1. 岡崎市の概要
岡崎市は、東経137度10分、北緯34度57分にあって、東京圏、関西圏とともに国土中枢軸の形成をめざす愛知県のほぼ中央部に位置している。また名古屋大都市圏の東部圏域を形成する西三河の中核都市、そして新伊勢湾都市圏の拠点都市として重要な役割を担っている。面積は、226.97km2で、地形的には約3分の2を占める三河高原に連なる丘陵地と矢作川・乙川流域に広がる平野部からなっており、美しい自然景観と環境に恵まれている。交通網の鉄道は、JR東海道本線が市の南部を、名鉄名古屋本線が市の中心部をほぼ東西に通過し、愛知環状鉄道線が南北を結んでいる。道路網は、国道1号が東西に横断し、国道248号が南北を縦貫し、本市の幹線道路としての役割を果たしている。また、市の中央を縦断する東名高速道路の岡崎インターが、市のほぼ中央部に設置され、東西交流の要衝となっている。
岡崎は、古くから東西交通の要衝として栄えたまちであり、江戸時代には、五万石の城下町、東海道五十三次の宿場町、そして矢作川の舟運や三州中馬の集散地として発展した。明治22年には町制を、大正5年7月には名古屋、豊橋についで県下3番目の市政を施行し、順調に発展を続けた。市政施行当時、37,639人であった人口も、平成元年4月には30万人を達成し、名実ともに西三河の中核都市として発展を続けている。
現在、輸送用機械器具関連を中心とした近代工業をはじめ、繊維・食品・石製品などの伝統地場産業があり、調和のとれた生産都市として内陸工業地帯の一翼を担っている。また、多くの史跡と文化財に恵まれた観光都市として知られており、「明るく、住みよい、豊かな岡崎市」をめざして、絶え間ない努力が続けられている。就業人口については、産業構造の変化により、第1次産業の就業者は減少し、製造業については、労働生産性の向上などによって、大きな増加は見込まれない。また、経済のソフト化・サービス化の進展、高度情報化社会の到来により、第3次産業の割合が増加すると予測される。
総生産は、産業別に見ると、第1次産業の総生産については、今後とも減少傾向が、一方第2次産業は堅実な伸びが予測される。また第3次産業はサービス業の成長を中心に高い伸びを示すものと予測される。農業においては、水稲中心に営まれてきたが、平野部の都市近郊地域では、立地条件を生かした、なす、いちごなどの施設園芸が、中山間部ではぶどうの観光農業が盛んである。また、農産物のブランド化や経営の近代化など将来への布石をはかっている。今後は、バイオテクノロジー技術の導入や1.5次産業化など高付加価値化をはかり、成長する分野も考えられるが、経営耕地面積の減少や農業従事者の減少傾向などもあり、農業粗生産額については、全般的に逓減で推移すると予測される。
岡崎市事業区域図
2. 情報化に係る基本構想
(1) 情報化基本計画の策定までの経緯
岡崎市においては、古くから行政事務の情報化について取り組んでおり、昭和45年の事務機械高度利用委員会発足以来、住民記録など数多くのオンラインシステムの構築に努め、昭和63年には各システムをネットワークする「庁内LAN」を完成させています。近年においては、平成4年の都市計画基本図(地形図)デジタルマッピング化を始めとして、現在までに公図、道路台帳、下水道台帳、農業分野においては、農業振興地域、農用地区域、農業用施設位置、農業用水管等の様々なデータがデジタルマッピング化されるなど、「行政の情報化(OA化)」が進められています。
また、本市の基本構想「明るく、住みよい、豊かな岡崎市」の実現を高度情報化技術の活用により支援するため、平成元年に「岡崎市地域情報化構想」を策定、平成2年には構想を推進するための「岡崎市地域情報化基本計画」を策定、同年テレトピアモデル都市の指定を受け、さらに平成8年にその見直しを行い「岡崎市地域情報化計画」を作成、同年に行政情報拠点施設として「岡崎市情報ネットワークセンター」がオープンするなど、積極的な地域情報化を推進しています。
3. 情報化基本計画の概要
(1) 岡崎市地域情報化構想
情報通信ネットワークの整備による都市機能の強化を進め、新しい産業展開を促す学術研究開発機能と立地基盤の整備、居住環境の整備充実を図ることで、21世紀の高度情報化社会に対応できる魅力ある都市づくりの実現をめざす構想であり、次の3つの柱から構成される。
① 情報城下町構想
情報が稼働することにより生活文化に関する情報の価値を高め、その情報の検索・管理・運用が効率的に行われることで、情報や人の交流を活発にする。
② 情報宿場町構想
集積された情報の分類、整理、加工機能を持つことで、都市の情報集積機能を強化する。具体策としては、ソフト産業、シンクタンクやソフトウエア企業、教育センターの育成を図る。
③ 東海情報街道構想
ネットワーク化の進展により、他の情報拠点都市との間の連携ができ情報の共有化、統合化を図ることで、情報の広域的有効活用を可能とし、地域活性化の促進を図る。
(2) 岡崎市地域情報化基本計画
地域産業の活性化、市民生活の向上を図ることにより、「明るく、住みよい、豊かな岡崎市」の実現をめざす。このために、「誰でも、いつでも、どこでも、しかも容易に迅速にかつ安い値段で必要な情報が入手できるシステム」を構築することを基本方針としている。計画は次の7つの柱で構成されている。
① 地域特性、情報化に取り組んできた実績を踏まえた実効的な計画を策定する。
② 情報通信ネットワーク、拠点施設等の整備を積極的に行う。
③ 情報提供サービスの高度化・総合化など新しい情報システムの構築、拡充及びこれらの活用施策の展開をする。
④ 生産工程の効率化など地域産業の情報化促進と情報関連産業の振興を図る。
⑤ 公民一体の総合的な情報化推進体制を整備する。
⑥ 情報化施策及び情報処理技術等に関する研修、教育体制の整備を進める。
⑦ 個人情報の保護、システムの安全対策、労働衛生対策など情報化推進において留意すべき事項への対策を講じる。
(3) テレトピア構想モデル都市
岡崎市の情報化計画の進展や、第三セクターである(株)岡崎情報開発センターによる人材養成活動やソフト開発、同じく第三セクターである(株)西三河ニューテレビ放送による地域情報提供サービスなどの情報化に対する積極的な活動が認められ、モデル都市の指定を受けた。
テレトピア岡崎基本計画では、企業情報提供システム、地域流通情報システム、交通管理情報システム、生涯学習情報システム、市民情報提供システムなど各分野の情報提供をシステム化・ネットワーク化し、産業界における近代化の推進、地場産業の育成支援を行うとともに、市民に対してはきめ細かな、地域に密着した、価値ある情報の提供による快適な市民生活の実現をめざしている。
4. 岡崎市の地域情報化の課題と今後
(1) 現状と今後
現状では、都市部とその周辺地域において、CATV事業が展開され色々な情報を容易に入手することができていますが、農村部においては、整備が遅れ情報の格差が発生しています。
そのため、農林水産省の情報基盤整備の補助事業により、行政情報や農業情報等を農村部へ供給し、高度・効率的な農業を実現するとともに、都市部と同様な生活水準を確保し、農業・農村の衰退の解消を図ることを基本としています。
(2) 補助事業の考え方
本市においては、都市周辺部に農業振興地域があり、都市部のCATV事業での情報が供給されることなく、情報化においては遅れています。そのため、補助事業において、都市部にある農業関連施設との情報網の整備による農業者の営農情報の提供、交流による営農活動への敏速な対応や、都市部による文化、芸術などの情報提供により農村生活の改善が行われるように、農業振興地域と農業関連機関を補助事業の整備と考えています。
岡崎市の情報化について
5. 情報通信基盤整備概要
地域情報化の整備拠点として整備した岡崎市情報ネットワークセンターに情報通信基盤の設備を設置する。また、高速、大容量及び双方向の通信を可能とするため光ファイバーと同軸ケーブルでツリー状に接続する。ケーブルの敷設方法としては、ケーブルの延長距離が長いことから電柱供架方式を基本としています。
工事の概要図・標準工事図
6. 情報化による農業振興等
(1) 情報化による農業の振興
本市の農業は、都市化が急速に進展し、農地の転用、兼業化、農林業就業者の減少等、農林業をとりまく環境は極めて厳しい状況である。このため、地域の自然環境、社会環境、営農指導、他産地の状況等を、映像や通信といった高度情報基盤を使用して迅速に取り入れ、地域の特性を充分に配慮した農林業の振興を図る。
(2) 情報化による農村生活の改善
本市の農業地域は、市街化とその周辺の都市近郊、平坦地農村地域、そして過疎化の進む山村地域まで擁している。農村部の情報化は、ケーブルテレビ事業だけでなく、地域行政情報やインターネットなど、光ファイバーケーブルによる双方向通信を実現し、都市部と同様な生活水準を確保するとともに、農業に対する情報供給を受けることや、農村部の情報を都市部に提供することにより、高度・効率的な農業を実現し農業・農村の衰退の解消を図る。
(3) 情報化による都市農村交流の促進
本市においては、都市化が進んでいるため、単に食料生産としての農業でなく、消費者との交流を深め相互理解を図りながら農業生産の場を確保していくことが必要である。今後は、各種農業関係団体が開催する農業体験会、農協や農業改良普及センター等で開催される農業技術の向上をめざした研修会等の農業イベント情報を、情報基盤を活用して情報提供することにより、都市部の住民と農村部の農家との交流を図り、都市部の住民には、自然への親しみと農業への理解を、農村部では、農業の活性化と営農意欲の向上が図られることをめざして、交流の支援に役立てるよう情報化の推進を図る。
情報ニーズ(事業区域内における生産者の情報ニーズ・農業・農村情報化アンケート結果)
岡崎市の地図
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