減ってきています。現在は全体の約2割の高齢者に対してはがきの作成をしていますが、支え合いや助け合いが住民の安心や自治体への信頼に繋がるため、この取り組みを広げていきたいと思います。 |
(4) 住民とともに住みよい環境づくり~清掃ボランティア~ 何度も話し合いを重ね、観光地でもある津和野町をより綺麗にするために"清掃活動"に取り組むことに決めました。しかし、これまでも個々の組合員が職場や地域での清掃作業に参加しているため、組合員として新たに活動するためにはどのような形にしたらよいのか、あと一歩のところの仕組みづくりに苦慮しました。そんな中、津和野町社会福祉協議会が実施している"月いちボランティア"に一緒に参加してみてはどうかという意見が出ました。 津和野町社会福祉協議会では、月に一度、朝の1時間程度、指定区域のごみ拾いや草むしりをする活動を長年行っていて、すでに仕組みができあがっています。そのため、すぐにでも一緒に活動することができ、さらに継続的な活動になり、地域住民とも一緒に活動することができます。そこで、青年女性部として一緒に取り組みたい旨を伝え、活動を始めることになりました。 |
この取り組みはまだ始まったばかりで、個々の組合員の自主性を重んじ、参加できる時に参加できる人が自主的・主体的に参加することにしているため、参加人数は少なく、中には面倒だと思う人も多いかと思いますが、この活動を通して得られたことを組合員で共有していくことで、新たに参加する組合員も次第に増えていくと期待しています。 今回、地域のために組合活動として何ができるのかを話し合うことも、私たちにとって、とても貴重で有意義な時間となりました。何かをしたいという気持ちが生まれ、その想いを仲間と話し合い、計画を立て、行動することができたという喜びがあります。このことを生かし、これからも仲間とともに考え、より良い活動に取り組んでいきたいと考えています。 |
3. おわりに これらは自治研部や一部の青年女性部の活動と言っても過言ではありません。津和野町職としての自治研活動を広げていくことが必要不可欠ではありますが、非常に難しい課題です。 |