自然治癒力が奏でる健康文化の郷づくりを目指して

青森県本部/市浦村職員組合


 
市浦村は、青森県津軽半島の西北部に位置し、総面積111.75㎞2のうち、約90%が山林・原野・十三湖で占められている。
 昭和30年3月31日、旧相内村・旧脇元村・旧十三村の3ヵ村が合併し、市浦村が誕生した。集落としては、相内・太田・桂川(旧相内村)・脇元・磯松(旧脇元村)・十三(旧十三村)の6集落からなり、相内を中心として、いずれも約6km以内に点在している。
 東は、海抜600m以上の木無岳・四ツ滝山があり、中里町・蟹田町・今別町に接している。西は日本海に面し、南は十三湖と砂丘を境に、車力村に接している。北は、豊かな森林資源を有する中山連峰を境に、小泊村・三厩村に接する。
 中山山脈を水源とする太田川は、流域の水田を潤しながら西にのび、山王坊川と合流して相内川となり、十三湖に注いでいる。さらに、本村最高峰である四ツ滝山を水源としている磯松川は、脇元・磯松地区の水田を潤しながら日本海に流れている。
 十三湖は、村の総面積の約5分の1を占め、小川原湖・十和田湖に次いで青森県第三の湖として、広く知られている。
 村の特色として、海と山と湖などの美しい自然環境と福島城址・唐川城址・山王坊遺跡等、豊富な歴史的資源に恵まれていることから、地域的特性を生かした観光振興を図っている。
 特に近年、十三湊遺跡の発掘調査が進められ、巨大土塁や中軸街路、安藤氏の居城と思われる巨大館跡など、数多くの遺物が発見されており、歴史的ロマンをかきたてて、幻の十三湊はいま、中世の歴史的時空を越え、全国的に情報を発信している。
 福祉面では、高齢者生活福祉センターの設置と、在宅介護支援センターが開設されており、デイ・サービスや在宅介護支援等地域福祉の充実が図られている。
 平成5年度から、1日ドック(総合検診)を充実しており、疾病の早期発見・早期治療・健康管理・健康確認に効果を高めている。
 しかし、基本検診受診者に「高脂血症」の要精検者が多い状況にあり、このことに着目し、平成7年度より病態別事後指導(高脂血症要精検者を対象)を実施している。
 また、保健福祉活動の施策を運営していくうえで、「ひばの会」「日赤奉仕団」「地区の婦人会」「民生委員」「食生活改善推進委員」「保健衛生協力委員」等のボランティアについても研修会等への積極的参加を呼び掛け、組織育成・強化の充実をはかっている。
 これまでの取り組み等が評価され、平成9年4月に、厚生省の「健康文化と快適なくらしのまち創造プラン」(健康文化都市)のモデル指定を受け、「自然治癒力が奏でる健康文化の郷」を将来像として、平成10年から5ヵ年間のプランを策定した。
 重点施策として、①「保健・医療・福祉の包括」、②「健康実践教室の推進」、③「ごみ減量化の推進」、④「健康保養の拠点づくり」を掲げ、村民の積極的な健康づくりに取り組んでいる。
 特に健康保養の拠点づくりでは、全国では3番目、自治体では初めてのタラソテラピーの施設の整備をメーンに位置づけており、村では平成11年度より2ヵ年で建設に取り組んでいる。
 タラソテラピーとは、ギリシャ語のタラサとフランス語の造語で、日本語では『海洋療法』と訳されている。
 フランスの医学アカデミーの定義では、タラソテラピーとは、『海洋性気候の作用の中で、海水・海藻・海泥を用いて行う治療』とされており、海のすべての要素を活用し、楽しみながら効果を発揮する総合的な療法システムである。
 高齢者の運動不足の解消、生活習慣病(成人病)の予防、疾病後のリハビリ、女性の美容、肥満解消、ストレス解消など村民の健康増進をはかっていく。
 また、平成10年より青森県のモデル指定を受け「市浦村保健・医療・福祉包括ケアシステム推進モデル事業」に取り組んでおり主に次の事業を進めている。
 市浦村保健医療福祉包括ケアシステム電算化推進特別事業では、現在、保健・医療・福祉情報が個々の領域で監理されているものを、包括ケアを進めるうえで、情報の共有化が必要となることから、役場・診療所・在宅介護支援センターを電話回線で結び、乳児から高齢者まで生涯を通じた一貫性、連続性のある情報システムを構築している。
 そのほか、在宅テレビ電話システム推進事業は、在宅の高齢者で病状のため通院が困難である者や痴呆症の患者を対象にテレビ電話を設置し、診療所・在宅介護支援センター・消防署を接続したシステムである。
 本人やその家族が、医師・看護婦等から相手の表情を見ながら日々の健康相談や生活指導、リハビリ等の指導を受けている。
 村では、特別養護老人ホームや老人保健施設等がないことから、夜間の連絡先の場所として、市浦消防署に協力を求め設置していただいている。
 このように、「健康」をキーワードにいろんなアイディアを出し合いながら、「自然治癒力が奏でる健康文化の郷づくり」を目指して、我々、職員組合とともにスクラムを組んで取り組みしている。