【自主レポート】 |
第37回土佐自治研集会 地元企画分科会 「ふるさと」を次の世代へ~「犠牲者ゼロ」の防災まちづくり~ |
高知県自治研究センターでは「3.11東日本大震災から高知は学ぶ」シンポジウムを2011年度から継続して開催してきた。筆者は本シンポジウムの企画及び運営を担当する中で、特に「事前復興」というテーマに着目してきた。なぜなら、「事後復興」では取り返しのつかないことが起こりうるという事を多くの出会いの中で学んできたからである。本レポートにおいてその内容を整理してみた。 |
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1. はじめに
東日本大震災発災当時、私は町役場の防災担当をしていた関係で、「カツオ一本釣り漁」で黒潮町と親族関係者の多い宮城県気仙沼市に現地入り(3/17~3/24)し、親族の安否確認などを行うこととなった。被災した現場をつぶさに歩く中で「他人事ではない」と、胸が押しつぶされそうになったことを鮮明に覚えている。 |
2. これまでの活動の経過
これまでに7回のシンポジウムを開催した。
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3. 事前対策の必要性 さて、「事前復興」とは、「高知県震災復興都市計画指針(手引書)【計画編】平成28年3月」によると、以下の定義がされている。 ところで、私が見聞きした範疇だけでの整理であるが、大規模な被災後の社会は次のような課題を抱える。 ① 地域の長や世話役が不在(死亡、転出、出稼ぎ)で、地域のまとまりが効率的でない ② 地権者が不在( 同上 )で工事等の用地の整理がままならない ③ 生業を失い、肉体労働の復旧作業に従事し、心身ともに疲労困憊し、会合に出る気力がない ④ 親族、資産を失い明日の暮らしが見えない中で、まちの中長期の将来像をイメージできない ⑤ ③、④の結果として、復興計画関連の会合を開いても参加者が少なく総意を図れない ⑥ 案件が多すぎ、学識「経験」者でなく、学者・識者や現場実績のない都市計画関係者が復興まちづくりのグランドデザインをリードする ⑦ 自治体職員も多く被災した場合、外部からの応援職員が町の将来像の決定をせざるを得ない ⑧ ニーズの変化と諸手続きの速度差により、国、県、市町村などの意図と住民の意向にズレが生じる これらは致し方ないことであるし、特に⑦など、すべてが悪い方に作用しているとは言わない。 しかし、そこで暮らす人々が責任と誇りを持ち、主体的にまちづくりを検討し、推進していくうえの課題として認識しておくべきことだと思う。 要は、事後ではできることが限られるし、労力もかかり、質も落ちることが多々あるという認識で被災後の地域社会を考える視点=事前復興計画などの要素が必要なのは明白ということである。 |
4. ふるさとはどうなる?
ここで一つ問題提起をしたい。
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5. 世代責任として
結びに、このように自治研活動を通じた交流や学びの中で、一つの答えにたどり着いた。それは、生命と財産に加え、先人から受け継いだ本質的な「地域の暮らし」を守るには、物理的でない防潮堤が必要だということ。ややもすると現世代の人間のエゴになってしまうのかもしれないが、今のうちにグランドデザインをしておくべきだということである。 |