2023/10/27
PSI(国際公務労連)は10月14日~18日、スイス・ジュネーブで第31回世界大会を開催。「多重危機の世界において 利益よりも人々を優先する」のスローガンのもと、向こう5年間の「行動プログラム」、規約改正のほか、労働組合権、質の高い公共サービスの実現、平和・人権、LGBT+の代表性の確保などの決議案を採択した。また、新会長にブリッタ・レヨン(スウェーデン)、新書記長にダニエル・ベルトッサ(オーストラリア)を選出した。
PSI世界大会には世界中の加盟組織から1,200人が参加。日本からは37人の代議員等が参加した。自治労の参加者は18人。
大会は、「行動プログラム」において、今日の世界情勢の特徴を、新型コロナ感染症、気候変動・環境危機、戦争、貧困と格差、インフレ、右派政権の台頭などの「多重危機」と捉え、これらを解決すべき多国間システムが、その役割を果たしていないと指摘した。
その上でこの危機を克服する労働組合のビジョンを、①組織化、②人権、③公正なグローバル経済、④労働組合権、⑤質の高い公共サービスの強化、⑥保健・社会サービス、自治体などの部門別活動の強化の6つの柱で打ち出した。
大会議事ではこの柱ごとに、国連関係機関の専門家や学識者などによるパネルディスカッション、課題に関連する加盟組織提出の決議案の討論が行われた。
日本の加盟組合は、提案された決議案に対して賛成し、積極的に運動を進める立場から発言した。さらに下記の3本の決議案を提案し、可決された。
また大会は、ウクライナ、パレスチナの戦争・人道危機を憂慮し早期終結を求める緊急決議なども採択した。
【日本の加盟組合提出の決議案】
第21号「韓国・香港・フィリピンおよびカンボジアの労働者との連帯」
第22号「日本の公務員の労働基本権、消防職員の団結権・団体交渉権を求める」
第35号「ミャンマーで続く労働者のたたかいを支援する」
世界大会での自治労代議員の発言要旨
LGBT+を包摂する組織へ
第7号決議「LGBT+労働者の代表性」LGBT+を包摂する組織へ 神部香里さん(静岡県本部)写真左
日本ではLGBT+への差別を禁じる法律の制定が急がれている。自治労の組織内調査でもLGBT+の組合員がハラスメントを受けていることが明らかになった。性的指向や性自認を理由に命や生活が脅かされ、権利が侵害されることを許してはならない。PSIがLGBT+を包摂する組織として取り組みを強化することを求める。
ケア労働への社会的保護を
第18号決議「世界の家事労働者との連帯」木村ひとみさん(自治労副委員長) 写真中央
高齢者介護などのケア労働は、女性が家庭内で担うものとされてきた。ボランティア労働のように見なされ、低賃金の中で働き手も不足している。家事労働者を労働者と位置づけ、権利を保護することは、ケア労働者の労働条件の向上と人員確保につながるものと考える。家事労働者の権利保障、社会的保護を強く求める。勝利の日まで支援を約束
第35号決議「ミャンマーで続く労働者のたたかいを支援する」 松村誠治さん(東京都本部)写真右
ミャンマーの労働者のたたかいを支援する決議案を提案する。国軍のクーデターから2年半。労働者の命がけの抵抗闘争は続いている。軍事独裁政権を断じて許すことはできない。ミャンマーの労働者が勝利し、民主主義が回復するその日まで、連帯して支援し続けることを約束する。世界大会参加のみなさんの支援を求める。
PSI(国際公務労連)とは
公共サービス労働組合の国際組織。世界152カ国・690組織・3,000万人が加盟する。日本からは自治労、国公連合、全水道、ヘルスケア労協、全消協が加盟し、PSI-JC(加盟組合日本協議会)を構成している。世界大会は5年に1回開かれる。
機関紙じちろう2023年11月1日号より転載