1. 創設の目的
北海道の完全失業率は、2000年4月~6月、5.8%と前年同期比で1.2ポイント上回り、戦後最悪の状況が続いている。特に企業の人員整理・倒産などの理由による非自発的失業者が、99年度一年間で41,564人となり、道内の完全失業者が17万人に達するなど、現在の雇用情勢は容易ならぬものであることを端的に示している。なかでも再就職が特に難しい45歳以上層は、6割近く占めており、有効求人倍率も極端に低く、極めて深刻な状況にある。
一方で、今春卒業予定の道内の高校生の就職内定状況は、本年1月末現在で求職者数12,477人に対して就職内定数7,673人と61.5%にとどまっており、深刻な事態である。この様な状況から新たに新卒未就職者が発生することや企業のリストラ計画が増加していることから、更に失業者が増加することが懸念されている。
こうした状況の中、連合組合員のなかにも雇用不安が増大しており、雇用の安定・確保に向けた労働組合の取り組みに対する期待が高まっている。
連合北海道は、拓銀の経営破綻(97年11月)以降、雇用不安の解消や雇用創出に向けて、民主党北海道や連合北海道国会議員団会議・道議会議員団会議と連携し、「北海道総合経済・雇用政策推進本部」を設置し、北海道5万人雇用創出の実現のため、対政府・対道交渉を行うなど国や道にその実行を迫っているが、いまだ問題解決されていない。
労働運動の原点である雇用の安定・確保にむけて、国や道に対して雇用創出政策の実現を迫る一方で労働組合の相互扶助の精神で労働組合=組織労働者が今こそ、額に汗して働く仲間と連帯し、失業を余儀なくされた人たち、希望を持って学枚を卒業し、職につけないでいる子供たちの苦しみや不安に耳を傾け、自らの痛みとして共有しあい、再就職支援・未就職者支援のための活動・運動を起こすことが、連合の社会的使命である。
連合北海道加盟組合員30万人の1人ひとりの力を寄せ合い、連合北海道結成10周年と2000年紀(ミレニアム)という節目を契機に労健組合=組織労働者の新たな社会貢献活動の一環として「働く仲間のミレニアム基金」を創設し、その基金を活用し、失業者や未就職者に対する就職支援活動をはじめ、中小・未組織職場における不当労働行為への支援などを柱とするミレニアム支援事業をスタートさせる。
2. 「ミレニアム支援事業」の事業内容
(1) 介護サービス労働従事資格取得支援事業
企業倒産やリストラによる失業者に対する再就職支援、新卒未就職者への支援事業として、ホームヘルパー2級資格取得講座開設、受講料を助成。
(2級修了者で1級取得希望者には更に援助)
講座は、全労済北海道地方本部、ホームヘルプサービスセンターに委託講習で実施。第1次は、29名全員修了、現在1級課程を受講中。
(2) 労働組合書記局職場体験事業(構想段階)
企業倒産やリストラ等によって、職場を失った方や高校・短大・大学など卒業者で未就職者を対象に労働組合の書記局の職場体験研修を実施、体験研修期間6ヵ月間を通じて求職活動を支援していく。
研修期間中は、連合北海道の臨時雇用として賃金(研修手当)を支給、雇用保険にも加入させる。
(3) 労働なんでも相談・カウンセリング事業(既在体制の強化)
失業・再就職希望者に対するカウンセリングおよび進路指導、教育訓練給付等の申請指導。
連合北海道結成以来、フリーダイヤルを設置し、労働なんでも相談を受けているが、カウンセリングおよび進路指導の体制強化を図る。道内14地協に組合員OB等の相談員の配置、労働組合づくりの支援活動に取り組む。(未実施)
(4) その他、ミレニアム基金創設の趣旨にそった事業
3. 「働く仲間のミレニアム基金」の創設
(1) 基金の創設と目標
ミレニアム基金については、深刻な今日の雇用問題に対する労働組合=組織労働者の相互扶助精神に基づく、新たな社会貢献を目的として、働く職場を失い就職活動に悩んでいる人や新卒未就職への就職支援活動や労働組合づくり支援などに取り組む財源とするものである。
基金の造成は、連合北海道加盟組合員・家族をはじめ、広く道民にも呼びかけるが、退蔵テレホンカード・商品券などの拠出による、個人カンパを基本に初年度、1億円以上を目標に取り組む。
例 退蔵テレホンカード50度数1枚提供で
500円×0.75×30万人=1億1,250万円
(2) 基本の資金
ミレニアム基金は、連合北海道ミレニアム事業のために使用するものであって、他には使用しない。
*管理・運営規則を定め、事業を展開している。
4. 事業の今後の展開
(1) 介護労働従事資格取得支援事業については、今のところ、札幌圏を対象に実施しているが、今後、地域での事業展開も検討中。
(2) 労働組合書記局の職場体験事業については、今後のミレニアム基金の造成状況との兼ね合いで次年度には、実施できるよう準備を進めたい。
(3) 労働なんでも相談・カウンセリング事業の既存体制の強化についても、(2)と同様である。 |