2 新しい公共事業のメニュー
市民がつくる政策調査会 |
1. 環境共生
従来型公共事業への批判の一つに、それが環境破壊の元凶となっているという指摘があります。地球規模で環境問題を解決しようという努力がなされているさなかに、「公共」性の名において環境破壊が行われるなどということは、多くの市民にとってまったくの時代錯誤としか映らないでしょう。市民が求める新しい公共事業はその対極、環境との共生を可能にする社会づくりに役立つ事業でなければなりません。このような視点から、ここでは水環境、CO2削減、ごみ問題、化学物質対策などに取り組む事例を集めました。
事 例 名 |
水源林保全のため上下流の自治体による基金 |
事業主体 |
横浜市・道志村 |
内 容 |
横浜市の水道が毎日17万トンを取水している道志川上流部の水源涵養林を保全するため、 横浜市9:道志村1の割合で約10億円を拠出し、 公益信託方式で 「道志水源基金」 を設立。 水を使う下流の自治体が上流の自治体の森林保全などを支援するという試み。 |
事業費概算 |
約10億円 |
類似の事例
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事 例 名 |
雨水の循環利用 |
事業主体 |
墨田区 |
内 容 |
国技館や区庁舎など15の施設で雨水を貯めてトイレや植木の散水などに利用している他、 防火用水用として雨水利用の路地尊を区内各地に設置。 雨水の有効利用だけでなく、 防災対策の側面も持つ。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
植採による湖沼環境の再生 |
事業主体 |
アサザプロジェクト |
内 容 |
護岸工事や淡水化、
開発や汚水の流入によって損なわれてきた霞ヶ浦の環境を改善するため、 地域の市民団体、 学校、 農協、 森林組合等が協力してプロジェクトをつくり、 アサザという植物を湖岸に植えることで砂浜を形成し、 湖沼環境の復元に取り組んでいる。 |
事業費概算 |
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類似の事例
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事 例 名 |
商店街で取り組むリサイクル活動 |
事業主体 |
早稲田商店会 |
内 容 |
商店街が積極的に資源の回収拠点を設け、 リサイクル活動を推進。 早稲田ではエコステーションに空き缶回収機、 ペットボトル回収機などのほか福祉作業所のアクセサリーなども販売、 多様な展開を進めている。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
複数の生協による共通びんの利用 |
事業主体 |
びん再使用ネットワーク |
内 容 |
生活クラブ生協など4生協が共同で、 共通のリターナブルびんを開発、 ワンウェイ容器の使用を削減して容器ごみの減量化に取り組む。 現状の容器包装リサイクル法では、 リターナブル容器が冷遇される面もあり、 新しい制度提案も模索している。 |
事業費概算 |
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類似の事例
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事 例 名 |
化学物質過敏症患者保養施設の整備 |
事業主体 |
化学物質過敏症支援センター |
内 容 |
シックハウスなどによる化学物質過敏症患者には化学物質の少ない環境での転地療養が欠かせないが、 現状は全く不備であるため保養施設・ゾーンの整備が求められる。 化学物質過敏症支援センターでは北海道旭川市に無償で提供を受けた土地に保養施設の建設を計画している。 |
事業費概算 |
年間2,000万円程度 |
類似の事例
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事 例 名 |
環境共生型住宅の建設 |
事業主体 |
東京都世田谷区 |
内 容 |
深沢環境共生住宅は、 都営住宅の改築・区移管に伴って構想、 中庭にはビオトープゾーン、 屋上や壁面の緑化の他、 バルコニーには雨水貯蔵タンク、 太陽熱温水機や生ごみの共同コンポスターなども設置。 高齢者のデイケアセンターも併設されている。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
事 業 主 体 |
内 容 |
節水型機器導入への補助 |
松山市など |
風呂水吸引ポンプ付き洗濯機やシングルレバー栓などの導入費用の一部を補助。 |
建築物の省エネ構造化に関する補助・融資 |
多数 |
外壁・屋根・床・窓の断熱、 日射遮蔽、 自然採光・通風に関する融資、 利子補給を行う。 |
低公害車の貸付、 融資、運送事業 |
東京都北区など |
運送用トラックとして低公害車を導入し、 運送事業を行ったり、 事業者に対し貸与や融資を行う。 |
透水性舗装による雨水の地下透過 |
多数 |
道路整備の際の透水性舗装により雨水を地下浸透させ、 下水の負荷を減少させるとともに道路の表面温度を低下させる。 |
フリーマーケット |
多数 |
市民に出店を呼びかけ、 家庭の不要品などを売りに出してもらい再使用を促す。 |
学校ビオトープ |
神戸市・鹿の子台小学校 |
ニュータウンの中心地の学校で、 玉石を積んだ多孔質環境の池を中心に野鳥や昆虫の誘致ゾーンを設置。 |
国の主な関連予算
水源涵養林の保全に対する補助 (林野庁) |
192.9億円 |
環境共生住宅市街地モデル事業 (建設省) |
300億円 |
2. 自然エネルギー
広くは前述の環境共生というテーマに入りますが、エネルギー供給のあり方については、これまでの大規模集中的な供給構造から、環境への負荷が少ない小規模分散型のエネルギーを求める声が強まっており、様々な取り組みが各地で行われていることから、独立したテーマとして立てました。
事 例 名 |
風力発電+地元への電力供給+売電事業 |
事業主体 |
山形県立川町 |
内 容 |
95年に日本で最初の風力買電会社を設立し、 地元に電力を供給、 2000年までに26基の風力発電機を増設し、 町内の全電力を風力発電でまかなう計画を持つ。 同時に風をキーワードとしたまちづくり 「風車村構想」 が進められ、 全国の注目を集める。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
北海道留萌市等多数 |
事 例 名 |
公共施設への雪冷房システムの導入 |
事業主体 |
新潟県安塚町 |
内 容 |
豪雪地帯であることを逆手にとって、 冬の間雪を保存、 夏の冷房の熱源として、 高齢者施設や交流施設等の公共施設に供給している。 また雪冷房システムを核に、 太陽光発電や太陽熱供給などの複合的エネルギー供給システムの開発と普及をめざす。 |
事業費概算 |
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類似の事例
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事 例 名 |
小水力発電+風力発電等自然エネルギーの複合的導入を推進 |
事業主体 |
熊本県坂本村 |
内 容 |
風力発電、 太陽光発電、 小水力発電、 地熱エネルギーなど複合的に自然エネルギーの導入を計画している。 現在はNEDOの事業で村の山頂部での風況調査を実施、 段階的に導入していく計画。 |
事業費概算 |
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類似の事例
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東京都村山浄水場が小水力発電を導入 |
事 例 名 |
下水汚泥のメタン発酵で発電+燃料電池 |
事業主体 |
横浜市 |
内 容 |
11ヵ所の下水処理場からの汚泥を2ヵ所に集約し、 メタンガスによる発電を行う。 発生した電気の8割を自家消費、 残りは買電。 97年にはメタンガスを使った燃料電池の発電の試験も行っている。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
小規模家庭用バイオガスシステムの導入 |
事業主体 |
小川町自然エネルギー研究会 |
内 容 |
埼玉県小川町の霜里農場で生ごみを発酵させ、得られたメタンガスを家庭用燃料として利用するプラントを設置、太陽温水器も導入し、生活と生産に必要な熱源を自給している。同研究会では、上記システムを環境庁の地球温暖化対策地域モデルプロジェクトに提案中。 |
事業費概算 |
1基3,000~4,000万円程度 |
類似の事例 |
山形県小国町の農場等 |
事 例 名 |
市民共同発電所 |
事業主体 |
足元から地球温暖化を考える市民ネット・えどがわ |
内 容 |
江戸川区の寺院の屋根に市民融資の拠出金 「太陽瓦寄進」 や、 補助金などによって太陽光発電パネルを設置、 「市民立江戸川第一発電所」 が99年7月に完成、 寺院の自家消費分以外の余剰電力を買電している。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
太陽光・風力発電トラストの事例等多数 |
事例名 |
グリーン電気料金 |
事業主体 |
北海道グリーンファンド |
内容 |
月々の電気料金に5%を上乗せして 「基金」 をつくり、 市民の手による自然エネルギー発電所づくりに運用する仕組み。 グリーン料金分を節電すれば環境負荷を下げながら自然エネルギーの普及にも貢献できる。 現在市民共同の風力発電所の建設を計画中。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
事 業 主 体 |
内 容 |
共用電気自転車+太陽光発電 |
古河市 (整備中) |
商店街・駅・バス停の周辺などに太陽光発電で充電した共用電気自転車を配置して市民に利用してもらう。 |
地区再開発事業に伴う地域冷暖房の導入 |
東京都、札幌市 |
都心部の再開発などで下水熱や河川熱、 天然ガス等を用いた地域冷暖房を導入する。 |
林業+間伐材・流木・廃材等の炭化+木炭自動車燃料利用 |
福井県今立町など |
間伐材・流木や建設廃材を集め、 炭化し、 木炭自動車の燃料として利用する。 |
自然エネルギーの利用に対する補助・融資 |
長野県飯田市、埼玉県川越市など多数 |
太陽光発電、 ソーラーシステム、 風力発電などに対する補助・融資などを行う。 |
公用車へのバイオディーゼル車の導入 |
滋賀県野洲町 |
公用車に給食センターから出る廃食油を再資源化したバイオディーゼル燃料を使用した車両を使用、 今後は地域のボランティア団体などにもこうした車両の貸し出しを行う予定。 |
国の主な関連予算
太陽光発電システムの開発及び導入促進 (通産省) |
288.4億円 |
風力発電に対する支援 (通産省) |
37.6億円 |
新エネルギーの導入を行う自治体・事業者への支援 (通産省・自然エネルギーではないものも含む) |
193.5億円 |
中小水力発電に対する支援 (通産省) |
68.3億円 |
3. 農と緑の循環
環境と共生し持続可能な循環社会のあり方を考える上で「農」の果たす役割に多くの市民が注目しています。生ごみの堆肥化と安全な有機農産物の生産という循環、自然エネルギーの供給源としての可能性などの他、緑が失われた都市において市民が自然と触れ合う場としても大きな意味を持っています。また人と自然の関わりの中で維持されてきた里山などの保全もその延長線上にあると言えます。
事 例 名 |
燃料として利用可能な植物の栽培 |
事業主体 |
滋賀県環境生協 |
内 容 |
廃食油の軽油代替燃料 (バイオ・フューエル) へのリサイクルが可能になり、 それが 「イエロー菜の花エコプロジェクト」 に発展。 休耕田に菜の花を植え、 そこから菜種油を生産、 廃食油を軽油代替燃料にという地域のエネルギー循環をめざす取り組み。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
バイオフューエルプラントは全国で8ヵ所 |
事例名 |
生ゴミ堆肥化→農家へ供給→生産物を家庭へ |
事業主体 |
山形県長井市 |
内容 |
家庭の生ごみを堆肥化、 その堆肥を使った生産物を再び家庭で消費するという循環型社会システムが 「レインボープラン」。 97年より市の 「リサイクルコンポストセンター」 が稼働を開始、 堆肥を農家が利用、 家庭向けに出荷されている。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
農家の直接指導付き体験農園 |
事業主体 |
練馬区 |
内 容 |
区と農家が提携し、 農地の一部を市民に開放、 農家の指導付きで野菜づくりができる農園を設置。 現在5ヵ所あるうち、 白石農園の 「大泉 風の学校」 は1区画310平米で、 125区画もあるが、 講習付きということもあり、 すべて満杯と非常に人気が高い。 |
事業費概算 |
区の施設整備の補助金上限が810万円 |
類似の事例 |
調布市、 横浜市など |
事 例 名 |
パーマカルチャーとエコビレッジ |
事業主体 |
パーマカルチャー・センター・ジャパン |
内 容 |
豪のビル・モリソンがつくった持続的農業を基本とした循環型社会構築のためのデザイン体系がパーマカルチャー。 複合農業のほか、 地球への配慮、 人間に対する配慮、 余剰物の分配などの倫理と原則があり、 同センターは神奈川県藤野町の山村で実践に取り組んでいる。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
行政と市民の基金による都市緑地保全 |
事業主体 |
せたがやトラスト協会 |
内 容 |
区の拠出金と市民の賛助会員からの寄付で基金を設立、 世田谷区内の屋敷林や野川沿いの崖線の緑地などについて、 買い上げるのではなく所有者との間で保全契約を結ぶという形で地価の高い都市緑地の保全を図りながら、 広く一般にも公開しながら維持管理を続けている。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
里山保全+エコツーリズム拠点整備 |
事業主体 |
エコリゾート赤目の森 (三重県名張市) |
内 容 |
三重県名張市南部の丘陵地帯の里山に持ち上がったゴルフ場計画への市民の反対運動から、 計画への対案として示され、 市民による6,000万円以上の出資協力によって、 実現。 里山保全の拠点として 「エコリゾート」 をつくり、 里山の自然を体験する場として運営されている。 |
事業費概算 |
建設資金約2億円 |
類似の事例 |
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事 例 名 |
地域の自然や文化を資源として再発見する 「地元学」の実践 |
事業主体 |
西和賀文化遺産伝承協会 |
内 容 |
岩手県沢内村で活動する同会は、 豊かな自然と共生しながら生きてきた地域の文化を、 改めて地域の資源として発見する 「地元学」 に取り組み、 それらの記録や保存のほか、 それらを核としたグリーンツーリズムの推進を構想している。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
地元材を使った家づくり |
事業主体 |
東京の木で家をつくる会 |
内 容 |
東京の山の3割は後継者不足などで荒れている。 家を東京の木でつくることにより山を守り、 家づくりを循環の中で考えようと林業家、 製材社、 工務店などが共同で同会を設立。 林業や木を通して環境問題を考えようという主旨で 「東京の木から生活を考える会」 も組織している。 |
事業費概算 |
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類似の事例
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モクネット事業組合 |
事 例 名 |
事 業 主 体 |
内 容 |
有機・減農薬農園を自治体と生協で設置 |
兵庫県三木市 「環境共生型農園」 |
農業生産法人を設立、 生協がつくる食品リサイクル堆肥を使って有機・減農薬野菜などを生産。 |
クライガルテン (ちょっと大きめの市民農園) |
愛知県東海市など |
通常の一坪程度ではなく、 ドイツのクラインガルテンを範に50平米が一区画という市民農園。 |
開発にあたっての敷地内の環境配慮の助言指導 |
世田谷区、豊中市など |
敷地の緑化や透水性舗装など寒暖の差を緩和するような敷地内の配慮を促進するため、 開発に関する指導助言を行う。 |
農園付き団地 |
町田市農協 「農住団地ここち野」 |
団地とセットで農園を整備、 入居者に4~6平米ほどの区画を貸与する。 |
国の主な関連予算
地域住宅資材利用促進事業 (林野庁) |
4.7億円 |
古都及び緑地保全事業 (建設省) |
45.9億円 |
遊休農地解消総合対策事業 (農水省・市民農園以外も含む) |
6.6億円 |
集落基盤整備事業 (農水省・市民農園以外も含む) |
5.1億円 |
4. 公共交通
CO2排出や大気汚染の削減という環境との共生という面からも、都市部の自動車対策は重要な課題ですが、高齢社会を目前に、バリアフリーの交通システムの構築も急がれます。ここでは低公害、バリアフリーの視点で、公共交通の今後のあり方を示す事例を集めました。
事 例 名 |
共有自転車の配備等、自転車のまちづくり |
事業主体 |
秋田県二ツ井町 |
内 容 |
CO2排出の抑制を目的に、 車依存のライフスタイルの見直しの一環として、 自転車のまちづくりに取り組む。 具体的には、 放置自転車等を修理して誰でも使える 「共有自転車」 を町の7カ所に配備、 建設省の補助事業による自転車道の整備なども計画されている。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
茨城県古河市など |
事 例 名 |
コミュニティバス+パークアンドライド |
事業主体 |
武蔵野市 |
内 容 |
2路線のワンコインの小型バス 「ムーバス」 で商店街と住宅地を狭い停留所間隔で運行。 各所に 「ムーパーク」 という駐車場を設け、 中心部の渋滞対策としてパークアンドライドシステムも導入している。 |
事業費概算 |
約9,000万円 (98年度) |
類似の事例 |
三鷹市他多数 |
事 例 名 |
電気自動車による通勤相乗りシステム |
事業主体 |
神奈川県海老名市 |
内 容 |
実験段階だが、 電気自動車を共有化、 朝夕の通勤時間帯は通勤者がパークアンドライドに利用、 昼間は事業所 (実験では市役所) において使用するというシステム。 休日にはプライベート利用も可能。 車による環境負荷の低減のほか、 駐車場立地などへの対策も考慮している。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
ショップモビリティ (タウンモビリティ) |
事業主体 |
らくらくえんオフィス協議会 (広島市佐伯区) |
内 容 |
中心街の拠点で電動スクーターや車イスなどを貸し出し、 移動困難車の買い物や散歩を補助する試みで、 実験を経て昨年10月より電動スクーター5台、 車いす2台の貸し出しを行っている。 市民と商店街・企業、 行政も関わっての活動。 利用料金は 「お心付け」。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
柏市他、 中国・地域づくり研究会などが各地で実験 |
事 例 名 |
低床路面電車+パークアンドライドシステム |
事業主体 |
熊本市 |
内 容 |
障害者団体などの運動も受ける形で、 97年、 路面電車に全国初の低床車両を導入しバリアフリー化を進めるとともに、 パークアンドライドシステムを導入、 渋滞・環境対策など交通需要マネジメントにも取り組む。 |
事業費概算 |
19億3,000万円 (1999年度) |
類似の事例 |
広島市、 岡山市 (計画中) など |
事 例 名 |
ノンステップ小型バス+トランジットモール |
事業主体 |
金沢市 |
内 容 |
ワンコインのノンステップ小型バス 「ふらっと」 が2ルート、 道幅が狭くバスが通行できなかった住宅地と中心部を200m間隔のバス停で結ぶ。 一般車両は入れないアーケードの商店街にも乗り入れ、 トラジットモールの試みともなっている。 |
事業費概算 |
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類似の事例
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酒田市・高山市など |
事 例 名 |
高齢者・障害者の移送サービス |
事業主体 |
みたかハンディキャプ運営委員会 |
内 容 |
高齢者・障害者など移動に制約のある人々に対し会員制で移送サービスを提供する市民団体。 現在7台の福祉移送用の車両を保有し、 東京都内の移動を補助している。 97年度は年間約4,600件の移送サービスを行った。 |
事業費概算 |
年間約1,700万円 (うち補助金が約800万) |
類似の事例
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NPOによるサービスは全国各地にあり |
事 例 名 |
事 業 主 体 |
内 容 |
住居地域への通過車両進入の抑制 |
名古屋・長根台地区など |
バリアフリーも含め、 人が歩きやすいまちづくりのために通過車両の進入を抑制、 道路等の改造を行う。 |
低床型路面電車+パークアンドレールライドシステムの導入 |
岡山市、高知市など |
郊外に駐車場を設け、 市街地には路面電車等軌道系の公共交通に乗り換えて移動。 |
パーク&バスライドシステム+バス優先レーンの導入 |
浜松市、宇都宮市など |
郊外に駐車場を設け、 市街地はバスに乗り換えて移動。 市街地にはバス専用や優先レーンを設ける。 |
ロードプライシング+自動料金徴収システム |
東京都 (検討中) |
自動料金徴収システムによる一定地域内の通行料金徴収 |
共同輸配送システム+通信システム |
川崎市 |
中山間地への宅配便、 都市での商品の配送など複数の企業が共同で行う。 |
都市型レンタサイクル |
練馬区 |
交通困難地域の補完手段として区が主要ポート間で乗り捨て可能なレンタサイクルを提供する実験を行った。 |
自転車乗り入れ可能な公共交通 |
熊本電気鉄道、日本中央バス等 |
自転車のまま乗り入れ可能な鉄道やバス。 環境・渋滞対策等にも有効。 |
国の主な関連予算
自転車歩行車道の整備 (建設省) |
1,137億円 |
LRT等のバリアフリー化に対する補助 (運輸省) |
2億円 |
ノンステップバス等の導入に対する補助 (運輸省) |
16.3億円 |
バス利用促進等総合対策事業 |
16億円 |
5. 高齢者生活支援
介護保険の導入で、高齢者の生活を支える仕組みの充実が期待されていますが、保険メニュー以外の部分や、「要介護」以前の支援などについては、市民の自発的な取り組みによって支えられている部分が大きいと言えます。高齢化が進む社会をどう豊かにしていくのか、地域のニーズから発想する柔軟さが求められているのではないでしょうか。
事 例 名 |
宅老所の設置 |
事業主体 |
多数 |
内 容 |
介護保険の対象となったグループホームは基準が厳しく、 対象も痴呆性高齢者に限定されるが、 「宅老所」 は、 高齢者に限らず障害者なども受け入れが可能で、 民家の改造等でGH的サービスを提供する取り組み。 |
事業費概算 |
年間500万円程度の予算規模が多い |
類似の事例 |
今市市や滋賀県などが補助事業 |
事 例 名 |
テンミリオンハウス |
事業主体 |
武蔵野市 |
内 容 |
市民からの提案による 「共助」 の取り組みに対し、 自治体が認定し1,000万円を上限に運営の補助・支援を行う。 99年11月、 第一号の高齢者向けのデイホーム 「川路さんち」 を始めとして現在4つのデイサービス提供施設が活動中。 |
事業費概算 |
1事例につき上限1,000万円 |
類似の事例 |
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事 例 名 |
空き教室と学校給食で高齢者デイサービス |
事業主体 |
調布市 |
内 容 |
小学校の空き教室をデイサービス施設に改造、 学校給食を昼食に提供する 「ふれあい給食」 事業を96年11月から行っている。 前後にはレクリエーションや体操などを行うほか、 放課後は児童との交流なども行う。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
空き教室の利用は多数 |
事 例 名 |
コレクティブハウジング |
事業主体 |
兵庫県など |
内 容 |
神戸市長田区の県営 「片山住宅」 など、 個室と共有スペースを持った高齢者を対象とした共同住宅。 同居の安心とプライバシーの尊重との両方を考慮した高齢者の新しい住まい方として各地に広まっている。 |
事業費概算 |
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類似の事例
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NPO 「下宿屋バンク」 ほか、 多数 |
事 例 名 |
事 業 主 体 |
内 容 |
財産管理等に関する相談事業 |
都道府県の社会福祉協議会など |
成年後見制度より日常生活に身近な金銭管理等のサービス |
配食サービスの拡充 |
多数 |
高齢者等への食事の宅配サービス。 規模も大きくなると調理場等の施設も必要となり、 補助等が求められる。 |
介護予防対策 |
仙台市など |
高齢者が 「要介護」 状態になるのを予防する機能訓練などの事業。 |
介護保険利用の住宅改修代金の立替を免除 |
目黒区など |
介護保険を利用して自宅をバリアフリー化する場合、 1割の自己負担分以外も一時的に立て替える必要があるが、それを自治体が業者と協定を結び免除 |
高齢者による高齢者の住宅改修事業 |
DIYヘルプ |
我孫子市で高齢者による、 介護保険が適用されない自立生活継続のための住宅改修事業を行っているNPO。 |
ハイブリッド自転車購入助成 |
酒田市など |
高齢者の外出等を支援するため、 ハイブリッド自転車購入費用の一部を助成。 |
賃貸物件を利用したデイサービス施設等の拡充 |
デイホーム代沢など民間施設 |
地価の高さゆえ整備が進まない都心部などでの対応として必要。 発想の転換で、 むしろ支出も抑えられる。 |
特養ホームなど施設やサービスの評価事業 |
高齢者福祉サービス評価研究会等NPO |
サービス内容を利用者が判断するための 「評価」の制度化 |
介護オンブズ等相談機関 |
多数 |
介護サービスに関わる問題などにたいする相談機関等の充実 |
国の主な関連予算
民家改造型グループホームへの支援 |
1施設につき初年度設備費500万円を補助 |
6. 子育て・教育
高齢化とともに少子化も大きな問題となっています。核家族化の進行により子育てに関わる負担のほとんどを孤立した親が引き受けざるを得ないといった状況も少子化の遠因と言えます。子育てを社会、コミュニティの仕事として再構築することが求められています。さらに、いじめや不登校、学級崩壊など学校教育をめぐる問題が山積する中で、地域がつくる学校という発想も生まれ始めています。
事 例 名 |
ファミリーサポートセンター |
事業主体 |
狭山市 |
内 容 |
育児援助を希望する人と、 利用したい人で構成する会員組織を作り、 会員相互で育児援助を行う。 実施主体は市だが、 福祉公社に委託し、 住民の相互援助活動という視点を重視、 働く女性の支援にとどまらず、 育児を通じてのコミュニティづくりを志向している。 |
事業費概算 |
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類似の事例
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上越市など |
事 例 名 |
公立保育所の24時間対応 |
事業主体 |
金沢市 |
内 容 |
市内に一つだけで平日に限定、 定員は1日5名程度だが、 夜間勤務をする保護者の子どもを24時間体制で受け入れている。 保護者の勤務形態が多様化する中で、 夜間の保育は私立や無認可の保育所に委ねられる現状の中で、 意欲的な取り組み。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
児童虐待相談窓口・自助グループ |
事業主体 |
子どもの虐待防止センター |
内 容 |
児童虐待防止法が成立し、 通報に関してはある程度の対応の充実も期待されるが、 虐待をした親へのケアプログラムについてはNPOと一部児童相談所が対応している程度。 同センターは電話相談のみならず、 数少ないそうした親たちの自助グループ 「MGC」 も運営している。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
薬物依存等の自助グループなど |
事 例 名 |
チャータースクール |
事業主体 |
湘南に新しい公立学校を創り出す会など |
内 容 |
米でさかんな制度で、 達成すべき教育目標を示し、 教育委員会などからのチャーター (免許) を受け、 児童・生徒数に応じた公費が支払われる学校。 目標達成以外の制約はないが、 達成できなければ免許は取り消される。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
フリースクール |
事業主体 |
東京シューレ |
内 容 |
フリースクールの先駆け的存在。 不登校の子どもたちの居場所として、 子ども、 親、 スタッフなどがプログラムや行事を意見を出し合って決めながら運営。 現在都内3カ所のほか、 ホームシューレ、 ログハウスシューレなど様々な形で不登校のこどもたちの支援を行っている。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
事 業 主 体 |
内 容 |
夜間保育の充実 |
多数 |
国の認可を受けて夜間保育を実施している施設は全国で40カ所程度。 拡充が必要。 |
学童保育 |
多数 |
児童福祉法改正で市町村が整備すべき事業と位置づけられたものの、 未だ公設は半数程度という学童保育施設の充実。 |
転勤族の妻の子育て情報サポート |
JUNCTIOON |
転勤族の妻を対象に、 子育てサポート等、 様々な情報の相互提供を行っている市民グループ。 |
LD (学習障害)対策 |
文部省のモデル事業、NPOなど |
読み書きなど基礎学力の一部につまづくLD児のための相談やフリースペースなどの設置。 |
スクールカウンセラーの配置 |
文部省の事業のほか仙台市など単独事業も |
不登校・いじめ問題等への対応として、 臨床心理士などをスクールカウンセラーとして学校に配置。 |
コミュニティスクールとネーチャリングコミュニティ事業 |
市川市教育委員会 |
学校主体で地域での自然学習などを行うCSと、 地域主体で子ども達を受け入れるNCの二本立てで地域に引かれた教育をめざす。 |
国の主な関連予算
保育所施設整備費(厚生省) |
1,436億円 |
保育所運営費(厚生省) |
3,796億円 |
延長保育への補助(厚生省) |
174億円 |
乳児保育促進事業(厚生省) |
42億円 |
7. 自立・共生
高齢者を支え、子育てを支援するということも含め、市民が求める新しい社会基盤は、多様な人々が自立し共生することを支え合うことに役立つものであると言えます。障害を持つ人、外国人、さらにはホームレスになることを余儀なくされた人も、ともに自立し当たり前に生きていける社会に向けても市民の自発的な取り組みが進んでいます。
事 例 名 |
知的障害者の就労支援 |
事業主体 |
電機神奈川福祉センター |
内 容 |
電機連合関連の同センターでは、 神奈川県内の各地に地域就労支援センターを設置し、 知的障害者の雇用に二の足を踏む企業に対し 「特例子会社」 制度の利用を提案、 すでに9社のほとんどの社員が知的障害者という特例子会社が設立されている。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
インターネットを活用した障害者の在宅勤務等の支援 |
事業主体 |
プロップステーション |
内 容 |
インターネットの普及により、 在宅での就労が容易になり、 障害者の就労の可能性も高まっている。 プロップステーションでは障害者を対象にコンピュータセミナーなど、 ネット利用を前提としたスキルアップに特化した活動で障害者の就労支援を行う。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
杉並区 「チャレンジ」、 UNDO、
Asks NetworkなどNPO |
事例名 |
ホームレスの自立支援 |
事業主体 |
自立生活センターふるさとの会 |
内容 |
山谷地域のホームレスの自立支援にむけて、 デイサービス的な 「共同リビング」 や宿泊所事業、 自立時の保証人引き受け、 就労保障・雇用創出、福祉関連産業従事者の増加による地域の活性化にも取り組む |
事業費概算 |
1,500万円 (宿泊所事業・1999年度) |
類似の事例 |
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事 例 名 |
ひきこもり対策 |
事業主体 |
青少年自立援助センター |
内 容 |
厚生省は「ひきこもり対策」として2000年度1億円の事業予算を計上しているが、対象は18歳未満。しかし長期化し成年になってもひきこもっている場合も少なくない。NPOの同センターではそうした方も対象に共同生活や共同作業の場を設け、自立を支援している。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
神奈川県青少年総合研修センター、一部保健所、NPOなど |
事 例 名 |
公的保証人機構による入居差別の解消 |
事業主体 |
川崎市 |
内 容 |
高齢者・障害者・外国人などとの住宅賃貸契約にあたって、家賃滞納・入居後のトラブルなど賃貸人の不安の解消のため、公的に保証人機構を整備し、入居差別の解消に役立てる。発端は市が設置した外国人市民会議の提言によるもの。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
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事 例 名 |
外国人労働者の支援活動 |
事業主体 |
APSF(Asian People's
Friendship Society) |
内 容 |
外国人労働者の労働災害や賃金未払いなどの労働問題、医療相談、在留特別許可、ビザその他の生活相談などの窓口活動を中心に、様々な支援活動、政策提言活動などを行っている。昨年は20名もの"不法"滞在者が名乗りをあげ、在留特別許可を求める全国キャラバンなどを行った。 |
事業費概算 |
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類似の事例 |
ラルクなど |
事 例 名 |
事 業 主 体 |
内 容 |
障害者を対象にした乗馬会 |
東京障害者乗馬協会 |
欧米では広く行われている障害者の乗馬療法に取り組む市民団体。特に知的障害者の積極的コミュニケーションの契機に。 |
聴覚障害者の聴講支援 |
関東学生情報保障者派遣協会 |
聴覚障害を持つ学生が講義を受けることを支援するため、手話通訳や要約筆記者を派遣する市民団体。 |
障害者の自立生活支援 |
各地の自立生活センターなどNPO |
障害者が自立して生活するための住宅の確保やヘルパー等の充実。 |
精神障害者の自立・社会復帰支援グループホーム |
多数 |
病院等施設から出て社会復帰をめざす精神障害者の自立や社会復帰をめざすグループホーム等の充実。 |
障害者施設オンブズマン |
東京都など |
障害者施設の第三者による「評価」制度。 |
難病在宅患者へのホームヘルプサービス |
芦屋市など |
高齢者・障害者福祉の対象にならない特定患者の在宅療養者に対するホームヘルプ事業。 |
DV対策のための施設の整備 |
みずらなどNPO |
DVの被害に遭っている当事者の相談や一時避難施設の整備。 |
他言語表示可能なブラウザでインターネット無料閲覧 |
渋川市など |
図書館に無料でインターネットを利用できるパソコンを設置、中国語やハングルにも対応したブラウザで外国人のアクセスも考慮。 |
各種言語での地域FM放送 |
FMわいわい(神戸市) |
ハングル、ベトナム、タガログ、スペインなど8カ国の言語で地域情報の発信を行っている。 |
国の主な関連予算
障害者雇用機会創出事業(労働省) |
7億円 |
知的・精神障害者の就労のジョブコーチによる人的支援(労働省) |
1.5億円 |
精神障害者の地域雇用支援ネットワークによる自立支援(労働省) |
1億円 |
ホームレス自立支援事業(厚生省) |
9億円 |
ひきこもり対策(厚生省) |
1億円 |
本資料は、「市民がつくる政策調査会」がとりまとめたデータをもとに、西田穣氏と自治労政策局が共同討議をして、同調査会の橋本事務局次長が、整理したものである。
市民がつくる政策調査会
事務局・〒102-0083 東京都千代田区麹町4-5第7麹町ビル66号
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