2023/08/16
人事院は8月7日、本年の官民較差に基づき、月例給を3,869円(0.96%)、一時金を0.10月引き上げる勧告を行った。一時金の期末手当への配分は97年勧告以来となる。
俸給表全体を引き上げ、一時金は期末手当にも配分
俸給表の改定については、大卒初任給を11,000円、高卒初任給を12,000円引き上げるとともに、若年層に重点を置き、そこから改定率を逓減させる形で俸給表全体を引き上げるとした。また、在宅勤務等手当が新設された。
昨年に引き続き初任給、月例給、一時金が引き上げられたこと、一時金の引き上げが期末手当にも配分されたことは、組合員の期待に一定応えた内容といえる。初任給の改善や全世代での月例給の引き上げは一定評価できるものの、引き上げ率が0.96%にとどまったことは、物価高騰下での組合員の厳しい生活実態を踏まえれば納得できるものではない。中高年層への引き上げ額の配分には不満が残る。
「給与制度の整備」、地域手当など引き続き取り組み強める
公務員人事管理に関する報告の中で、「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」の骨格案について、①初任給近辺の俸給月額引き上げ、係長~上席補佐層の俸給の最低水準引き上げ、勤勉手当の成績率上限の引き上げ等、②本省課室長級の俸給体系見直し、地域手当の大括り化等、③扶養手当の見直し等が示された。
今後、2024年の勧告で示される成案にむけた協議では、中高年層も含めたすべての世代のモチベーション向上につながる給与制度を求めていく。また地域手当については、人事院に対し近接する地域間格差の縮小を求めるとともに、総務省に対しては地域の実情に応じた制度運用が可能となるよう求めていく。
勤務間インターバルの導入、超過勤務縮減なども課題に
勤務時間に関する勧告では、フレックスタイムのさらなる柔軟化のための勤務時間法の改正が勧告されたほか、勤務間インターバルの努力義務規定、夏季休暇の使用可能期間、交替制勤務者の年次休暇の使用単位の見直し等について、現時点の考え方や法令・通知等の改正の方向性が示された。
勤務間インターバルについては、人員体制の充足を大前提に、インターバルによる出勤時間が所定労働時間の開始時間を超える場合は勤務したものとして取り扱うこと等を求めていく。公務員人事管理に関する報告では、超過勤務の縮減にむけた調査・指導の充実、仕事と生活の両立支援の整備、ハラスメント防止対策にむけた体制整備等が示された。働きやすい職場環境の整備にむけ、対応・協議を継続する。
人事委員会対策と労使交渉強化し、秋のたたかいへ
自治労は、秋の臨時国会にむけて政府に対し、本年の官民較差に基づく給与引き上げを強く求める。県・政令市等において人事委員会対策を強化する。会計年度任用職員、再任用職員を含むすべての職員について、4月に遡っての月例給および一時金の引き上げ、給与水準の改善を求める。会計年度任用職員の勤勉手当が、すべての自治体で2024年4月から常勤職員と同月数の支給が実現できるよう、条例化の取り組みを進める。「自らの賃金・労働条件は、労使交渉によって決定する」という原則をさらに徹底し、単組・県本部・本部が一体となった取り組みを全力で展開する。
機関紙じちろう2023年8月15日号より転載
<23勧告関連資料>
令和5年 人事院勧告・報告の概要(PDF形式:176KB)をダウンロード
令和5年 人事院勧告・報告について<ポイント版>(PDF形式:787KB)をダウンロード
令和5年 人事院勧告・報告について<詳細版>(PDF形式:783KB)をダウンロード
本年の勤務時間に関する勧告のポイント(PDF形式:263KB)をダウンロード
給与制度のアップデート 概要(PDF形式:386KB)をダウンロード
【実務担当者向け資料等】
令和5年 人事院勧告・報告(実務担当者向け資料)(PDF形式:503KB)をダウンロード
令和5年 公務員人事管理に関する報告の骨子(PDF形式:334KB)をダウンロード
令和5年 勤務時間に関する勧告の骨子 (PDF形式:130KB)をダウンロード
令和5年 給与勧告の骨子 (PDF形式:281KB)をダウンロード
本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み(PDF形式:479KB)をダウンロード
出典:人事院ホームページ(https://www.jinji.go.jp/kankoku/r5/r5_top.html)