【ダイオキシン問題の主な経過】
80年頃~
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所沢市東部に相次いで産業廃棄物処理施設が建設される
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82年頃~
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産業廃棄物の野焼きによる苦情が多くなる
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95.12.
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市民団体の独自調査で、ダイオキシン汚染が明らかとなる
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97. 3.26
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市議会が全国初のダイオキシン条例を制定
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6.27
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自治労石坂産業労働組合結成(自治労が産廃事業所の組合結成)
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7.27
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ダイオキシン汚染から環境を守る市民会議発足
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9.4
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ダイオキシン類等規制計画策定審議会発足
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9.5
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所沢市西部清掃事業所のダイオキシン測定データ隠しが発覚
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11.1
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ダイオキシン対策室設置(次長以下4人体制で発足、現在8人)
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98. 1.
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市民、職員の健康調査、大気汚染、土壌汚染調査を実施
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4.1
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プラスチックごみの分別収集を開始
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〃
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市内小中学校の焼却炉を使用中止
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〃
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庁内備品、消耗品の環境対応製品リストを作成
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5.24
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自治労NO! ダイオキシン埼玉行動(所沢航空記念公園 3,500名)
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5.26
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複合汚染被害者の会が市長を公害罪で刑事告発
一部市民が、市民税、都市計画税の不払い運動を開始
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7.8
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ダイオキシン相談を開始(毎月3回、予約制)
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8.1
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野焼き防止クリーン作戦開始(県、県警、市)
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8.18
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「止めよう! ダイオキシン汚染」さいたま実行委員会が産廃流入規制署名を県に提出
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9.1
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市内監視パトロールの開始(53事業所、3/31までの毎日を全庁体制で実施)
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12.
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市民団体が中心となって、公害調停申請を行う
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99.2.1
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ニュースステーションで所沢産野菜のダイオキシン汚染を報道
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2.9
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JA所沢市が調査結果を公表し、安全宣言を出す
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3.18
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3月議会でダイオキシン汚染防止条例を可決
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〃
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10市民団体が、同条例を批判して市民会議を脱退
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3.23
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市民が、西部清掃事業所の操業差し止め請求を起こす
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3.
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埼玉県が所沢市周辺の産廃焼却施設の申請は認めないと発表
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4.
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所沢市が事業用小型焼却炉撤去補助(16万円)を開始(40基撤去)
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4.
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所沢市が産廃焼却炉撤去補助(1/3)を開始(これまでに6炉撤去)
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4.
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ゴールデンウィーク中の産廃焼却施設の操業を一部自主停止
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00.2.
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所沢市がISO14001の認証を取得
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3.
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市民が東部クリーンセンター建設差し止め請求を起こす
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1. はじめに
所沢市は、都心から30km圏で埼玉県南西部に位置する面積72km2、人口33万人今年市政施行50周年を迎えたベッドタウンです。また『トトロの森』で有名になった狭山丘陵や武蔵野の雑木林など緑が多く残されたところです。
さて所沢市が産業廃棄物と深い関係になったのは、今から20年以上前の70年代中頃関越自動車道が開通し、東京都内から建設廃材などが一気に持ち込まれるようになってからです。とりわけ所沢インターチェンジ周辺は『産廃銀座』と呼ばれ、市内に約30業者、近隣市町を含めると約60業者が集中し、毎日山林からばい煙が上がっているという状態でした。80年代になって市民の苦情や行政指導で、産廃業者はそれまでの野焼きから中間処理施設として焼却炉の建設を行ったものの、バブル経済時代に入ると建設ラッシュで建設廃材は飛躍的に増加し、ますます煙の被害が広がっていきました。民間の調査では、所沢市周辺で産廃焼却量は1日当たり484トン、一般廃棄物を含めると764トンと推計されています。
2. ダイオキシン問題に取り組む市民団体
所沢のダイオキシン問題に最初に取り組んだのは、市内北部の通称「くぬぎ山」周辺の新興住民でした。1991年頃から山林の中で野焼きをする解体業者が増えてきたため、行政窓口に悪臭や目や喉の痛みなどを訴えていました。93年には、小型焼却炉からのばい煙がますますひどくなり、その対策を求める市民グループが結成されました。
95年1月、市民グループが宮田教授に依頼して独自にくぬぎ山周辺のダイオキシンの土壌検査をしたところ、100~220ピコグラムの高濃度のダイオキシンが検出されたと発表し、大きな社会問題となりました。また、上空からのビデオ撮影などを行い、産廃業者の実態を明らかにしました。当時、廃棄物や環境をテーマにした市民団体はおよそ30団体あり、ダイオキシン削減を中心に、ごみの減量化、無害化、資源化などを積極的に取り組んできました。
こうした市民運動により市議会もこの問題を取り上げ、97年3月、議員提案で全国初のダイオキシン条例を制定しました。
3. 市民の信頼を問われる行政
ダイオキシン条例が制定され、市長が先頭に立った『ダイオキシン汚染から環境と健康を守る市民会議』やダイオキシン規制計画審議会が発足した矢先、97年9月、市が西部清掃事業所の高濃度ダイオキシン測定値(12,000ナノグラム)を隠していた事実がマスコミに明らかにされました。このことはこれまでの行政の信頼を根底から覆すものとなりました。連日のマスコミ報道や市民団体の抗議で、所沢市はようやくダイオキシン問題に正面から向き合い、様々な施策に取り組み始めたのです。
【主なダイオキシン緊急対策】
① 市民への情報の公開(広報等で連載、啓発冊子の全戸配布)
② 市民の健康調査(母乳100人、血液35人、毛髪126人)
③ 清掃事業所現場職員の毛髪検査(29名、0.023~5.3ピコグラム)
④ 大気(12地点)、土壌(13地点)、水質汚染(8地点)の定期調査
⑤ ダイオキシン相談窓口の開設(月3回)
⑥ ダイオキシン対策室を環境部に設置(室長以下8名)
⑦ ごみの細分別化(プラスチック分別)とそれに伴う全地区住民説明会(延300回)
⑧ 監視パトロールの毎日実施(53事業所巡回、延846人全庁体制で実施)
⑨ 産業廃棄物業者への指導、要請(県警職員が市に出向)
⑩ 国、県、国会などにダイオキシン規制の陳情、要請
⑪ 小中学校(46校)の焼却炉を使用中止
⑫ 家庭用焼却炉の無料回収(524基回収)
⑬ 事業所用小型焼却炉撤去(40基撤去)
⑭ 産業廃棄物焼却炉撤去事業(5事業所、6炉撤去)
⑮ 環境対応製品リストを作成し、備品購入はすべてエコ商品とした。
⑯ ダイオキシンゼロキャンペーン(標語、ポスターなど)
こうした取り組みで、産廃業者も徐々に焼却を減らし、煙による苦情は大幅に減少してきました。
4. ニュースステーションの野菜汚染報道
昨年2月のニュースステーションの野菜汚染報道はどうして起こったか。
ダイオキシンの抜本的な対策を求める市民グループはその後も独自にダイオキシン測定を実施したり、98年には産業廃棄物流入規制署名をはじめ、産廃業者と埼玉県を相手取って公害調停申請を行うなど精力的に活動を継続してきました。毎週土日にはさまざまな集会や勉強会を開催し、所沢市が行っている対策が不十分であり、ダイオキシン汚染はますます広がっているという批判が強く出されていました。
こうした市民の行政不信がまさにニュースステーションの野菜汚染報道を呼び起こしたものであると考えます。1束100円のホーレン草が29円に暴落し、損害賠償を求める裁判にまでなりましたが、これまでダイオキシン問題にじっと口を閉ざしてきた農家がついに立ち上がったことは、それまでの市民グループや国・県・市に大きなインパクトを与えることとなりました。
この野菜汚染報道は結果的には、マスコミの報道の在り方まで問われる問題に波及したものの、所沢のダイオキシン問題に大きな一石を投じたという効果があったのではないでしょうか。しかし野菜の暴落という厳しい代償を払わされてしまいました。
5. 今後のダイオキシン対策
所沢市にとってダイオキシン問題はまさに市政運営の最重要課題の1つであり、今後のまちづくりを進める上で継続的な施策として対応していく必要があります。
その前にまず現行の産業廃棄物の処理責任が廃棄物処理法で「事業者の責務」と規定され、その結果不適正な処理が行われてきたことから、まず第一に法で処理責任を明確にすることが必要です。
具体的には次のような施策が考えられます。
① 国・都道府県が「廃棄物処理センター」を設置し、公共の主導で施設整備を図ること。また産業廃棄物の資源化を推進するため国の施策として産業廃棄物のリサイクル施設を建設し、再資源化を徹底すること。
② 産廃処理業者への事業融資、リサイクル事業への転換などを推進していくこと。
③ 中小零細の産廃業者を事業協同化し、適正処理を推進していくこと。
④ 上記の施設整備や維持管理に当たっては、施設の情報公開をもとに市町村や地域住民との「運営協議会」を設置し、運営していくこと。 |
また産業廃棄物対策を市町村がどれだけ関与していくかはそれぞれの地域の実情があると思いますが、所沢市においては一般廃棄物と並んで市民には切実な問題であり、今後条例等でさらに厳しい規制をかけていくことも考えられます。
一方一般廃棄物の処理問題では、市町村の焼却施設からダイオキシンが発生する問題で、当市は住民から清掃事業所の操業差し止めとクリーンセンター建設差し止めの訴訟を起こされています。共通の目標であるダイオキシンゼロをめざして今後も市民と協同でごみの減量、資源化を図っていかなくてはなりません。訴訟を起こしている住民との緊張関係の中にあって、市の廃棄物政策のプランづくりやオンブズマン制度など市民を巻き込んで事業を推進していくことが今強く求められています。
私たち組合としても、ダイオキシン問題を抱える所沢市がいかに市民の信頼を回復し、真の環境自治体に変わっていくか見守っていかなくてはなりません。
所沢のダイオキシン問題は、全国どこの自治体でも同様の問題があると言えますし、私たちの生活様式すべてを見直す課題であると思います。そしてこれから市民とともにどういう街をつくっていくかお互い知恵を出し合っていかなくてはなりません。それなくしては行政も労働組合もその未来はあり得ないというのが結論です。
広報ところざわ情報館(No.874 1999.9.20)、広報ところざわ(1999.10.5
資料)、広報ところざわ情報館(No.888 2000.4.20)
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