Ⅰ 財政規模
本市の歳入歳出総額の推移を見てみると、平成5年度に400億円に達した後、平成8年度から減少傾向に転じた。平成5年度のピークについては、国体関連予算をはじめとした投資的経費の増大が主な原因と考えられる。
全国的に見ても、平成5年度は、投資的経費のピークの年であり、その後縮小に転じている。これは、国庫補助事業は抑制するが、地域経済育成のため、地方単独事業を伸ばさなければならないという自治省の政策によるものである。
平成5年度の歳入増の要因としては、地方債が大幅に伸び、副次的に国庫支出金(補助事業)が伸びたことによるものだといえる。
Ⅱ 収支構造
実質収支については、昭和62年、63年度に大幅な黒字を出したものの、平成元年から平成4年にかけては、財政調整基金や減債基金の積み立てにより黒字幅が縮小したものと思われる。平成5~7年度にかけては、黒字幅が再度拡大し、平成9年度以降急激に黒字幅が縮小している。
単年度収支及び実質単年度収支については、平成7年度から3年連続でマイナス(赤字)となっており、今後の推移が不安視される。(バブル後の積立金の取崩しが影響しているとも考えられる。)
Ⅲ 財政構造
経常収支比率については、類団の増減にほぼ並行に推移してきている。平成2年度までの低下傾向から、平成3年度以降は再度上昇してきている。これは、平成2年度までは大幅な黒字で経常一般財源が大きかったこと、平成3年度以降は義務的経費、物件費、補助費等が大きくなったことが原因と考えられる。比率としては、平成9年度で78.9%と底であった平成2年度から見て11.4%も上昇している。
個別に見ると、人件費の経常収支比率は、これまで30%前後で推移してきており、類団と比較してもやや低めである。
公債費の経常収支比率は、平成8年度で14.9%と平成2年度比4.6%の増となっており、平成5年度以降、類団のレベルまで急速に追いついてしまったと言える。この比率の目安は20%といわれているが、今後建設事業の選択的抑制や繰上償還、減債基金の積立に向けた努力が必要である。
起債制限比率については、15%を越えると黄信号、20%を越えると赤信号といわれているが、平成4年度以降上昇している。当市の場合も平成5年度以降急速に高くなってきている。(平成8年度は11.3%、類団10.3%)今後の推移に注意が必要である。
地方債現在高は、平成7年度に400億円を超え、平成8年度には約500億円となっており、平成9年度で標準財政規模の2.16倍となっている。ここ数年の地方債への依存度の高まりは注目すべきものがある。同様に長期債務となる債務負担行為額の伸びについても詳しく調べる必要がある。
Ⅵ 総 括
昭和63年度以降の積極財政下で大規模な公共投資が続き、市長の交代毎に財政規模が膨らんできている。しかし、頼るところが地方債や国庫支出金など、使い方を誤ると危険な収入に依存してきている。起債制限についてはまだ低く、財政状況の流れとしては全国的な傾向と同様であるが、危険信号が点灯している状況である。
平成10年度には、財政危機宣言がだされた当市だが、前市長及びその後を継いだ新市長により、現在、当局的な事務事業の見直しがなされている。
特に平成14年度を目標としていた対10年度比30人の人員削減が、平成12年度当初で既に達成されていることに顕著に現れているように、組合員に対する攻撃が極めて厳しくなりつつある現在、組合員の生活を守るためにも、バランスのとれた計画的な財政運営が強く求められており、組合側からの財政分析、又は政策提案が重要になってきていると感じられる。
表1 基本指標
表2 歳 入(実数/伸率)
表3 地 方 税
表4 性質別歳出
表5 目的別歳出
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