N P O の 雇 用

特定非営利活動法人 NPO事業サポートセンター 
事務局長 田中 尚輝


1. 仮 説

(1) アメリカとの比較(GDP比)
   (GDP × 6% × 30%)÷ 500万円 = 180万人
   GDP = 500 兆円
   6 % = アメリカのNPOが担うGDP
   30% = 総事業高にしめる人件費比率
   500万円 = NPOの平均(期待)賃金

(2) アメリカとの比較(労働力人口)
   6,000万人 × 7% = 420万人
   6,000万人 = 日本の就労人口
   7% = アメリカのNPOの就労者数(ボランティアについては常勤換算)

 

2. NPOの仕事の特徴と自治体

(1) 労働集約型・ヒューマンサービスが得意

(2) 独自事業
   介護保険 現状   300団体のNPO法人が600事業所で活動
  平均2人の常用雇用 = 1,200人、10人のパート雇用 = 6,000人  計7,200人

(3) 自治体からの受託事業など
   (NPOと行政のパートナーシップの在り方に関する研究報告・自治省・平成12.8.4)
① NPOへの委託
 ● NPOが地方公共団体の委託を受け、公共的サービスを提供する(「舞岡公園を育む会」へ横浜市が管理運営委託)
 ● NPOが、地方公共団体の目が届かない、または先駆的なサービスを提供する
   「かながわ女のスペースみずら」が行う、女性相談(在日外国人含む)緊急一時保護
 ● NPOと地方公共団体とが同形態の公共的サービスを提供する
   介護保険
  「しみんふくし滋賀」が行う、地域のお年寄りへのホームヘルプサービスの提供
② NPOが広い意味でコミュニティ活動を主体的に行う
 ● 「地域市民ネットワーク」が行う、地域社会での子どもの教育
 ● 「保土ヶ谷宿400倶楽部」が行う、地域の歴史を活かしたまちづくり活動
③ 住民のコミュニティ活動・ボランティア活動をNPOが支援する
  「まちづくり情報センター・かながわ」「浜松NPOセンター」が行う、地域住民による各種NPO・ボランティア活動の横断的な支援

(4) 住民参加型行政を推進するにあたってNPOがコーディネーターとなる
  「大阪ボランティア協会」が行う、市の条例に基づいて設置された、非営利市民活動の具体的な促進施策、協働施策の立案を行う促進委員会のコーディネート活動
  「玉川まちづくりハウス」が行う、地域住民によるまちづくり活動の支援(住民と行政の橋渡し役、ワークショップの企画運営などを通じた地域住民の調整・取りまとめ)

(5) NPOが、地方公共団体、企業、住民などの共同事業体として活動を行う
  「グランドワーク三島実行員会」がめざす、行政、企業、住民などの地域総参加方式による環境改善運動

 

3. NPOの労働の可能性

(1) ヒューマンなサービス産業
(2) 労働の対価の安いもの(ボランティア参加を前提とした事業)
(3) 先進的・先駆的・実験的な事業

 

4. NPO労働の問題点

(1) 無償ボランティア、有償ボランティア、市民事業の区別
(2) 雇用関係とボランティア活動の領域
(3) 競合(ことに自治体、社会福祉協議会などとの関係)